2022年8月20日(土)午後5時50分 名古屋市中村区・名古屋駅
5.名古屋18:12発→鵜沼18:51着 特急ひだ17号/高山行き クモハ85-3
JR東海が投入する新方式の特急気動車は4両で入ってきた。正面の貫通扉が両開きのプラグドアとなっており、前面の黒塗装が多くとられることもあってなかなか整ったフロントマスクに思う。2両編成をつないで6両とする際も、自由席は4号車の1両だけとなる。
めぐ「これも外からは…。」
もも「出た、こっそり抜け駆け。」
めぐ「乗るのは今日が初めてだけど?」
普通車は秋の紅葉をイメージする色遣いをしており、木目の壁面と明るい暖色系の座席が美しい。棚は強化ガラスを用いており、JR東日本や近鉄にあるような指定席ランプは採用されていない。車内案内は横長な液晶画面となり、そこまで大きくはなかった。間接照明は思ったほど暖色になっていない。
めぐ「最初、もっと暖色っぽいっていうか…。」
なぎ「それさ、デジカメの設定とかってわけじゃなくってか?」
座席は新幹線N700Sと同等なものながら、頭部の張り出しは少ないものとなった。よって座った感もN700Sと同様であり、少々カタい印象。リクライニングさせると、連動して座面が沈み込むのも同じ。全席とも、細めなひじ掛けには電源コンセントが埋め込まれている。
もも「これ…、結局いいのかわかんないし。」
さく「それって前のキハか、さっきの近鉄って?」
もも「さあね、誰かが言う前に。」
このほか、客室には大型荷物置き場も設置。側面窓は大きくカーテンも横引タイプとなるなど、これまでの"ワイドビュー"は継承されたようだ。進行方向を変える岐阜までは20分程度といい、座席は逆向きにセットされている。
デッキも木目模様の壁面を使用し、温かみを欠かさない。客室共々、防犯カメラは完備されている。運転室後方は機器類が配置されることもあり、前面展望は利かなくなった。
なぎ「あんま変なことするなよ、防犯カメラ回ってんだし。」
めぐ「…でもまあ、運転席後ろ埋まってたって。」
発車すると気動車らしくエンジン音を唸らせつつ、床下からの振動は穏やかに伝わってくる。それこそ5月に函館本線(いわゆる"山線")で乗車した、電気式のH100と同様なもの。一方で車内チャイムはこれまでのモノから一新され、国鉄気動車で使われた『アルプスの牧場』をアレンジしたものとなった。
なぎ「随分ダイナミックに。」
めぐ「やっぱり?あんまり派手にしすぎてもアレなの、九州もだけど。」
稲沢の貨物基地に差し掛かる。前週に大阪へ出向いた際の往路ではタイミングが早かったため、今週は少々ずらして機関車をメインに収められたか。
めぐ「…中、映り込んじゃう。」
なぎ「…入ったんだろ?」
めぐ「入ったよ。」
案内の液晶画面は先に採用した新幹線N700Sを連想しつつ、フォントなどN700Sと異なるものを採用。この気動車は電気式にして、バッテリーで充電もさせるハイブリッド駆動となった。液晶画面にはエンジン,バッテリー,モーターが現在どのような動作をなしているか、表示が随時なされる。
さて、乗車したひだ17号は停車駅に特徴がある。尾張一宮は通過し、鵜沼,白川口,飛騨金山,飛騨萩原,飛騨小坂,久々野には停車。これを異質といわず、どう言おうか。
なぎ「ああ、だからこれ選んだ?」
めぐ「いや、HCってのが決まってて。たまたま、この停車駅。」
雨の降る岐阜でHC85は進行方向を変え、高山本線へと進んでいく、隣にいたのはキハ25の0番台で、長距離運行に向いたクロスシートを装備する。2両編成が5本という少数派なので、多治見行きとするには少々もったいないだろう。
単線非電化となっても、かなり飛ばすのがJR東海の特急。1線スルー式の通過駅は少なく、大抵はある程度高速で通過できるよう改良されたが"Y"字の配置だ。
なぎ「…どうした、写真?」
めぐ「もう…、時間的に限界かなって。」
日没も早くなる8月後半。外が暗くなりながら、あっという間に降りる駅となってしまった。車内案内装置が大型化とカラー化し、到着時のドア開閉向きも表示されるのが定着してきた。
さく「…あれ、もうこんな?」
もも「降りんのよ。」
39分で鵜沼に到着し、ひとまず新型特急車両の調査は以上としたい。ここからは後続のキハ25を待って多治見もよし、名鉄特急というのもよし。完全ノープランだから、選択肢だけは豊富で自由だ。
もも「で…、どうすんの?」
めぐ「一旦…、出るよ。」
(M)JR運賃:名古屋→鵜沼 860円
JRの駅から結ばれる通路は、人が少なくなればただ無機質なだけ。大きくとられたガラス窓から外を見れば、ちょうど名鉄の特急となる1000系が入ってきた。
さく「だったら名鉄乗って、近鉄,JR,名鉄と。」
めぐ「そう思っちゃった。」
(S)名鉄特別車両券:新鵜沼→金山 360円
名鉄で適当に乗っていこう。券売機で特別車両券(ミューチケット)を購入し、直接ICカードで改札を通ろう。地下通路は装飾もなく、殺風景なもの。
もも「ってか今まで見てたけど、アンタら汗とか…。」
めぐ「わかってるって。もうほとんどマスクも水みたいに…。」
3面5線式ホームのうち、3・4・5番線が犬山への折り返し専用となっている新鵜沼。旧来からあった2・3番線ホームは幅が狭いらしく、発車案内は小型のモノが設置されている。
名鉄は特急が特別車と一般車に分かれ、2022年現在特別車は新鵜沼から豊橋を見て前2両で原則固定。料金は均一であり、一般車は料金不要であるためか『特別車両券』という名称となる。
さく「降ってるから、早く乗るよ。」
(つづく)