2022年7月23日(土)午前10時52分 静岡市葵区・静岡駅

4.島田10:24発→沼津11:46着 普通760M/三島行き クモハ313-2502
 静岡で乗客が入れ替わりながら、車内の座席には余裕が出てきていた。ここまでは5月に乗車しているため、いわば"前座"。本番はもちろんここからであり、在来線ならば2018年8月以来となる。


 車両区に隣接して、東静岡の駅が設けられている。後年になってから完成したもので、島式1面2線の駅にしてかなり充実した設備を有していたり。駅前も開発が進み、高層マンションなどの姿も目立ってきた。


 さらに貨物駅が隣接している。静岡鉄道の線路が上をまたぐ付近で、野球場らしき照明塔が姿を見せた。プロ野球の公式戦も毎年のように少数が開催され、東京ヤクルトや近年では北海道日本ハムの主催が目立つ。


 清水の市街地を抜け、興津に停車。島田まで乗車した興津行きは3番線に入り、すでに折り返していったようだ。2面3線式でも掛川や島田と構成が異なり、相対式ホームの派生となる。


 海を眺めながら国道1号と並走しており、駐停車禁止で信号もないことから流れは速い。原付は走行可能であるものの、そもそも静岡県に入ったばかりの道の駅『潮見坂』で限界を感じてしまっている。さらには東名高速(E1)も並走し、合わせた3線では鉄道が最も海から遠い。


 やがて新蒲原に停車。高架構造らしき相対式ホームを持ち、どことなく海沿いの小さな町を思わせてくれる。それでいてかつては急行列車が一部停車していたのだから、わからないものだ。


 富士川を渡り、身延線が並走してくると富士に着く。ここまで右側を向いたため反対側になるが、左側にある富士山は雲がかぶっていてよく見えない。


 富士で車内に空きが目立ってくる。引き続き乗っていくと工業地帯に入っていき、吉原に停車。岳南電車もいずれ乗りたいところだが、JRとの連絡通路も長く乗り換えがどうもしっくりこない。


 さあ、もうすぐ沼津。高架工事とともに車両基地建設もあるといい、左側で用地の造成が進んでいた。


 島田から82分。目的地が三島であれば乗り続けるところ、目的は沼津始発の熱海行きとなるため乗り換えとなる。隣は…、あれ?313系と211系が切り離れている。


5.沼津12:00発→熱海12:20着 普通1446M/熱海行き クモハ211-5613
 ということで運行距離は短いものの、トイレなしの3両で熱海に突入するツワモノだ。211系のうち静岡生え抜きのSS編成には、身延線などの小断面トンネルに対応する"クモハ"が連結されている。


 空席を多く残して発車。静岡県内でたびたび交差してきた国道1号は、ここから箱根を越えるルートへ変えていく。


 三島では先ほどまで乗っていた普通からだろうか、多く乗ってきた。伊豆箱根鉄道もまたいずれ、じっくり触れるべく乗っていきたい。


 函南からのトンネルを抜けると、そこはもう東日本の海沿い路線。来宮に佇んでいたキヤE195は、JR東海キヤ97のOEMとなるレール輸送気動車だ。


 沼津から20分。名古屋から乗り換え待機時間を含めて、ここまで4時間52分かけて熱海に到着した。直前に遭遇したE261系『サフィール踊り子』は逃すも、黒船塗装となった伊豆急『リゾート21』がいた。あちらは普通列車で、すでに立ち客も多いようだ。


 東海と東日本の境目となる熱海では階段移動が強いられ、編成両数も3両から15両と格差を大いに感じさせる。ここまで乗ってきた211系はトイレなし3両のまま、島田まで折り返すツワモノと化す。


 LED発車案内はJR東海の駅番号に対応。熱海のホームにあるそれは2009年当時、運行される車両のアイコンが期間限定で表示された優れモノだ。肝心の東日本で駅番号に対応していないと思ったが、実際は宇都宮や高崎に駅番号自体が設定されていなかったりする。


 階段下の通路も、かつては国鉄時代の表記類が残っていたと記憶している。壁面や天井周りは多少の化粧直しを施した程度で、ほとんど往時と変わっていない。


 熱海で1本遅らせることにより、ようやく29分というまとまった時間を確保。せっかくなので改札の外へ出ておこう。その姿は大きく一新し、屋上を持つ3階建ての駅ビル『ラスカ熱海』となった。


 温泉観光地として知られた熱海。対首都圏のリゾート需要が多様化して斜陽となりつつあったところ、東京からのアクセスは良好だったために通勤需要が見込まれてきた。そして東京からのアクセスは引き続き良好で、近年はリゾート需要も再興しつつある。


 温泉観光地らしく駅前には足湯が整備され、この日も多くの利用があった。隣接するようにタクシー乗り場があり、待つ人々の列が長い。

 せっかくなので駅ビルにも触れておこう。1~2階は土産物が多くあり、レストランなどは3階に固まっている。


 屋上に上がると…、現状は広場のほかトイレぐらいしかない。バーベキュー広場もあったようだが、閉業しているようで入れなくもなっている。外は暑いこともあり、人は少ない。ひとまずは時間があるうち、トイレに入って用を足しておこう。


 山々が迫りながら斜面にも家々が建ち、海に近づくまで坂の多い熱海市。とある番組では自転車を"100コギ"して、山から海に出られるかという企画が行われたという。さあ、駅に戻ろう。

(つづく)