2017年8月16日(水)午前11時30分 東京都練馬区
とりあえず住宅地へと進むことにした。しかしここで、携帯端末の電池残量が10%を切っている。
さく「そう言って案外持つんじゃない?」
めぐ「もうこの…、カメラ休めるまで使えないのよ。」
雨が降りしきる、閑静な住宅街の下り坂。ここで滑って転び、野球が中止にならないよう気を付けたい。幸いにも持参したコンデジは使用可能なので、撮影に問題はない。
なぎ「中止にはならんだろ、屋根あるんだし。」
もも「たぶんそういう意味じゃないわよ。」
それにしても、駅らしき姿は見当たらない…。
もも「…これ本当、道合ってる?」
めぐ「じゃあちょっとキツイけど…、地図使うよ?」
なぎ「ってか、最初の見ろよ。」
携帯端末の僅かな電池残量を使って、地図を起動させ調べてみる。するとどうやら、西武の駅とは逆向きに進んでいたらしい。相変わらず雨で滑りやすい、住宅街の細道を歩く。
もも「本当、何やってんだか…。」
めぐ「今まで地下だったし、方向…。」
さく「わかんなくなるよね。」
結局12分歩いた末に、元のところへ戻ってしまった。では改めて、西武の駅へ向かおうか。
なぎ「あんまり雨降られんうちにな。」
A2の出入口からは近かった。
もも「もっとこういうのは場所とか確認しっかりしてよ?」
めぐ「はいはい…。」
もも「…絶対反省してない。」
もちろん西武の駅も、流れで収めておく。駅名のとおり『としまえん』が近い。なお遊園地としての『としまえん』は2020年8月末をもって閉業となった。
もも「今日は時間たっぷり浮かせれたからいいけどさ…。」
さく「ま、作戦成功でいいんじゃない?」
なぎ「お前何もしてないだろ。」
頭端式ホームを持つ、西武の豊島園。日中はホーム1本で足りる程度の本数となる。程なくすると折り返しの各駅停車として、昔ながらの黄色い車両が入って来た。
さく「今日って夏休みだけど、平日で雨だしさ。」
なぎ「まあ…、今日しかないんならな…。」
もも「いいんじゃないの?ここってあんまり遠くから来るイメージないし。」
32.豊島園11:52発→桜台11:58着 各停/池袋行き 2271
実態は"昔ながらの黄色い車両"でありつつ、行先表示はフルカラーLED。車内もリニューアルされたらしく、水色系の座席が明るく目立っている。ロングシートは従来型を基本としているためか、造りがしっかりしている。
もも「ってか、何も脈略もなく乗っちゃってさ。」
さく「あ、次のとこ?」
もも「まあ、一応念のため説明してもらえる?」
単線から高架に上がり、練馬で池袋線の本線に合流。ここは有楽町線への分岐駅をも兼ねているため、その接続を含めて少々停車する。目的地となる銭湯へは、各駅停車しか停車しない『桜台』が最寄となる。
めぐ「まあ…、一応覚えておこうかなって。」
もも「いや、だから。何をよ?」
緩急接続の後に発車し、すぐに桜台となる。光が丘で生じた"黒字"も、結果としてほとんど使っていない。
さく「…はい。」
なぎ「いや、何かあるだろ。」
とりあえずは、…桜台の駅を外から押さえたい。この付近は高架区間であり、駅も総じて規模が大きくなりがち。
なぎ「…今の間、何だ?」
めぐ「いや…、毎回同じこと書くのもアレだし。」
優等列車が停車しないとあってマイナーな印象は否めないものの、そこは都内の駅らしく駅前に建物が密集している。商店街らしいところを通っていこうか。
さく「あんまりないんだよね、近くにこういう感じのとこ。」
なぎ「そうか?」
めぐ「名古屋って道広かったりするんだよ?」
もも「…だから、何の話よ?」
駅から5分程歩くと、その姿を現した。見るからに新しい、美術館のような外観で話題を集めている銭湯。ここが今回、目的地の1つとした『天然温泉久松湯』である。営業が午前11時からなので、ここまで乗り回ったということとも言えようか。
さく「いや、スーパーな銭湯かどうかなら否定しないけど。」
なぎ「…ちょっと黙れ。」
(現)天然温泉久松湯 大人460円
都内の銭湯料金は東京都が定めており、他例に漏れず上限の460円(※2022年7月15日より500円)。タオルやシャンプー類の備え付けがないことを想定し、旅行班はそれらを今回あらかじめ持参している。内部もやはり"昔ながらの銭湯"という雰囲気ではない。
めぐ「やっと、これ充電できるよ。」
もも「ああ、昨日買った充電器ね。」
さく「あ、みんな悪いけど。画はないよ。」
天井には天窓が設けられて自然光が降り注ぎ、窓ガラス越しに中庭を望み開放感を味わえる。洗い場にはタオルやシャンプー類の備え付けがなかった。内風呂は炭酸泉と表記されている。(以下、2017年8月当時。)
もも「本当、アンタらよく思いついたわね。」
めぐ「そうかな?露天で調べたら、これ出てきた流れって言う感じで。」
茶褐色の天然温泉が用いられるのは、露天風呂だけである。せっかくの機会で雨模様なのがもったいない。
さく「夏でプール行くっても、泳ぎたいわけじゃないからね…。考えたもんだよ。」
なぎ「風呂なら冬でもいいもんな…、露天も。」
さく「…今、考えるのとかやめない?」
なぎ「…ちょっとやめようか。」
さく「…うぇ、口入っちゃった。」
なぎ「洗って戻れ。」
例によって電気風呂は苦手だからとパス。サウナは入浴料金と別扱いになっているため、やはりパス。
もも「手抜きやめなさい。」
めぐ「え?だってあんまりだし…。」
(つづく)