2022年5月21日(土)午前9時30分 北海道小樽市・小樽駅
24.小樽9:38発→倶知安10:55着 普通1936D/倶知安行き H100-9
倶知安行きは1本後の接続を待つ。小樽に入ってきたのは721系と733系0番台を連ねた普通で、折り返しも普通であるほか乗り換えも階段を介している。ある種、作戦成功か。
ロングシート部分も埋まって発車。山へ上がっていくようで速度は上がらず、眠くもなってきた。右側は時折海も遠目に眺められる。
余市はウイスキーの蒸溜所が有名で、多くの観光客が降りて行った。やはり旅行班は観光せず、座席を確保しておきたい欲望が優先される。ということで、待望のボックスシートだ。
山々を前にして建物も多くなく、なだらかに開ける風景が北海道らしくていいもの。
そうこうするうち、トイレに入りたくなった。H100系のトイレはスペースに奥行きがあり、洋式便器に座ったまま手を洗う構造となっている。
引き続きあまり速度を上げず、山々へと分け入っていく。単線で線形も悪いこの様は、とても現役の幹線でないだろう。
銀山からは遠目に見下ろして眺められる。農地はビニールハウスとなっているほか、ビニールなのか水田に水が入ったのか。表面は白く広く覆われていた。
倶知安が近づき、開けた農地がトラクターで耕されている。まばらな建物も農家や農業用施設がほとんどだ。
そろそろ倶知安に到着。羊蹄山がそびえており、その形状から『蝦夷富士』とも称されるという。手前にある線路用の『クロッシング』は何を指すのだろうか?
小樽から77分、入ったホームは行き止まり式の1番線だ。この"山線"は倶知安で乗り換えが必要となっており、特にここからの本数が少ないことから優先で行程を組んでいる。
時間もあるので、駅と周囲を見て回りたい。新幹線駅の工事が進められるため、在来線の線路とホームを仮設構造へ切り替えている。
中荷物を車内に置き忘れたらしい。気付いて戻ると、先ほどの乗務員が持って出ていたので受け取ろう。このパターン、忘れたころにやらかすので…。
改めて新幹線の工事が進み、使われなくなったホームを見る。線路もまだ部分的にしか撤去されておらず、今もまだ列車が発着しそうな雰囲気を色濃く残している。
駅舎はそのまま使い続けているため、待合室も基本構成はそのまま。一角に観光案内所が入居している。改札の付近では地元の方々によってパンが売られ、コーヒーもセットとして振舞われていた。
駅舎は国鉄の主要駅らしい、年季の入ったコンクリート造。2階部分が設けられているようで、一般客が1階から行き来できる箇所はない。
駅前は商店街というほどにはやや遠いものの、店がいくつか構えている。旅館やホテルもあり、スーパーも近くにあるなど悪くなく…。
とりあえず事前に目をつけていた食堂があり、昼食もそこにしようかと考えていた。この店は5月29日に閉店というから、タイミングというものが恐ろしい。
注文は券売機を介する方式となる。メニューは豊富に揃っていた中で選んだのは、メニュー表にも大きく出ていたことからおすすめであろう定食。
(現)ザンギ定食(駅前食堂停車場) 780円
ザンギとは唐揚げ(以下略)で8個。近年は大きな個体が各所で目立っていただけに、比較的落ち着いたサイズでちょうどいい。そのままでも十分な唐揚げとして成立できるところ、添えられた醤油タレにつけて食べるのが特徴。濃厚なお味へと進化する。
そしてご飯がお代わり自由なので、タレが余っても使い道はある。下に敷かれた野菜もまた、濃厚になった"ザンギ"と相性がよかったり。この店に限れば最初で最後となるのが惜しい。
ご馳走様。次に倶知安へ来る機会があるならば、新幹線開業後になるのだろう。その際も今回のように"険しくなる"ことなく、駅で降りること自体がないかもしれないな…。いずれにせよ、旅はこういう一期一会が愛おしい。
さて駅前には公園のような区画があり、ベンチや東屋。さらに銅像や水飲み場もあった。特に水は蝦夷富士(羊蹄山)から湧出し、水温が安定していることからも"日本一の水"と称されている。
そろそろ時間なので駅に戻り、ホームへ出よう。公園らしいところに転車台が見られ、後から調べたところかつてSLの機関区があった名残という。タイミング的には後続便(当初計画にあった小樽10:53発→倶知安12:12着の普通)が入ってくるところ。
(つづく)