2015年5月23日(土)午後3時35分 長野県下伊那郡泰阜村
20.天竜峡15:12発→豊橋18:24着 普通554M/豊橋行き クモハ313-3018
追加で特急停車駅となった温田は駅前に少々家並みやらあり、無人駅ながら島式ホームと立派な駅舎がある。近くには立派な橋が架かっており、その周辺で何やら工事中。
もも「…わかんないなら別にスルーしたっていいの。」
この辺りは川幅が広い。天竜川の"始点"がどこかを特に調べず、いまひとつわからないまま来てしまっている旅行班。
さく「そういえばさっきから橋ばっかりだけど。」
もも「いいんじゃない?」
めぐ「…これぐらいしか画になりそうなのないし。」
為栗も、右側に見えるのは大自然。そして吊り橋だけ。この駅も田本や金野のように、通過する普通がある。ハイキングならまだしも、こんなところでテントを張るというのは某番組の秘境駅ロケ以外ないのだろう。
またもダム湖の様相を見せてきた。そして整備された道路…。
もも「橋はもういいっての。」
そして吊り橋。川幅が狭くなった。
さく「渡ってみなよ。」
もも「なんならアンタら渡ってるとき揺らして…。」
なぎ「お前も揺れるんだぞ。」
平岡の集落が近づいてきた。その風景は踏切の警報機に遮られた。
めぐ「そういえば警報機があって、遮断機ないのってないね。」
さく「どこある?」
なぎ「…ない。」
『鶯巣』(うぐす)は『為栗』(してぐり)と字の形が似ており少々ややこしい。
もも「書けないんじゃなくって?」
なぎ「お前だってかけないだろ。」
もも「アンタこそいきなり言われて書ける?」
なぎ「…書けない。」
さらに橋を見下ろす。集落があるようだが駅から遠く、鉄道利用は苦しいだろう。やはり車利用しかないのだろうか?
もも「ま、原付買ったら?」
伊那小沢は相対式ホーム。ここからは山の上に、小さな集落があるのが見て取れる。
さく「…あそこどうよ?」
なぎ「…あんなとこ行けるか?」
めぐ「…行けないよね?」
小和田から静岡県に入る。皇太子妃(→皇后)の旧姓と同じ字であることからか、恋愛成就の駅とある。散策を終えた方々が、後部車両に乗り込むようだ。
さく「行きに見た人じゃない?」
めぐ「あ、そんな感じする。」
生活利用のほぼない秘境の無人駅ながらも、立派な木造の駅舎があるのが小和田。中には訪問者のためにノートが置かれ、実際に記している人がいた。
もも「大前だってあったじゃないのよ。」
めぐ「…いいけど、そういう趣味じゃないのよね。」
秘境らしくか、深い谷の上を架かる鉄橋を渡る飯田線の列車。次の大嵐は小和田とセットで覚えたい。
なぎ「水面が見えない…。」
大嵐も無人駅ながらレンガ調の立派な駅舎を持ち、中はフリースペースとして自由に過ごせるそうな。反対列車が待っていた。
めぐ「…今度ありかも。」
もも「あるならあるで…。」
めぐ「当分ないけど。」
もも「そりゃ、飯田まで行っちゃってんだもの。」
実のところ、愛知県豊根村でも旧富山村のほうが交通の便が優れているとか。程なく特急の停車する水窪となり、周辺は比較的人口の多そうな集落が広がる。
向市場を過ぎ、有名な"渡らずの鉄橋"を渡る。
さく「…あれ、いいの?」
めぐ「行き見たし…。」
城西はホーム仕切りと駅舎の間に不自然な空地があることから、かつて島式だったと思われる。列車本数はもとより、生活利用も少ない区間。待避線の必要性が薄くなったのだろうか。
さく「…別にもう、寝たければ寝たっていいんだけど。」
もも「…まあそうね。」
図書館を併設している佐久間も同じく、かつて島式ホームだったのだろう。ワンマン運転を行わない理由としては、秘境を縫うような閑散路線においてトラブル発生時に対処できるようにするためとされる。
佐久間ダムの発電所。
往路で26分停車した中部天竜で、復路の停車時間は長くない。集中的に乗ってきたが、どうも知人同士だった様子。ここからワンマン運転を行うため、無人駅では前方の車両に乗っていなければならない。
やはり川の流れは気になるというもの。
めぐ「…これ天竜川だっけ?」
なぎ「…どうだっけな?」
他の山岳路線と比べても駅間距離が短い飯田線。発車時点で到着時の放送となるほどの距離しか離れていないところも。上流部もそうだが、中流部らしい浅めの川と緩やかな流れがよかったり…。
中部天竜で集中乗車した一行は浦川で下車。火を焚いていて、煙が舞う。川と同様に、飯田線も山の谷間を縫う形で進んでいく。
鬼のような、兜のような。一度見れば忘れないであろう形状をしている東栄の駅舎も、主要駅らしく結構立派なもの。ここから愛知県となり、およそ7時間かけて帰ってきたことになる。
もも「…あれ?」
めぐ「どこだと思う?」
もも「…愛知県帰ってきたの?」
めぐ「もう、そうだけど。」
愛知県民の森の最寄りとなる三河槙原で、まとまった数の高校生らしき客が乗車。荷物も少なく、装いからして往路の登山部とは異なる。駅舎は必要最小限の設備しかない、コンクリート造りのシンプルなもの。天竜峡から2時間、時刻も夕方5時を回り日も傾いてくる。
もうすぐ本長篠。国道151号が並走し、集落が広がってくる。
さく「…あんまりこう乗っているとちょっとおかしくなったりとか?」
めぐ「まあ…、ちょっとエコノミー何とかいうアレ?」
さく「痛くない?」