2014年5月6日(火)午後2時3分 長野県塩尻市木曽平沢

 さあ木曽平沢駅までもう少し。それでも暑くなかったとして、日差しは比較的強いので暑くなってしまう。
さくら「…それで、漆器は見たかったの?」
めぐみ「…まあそこまでじゃないかな?」


 対岸を見る。ここにいるだけでもなんかいい気分にさせてくれるような…。


 街並みに入ったようで、駅も近いはずだがどうも距離がはっきりしない。しかしこちらのまち並みも重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。
さくら「でもこう近いってどうなのかね?」
ももか「いいんじゃないの?もともとそうなってんだし。」
なぎさ「もともとって…。」


 思ったより早く木曽平沢駅のすぐ近くまで来てしまった。まだ時間があるので位置だけ確認…。
ももか「まーた余った。」
たかし「もう少し歩いていいだろ。」
まき「見て回りましょうよ。」
めぐみ「まあ、せっかくだし…。」
ももか「わかったから。」


 漆器のまち、木曽平沢も古い建物が残る。こちらのまち並みも重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。立地的にはこちらのほうが塩尻市街に近く、道のりも平坦な気がしないでもない。


 奈良井宿と比べると人の往来は少なく、静かに歩けそう。見る限り観光向けの飲食店は特に何もない様子。
さくら「…これ、歩いて終わるパターン?」
なぎさ「普通そうだろ。」
さくら「いや、302の話はもういいからさ。」
なぎさ「誰も302の話なんかしてないだろ。」
めぐみ「302は自転車だし。」
さくら「そういうもんじゃないでしょうよ。」
ももか「ま、そうでお金ないってんならいい節約になったんじゃないの?どうせお土産とか買わないんならさ。」


 漆器店の前にあったベンチで一休みし、歩く以外の選択肢がないという結論に至った。
めぐみ「そういえば中山道って…。」
まき「どうかしたんですか?」
めぐみ「いや…、ここってどうなのかなって。」
まき「通ってきたんじゃないんですか?」

 気になったバスは本数が少ないようで、やはり使いにくそう…。
ももか「ほら、バス1日1本しかないもん。」
たかし「それじゃ無理だ。」


 もう少し歩いたところで家並みが途切れる。
なぎさ「ここまで…?」
ももか「もう山道とか歩かないよ?」


 振り向いて比べてみよう。
さくら「ほら…、全然違う。」


 そのまま戻っても芸がないので、隣の道を通って行くとする。
ももか「まあわかりやすいこと…。」
めぐみ「せっかくだし。」
まき「それじゃさっきのはなんだったんですか…?」
さくら「まあ…、見そびれたのとかはあるね。」
なぎさ「ここは十分ってことか?」


 工事中なようで歩きにくい。
ももか「穴とか落っこちないでよ?」
なぎさ「落っこちはないだろ。」
ももか「落っこちなくても、踏み外して横よろめくとか。」


 漆器のまちだが、それ以外に見どころはなさそう。漆器祭は6月であり、今日は特に何もない日。
めぐみ「まあ山の中のちょっとしたとこ見たってことで…。」
さくら「日が悪かったってことで。」
ももか「アンタらの考えが甘かったってことで。」


 狭い路地を通ると、案外と見所があったりして…。
ももか「…それで、何もないわけ?」
めぐみ「いや…。」
ももか「アンタらのことよ。」


 生活感ある路地を抜けた。
ももか「…で?」


 駅に着いた。
ももか「結局わざわざ5KB埋めるために写真とか撮りまくる必要なんかなかったってわけね?」
めぐみ「いや、そうでもないかも…。」
たかし「ってか、まず見るのが最優先だろ。」
ももか「だったらあの…」
まき「もうその話はいいんじゃないですか?」


 まったくの無人駅であり、どう考えても青空フリーの端点に見えない。
まき「二川は…?」
さくら「もろ有人駅。」

 往路で利用した臨時に乗れるのだが、そのまま同じ列車というのも芸がない。よってまた時間が余ってしまった。それにしても、こんな中途半端な位置で途切れるとは…。
ももか「塩尻まで範囲にしていいんじゃない?同じ市なんでしょ?」
まき「そうなんですか?」
なぎさ「見てないのか?」

 ここも市町村合併で編入したものであろう。
ももか「行ければもうちょっと…、ね?」
さくら「まあそこまで行けたらここスルーしたかもしれないけど。」
まき「スルーしちゃダメでしょう。」
めぐみ「そういえば山賊焼きって…。」
さくら「あれは松本じゃない?」
めぐみ「松本じゃあダメよね…。」
ももか「でもさ、こんなペースでどこだっけ?京都の手前…。」
なぎさ「山科。」
めぐみ「それとは違うよ。」

 まあなんだかんだでいい休憩になったので良しとしよう。


 もともと高い位置にあるホームの、その上をまたぐ跨線橋。そこからまち並みを眺める。次に来ようと思えば、もっと色々と調べてからにしよう。
ももか「絶対来る気ないくせに。」
めぐみ「いや、わかんない。」


 奈良井宿、そこから歩いて木曽平沢。旅行班は"木曽路散策"を終え、後にする…。
まき「ありがとうございました。」
さくら「まだ終わってないよ。」

(つづく)