2017年11月26日(日)午前2時47分 愛知県豊田市・道の駅どんぐりの里いなぶ
他に誰もおらず、音1つ立たない閉鎖空間。暖房は作動していないようで、長く動かずに居ると寒くなってくる。深夜滞在者は基本的に車中泊だろう。
ひろ「…寒くないんじゃなかったのか?」
めぐ「外と比べてってことだって。」
ひろ「バイクなんか今、他におらんだろ。」
めぐ「夏だったらわかんないよ?」
なんとなく、トイレへ入りたくなってくる。これは夏と比べて、冬に汗をかかないためだといわれている。トイレは一旦外に出るため、寒さがよくわかるもの…。
ひろ「…外よりは中だな。」
めぐ「最初からそう言ってるけど?」
自動ドアがトイレにもあるあたり、寒冷地だと思わせる。やはり外気から隔たれると暖かい。洋式便器に温水洗浄便座を備えているのはありがたいもの。喫煙所は外にあり、車中泊の方も利用する。
ということで"休憩室"に戻ってきた。中にあるテーブルや椅子は木製であり、クッションなどは全くない。香流温泉の寝ころび座敷が恋しくも思わせる。
ひろ「…寝ていいんだよな?」
めぐ「ダメとは言ってないよ。」
ひろ「…もっと引っ張りゃよかったろうに。」
めぐ「ごめん…。」
寝るには無理のある環境なので、時折トイレがてら外へ出てみよう。道の駅に隣接して、稲武温泉『どんぐりの湯』もある。やはり深夜帯というこの時間であるため、開いていないことだろう。
めぐ「温泉じゃないけど、さっき入ったし。」
ひろ「いや、人工でも温泉だろ。」
ここから飯田まではまだ60kmあり、深夜帯でガソリン残量を考えるとほぼ不可能な距離だろう。そのまま国道153号を走行する場合、途中に道の駅『信州平谷』がある。
ひろ「それで…、だ。」
めぐ「…何かな?」
ひろ「こういう合宿?」
めぐ「秋って、シーズンオフなんだよね。」
シーズンオフに"合宿"を組んで、思うこと…。
ひろ「切符ないからか…。」
めぐ「…ごめんね、勝手な都合で付き合わせちゃって。」
ひろ「いや、いいんだ。乗る系のアレで宿まるのなんか、一緒は多分なかったし。」
めぐ「まあ…、そういうのは。基本いつもの4人の…。」
ひろ「そうだよな。私はあくまでサブメンバーだし。」
携帯を充電から解き、再び電源を入れる。そのまま時間が過ぎ、時計はそろそろ朝の5時…。
めぐ「…そろそろかな?」
ひろ「…もう行くのか?」
11月下旬の山間部、気温はマイナスの寒さ。こうなると二輪車スペースに置いた原付には、すっかり霜がおりている。店などは木製の段差を下るため、滑りやすくて踏み入れられない。
ひろ「これは…。」
めぐ「家だとカバーあるんだけど、今日ないし。」
国道153号 道の駅どんぐりの里いなぶ(豊田市)→足助大橋西(豊田市)
守山区で給油してから60.6kmという指標を、再スタートとしよう。まずは1.7km戻って、先程立ち寄ったコンビニへ。次第に夜が明けてくるのは、空の色が示しているようなもの。
(現)あったかい伊右衛門・ほうじ茶500ml(サントリー) 129円
とにもかくにも、ホットドリンクで温めたい。積み込み用に同じペットボトル茶と、すぐ飲むための缶コーヒー。
ひろ「1回で飲んじゃったんなら、トイレ行きたくなるわけだ。」
(現)BOSSコーヒー・贅沢微糖185g(サントリー) 110円
この時間だからではないのだが、なんとなくシリーズとしても微糖に手を出してみる。同時購入したおにぎりは後ほど頂こう。
ひろ「シリーズって何さ?」
めぐ「このおじさん使えそうじゃない?」
香嵐渓までの折り返し。同じ対面通行の山道でも、明るくなれば様子がわかるもの。
めぐ「朝走るのっていいよね。」
ひろ「…寒いんじゃなくってか?」
めぐ「そりゃ…、寒いけど。」
相変わらず気温や路面温度がマイナスとなっており、気を使うもの。快走できる対面通行であるため、余計にそうなるのかもしれない。夜明け前の薄暗さに、所々ある街路灯が独特の雰囲気を生む。
伊勢神トンネルは設計が古いためか狭苦しく、前後左右とも気を使う。内部は温度が一定であるため、外気に対して暖かい。
ひろ「これこそ天国と地獄を同時に味わうって…。」
めぐ「それもだけど、サングラスって明るいのが暗くなっちゃうのよ。」
抜けると下り坂とカーブが連続するので、速度が上がり過ぎないようにしたい。カーブを抜けた先、上下線が分かれていた。
めぐ「…これ気にならない?」
ひろ「…何をもって気になるとか、わからん。」
この箇所は『伊勢神改良』なる工事が行われ、新しくトンネル主体のバイパスが設けられる。上下左右の制約も解消されることだろう。
途中にある、ニワトリの看板。山林の中に佇むこの店で昔、鶏肉料理を頂いたことがある。国道はやはり早朝とあってか、車がそれほど走っていない。
めぐ「これも15…、16年ぐらい?」
ひろ「いい雰囲気してるよな。」
めぐ「まあ、最初はどうかなって思ったけど。時間の流れってか、年取ったからかな?」
そして足助バイパスへ。新しいトンネルは内部が広めに取られ、温度も保たれ暖かい。旧稲武町からここまで、結構なペースだと考えていいだろう。
ひろ「いいけど、ガソリンは?」
めぐ「ああ、香嵐渓の近くにある。」
日付が変わる頃に満量で出て、稲武で休みつつ走った距離は85.1km。
めぐ「…案外余裕あったね。」
ひろ「いや、ここからは問題あるだろ。」
(2017年、秋色の寒中原付合宿 つづく)
迎えた2日目。陽が昇り、山下りは一気に進められた。
舞「冬みたいな夜中に寒かったでしょう…?」
めぐ「寒かった。だから、次するなら夏って決めてる。」
ガソリン残量は最大5リットル。旧シリーズでは100km走行可能かどうかを目安としたものの、案外余裕をもって走行と給油を繰り返せるもの…。
めぐ「次は香嵐渓の紅葉をね。」
舞「そりゃそうですよ。あんな真夜中に何が。」
(つづく)