めぐ「お待たせしました。2022年の夏休みも、無事出発できるということで…。一旦もう一度、時間を2017年8月16日に戻してみましょう。都営地下鉄に続いて、メトロと野球です。」

2017年8月16日(水)午後2時22分 東京都豊島区・池袋駅

 全区間で優等種別(みなとみらい・東急東横線特急→メトロ副都心線急行→東武東上線急行、若しくは西武池袋線快速急行)となるものには、識別のため『Fライナー』と付けられている。命名される前にみなとみらい線から新宿三丁目まで乗っており、このときは西武の車両が来た。今回来たのは…?
さく「…すげぇ、当たり引いちゃった。」


34.池袋14:23発→和光市14:38着 副都心線急行Fライナー/森林公園行き 4610
 ゴールド系の外観が目を引く渋谷ヒカリエ車両。4000系と扱われるべきだが、実際は5050系の優等種別用となる10両編成である。このうち1本だけ、内外に特別な装飾がなされているのだ。
もも「アンタ、たまにはやるじゃないの。」
めぐ「そうかな…?」
もも「新車で変わりモノだし、キラキラの?」

 車内は通常と異なり、どことなく"大人な渋谷"を思わせる印象。車両ごとに色調を変えており、乗った車両はつり革がカラフルでありつつも派手さを感じさせなかった。加えて座席までもが通常と異なり、背もたれが高くなっている。
さく「よくできたもんだよね。無味乾燥ないつものアレじゃつまんないし。」
なぎ「…身分わきまえてるか?」
さく「そんなの気にしなくていいじゃん、仮に遠くまで行こうってなってもこれだったら大丈夫だよ。」


 地下鉄ながら途中駅を通過するFライナー。池袋から和光市までに停車するのは、西武との分岐点となる小竹向原だけ。和光市からは川越まで急行運転を行い、以後は各駅に停車していく。

 池袋から15分で和光市に着く。東急東横線の車両が東武東上線へと進んでいくあたり、京急から都営浅草線を隔てて京成へと直通する様に通じるものがある。大昔には考えられなかったことだ。
もも「で…、すぐ戻ると。」
さく「そりゃあ、野球あるもん。」

 目的がなく折り返すだけであろうとも、降りた以上は駅の写真を忘れない旅行班ブログ。北口を見る間、引き続きの雨模様。
めぐ「…次。」
なぎ「…何か言え。」

 この手の駅は反対側を見てから比べたいもの。見る限りでは地形のせいか、南口は高架駅らしくない。なんとなく高蔵寺駅の構造を思い浮かべた者が約1人。
さく「高蔵寺は違うでしょ。」
めぐ「高蔵寺じゃないよ、あんまりマンションっぽいのとかないし。」

 駅前には北口より建物が多く立ち並んでおり、こちらがメインだと思わせる。商業ビルがある程度見られただけで"都会らしさ"を少しでも感じてしまうのは、田舎住民の性分か…。
めぐ「…豊田市のほうが近いかも。」
もも「やめなさいって、そろそろ時間でしょ。」

 ここから池袋までは有楽町線で折り返そう。すると東武の駅にして、直に接していない西武の車両が来た。
さく「これもおかしな話だよね…。」
もも「色々アンタらのいないとこでさ、都合とかあるんじゃないの?」


35.和光市14:51発→池袋15:12着 有楽町線普通/新木場行き 6211
 1990年代に製造され、造作もやや重めな10両編成。新車さながらの液晶画面案内『スマイルビジョン』がドア上に設けられ、古さを感じさせないのは副都心線開業によるものか。
なぎ「これ前、乗ってるだろ。」
めぐ「乗ってるよ。」

 しばらくは複々線のように、地上を並走する東武東上線と地下鉄。丘陵地に、住宅と森林が入り混じる。
めぐ「なんかこういうね…、ちょっと外れたとこみたいな?」
もも「本当…、いい加減にしなよ。」

 地下へ潜ると以後、東武東上線と顔を合わせることはない。線路を共有する副都心線と異なり、地下鉄内で終着となるため基本的に通過運転を行わない。西武の線路とは小竹向原で合流、そのまま副都心線と別れていく。
さく「…まあ景色見れないんだけどね。」

 急行らしく15分で進んだ"往路"に対し、6分多くかけて着いた各駅停車の"復路"。こちらは旧来より純然たる中間駅であったためか、島式1面2線でも違和感がない。

 隣には東武の車両がいた。では地上へ出るように、西武の駅へ向かおうか。
もも「また随分あっさりと…。」
さく「迷う前にさ、済ませたいじゃん。」
なぎ「…何の話だ?」

 フタを開ければ同じ地下迷宮と思わせつつ、西武池袋線への乗り換えは割と単純だった。
もも「いつもの時間余らせるパターンじゃないよね?」
なぎ「大丈夫だろ、他見てないものとかあるだろうし。」
めぐ「…食べるよ。」
さく「…そういや、昼まだじゃない?」

 発車するタイミングだった急行は座れないので、西所沢へ次に着く準急を待つとする。


36.池袋15:27発→西所沢16:05着 準急/飯能行き 38403
 来たのは30000系『スマイルトレイン』。独特の"丸っこさ"が愛らしい、西武ご自慢の新型通勤車両だ。
めぐ「大・成・功…。」
もも「またまた…。」

 座席は名古屋市営地下鉄N3000系と同等も、背もたれの"丸っこさ"がやはり愛らしく特徴的。天井もやや高く、つり革も卵型。ドア上の液晶画面案内は2面とも4:3のアスペクト比。発車時点ともなれば結構な混みようを見せてくる。
さく「…間違ってないよね?」
なぎ「何か問題でもあったのか?」
さく「これモーターなしっぽいからさ。」
なぎ「…お初ならいいだろ。」

 練馬までは先程と逆向きに、途中無停車で進む。

(つづく)