2014年5月6日(火)午前11時51分 長野県塩尻市・中山道奈良井宿

 これまで歩いた道のりを高い位置から眺める。奈良井駅到着時点では曇りがかっていたが、すっかり晴れてきた。


 では来た道を戻りながら何か探そう。時間的にもちょうど昼時。せっかく来た以上、何か"らしい"ものを食べたいところ…。
めぐみ「さっきの五平餅だけだったし。」
なぎさ「何かまた食べたいってか?」
ももか「いいんじゃないの?」
なぎさ「…お前また何か考えてたろ。」
ももか「…後でね。」


 標高が高いのか、日差しの割にそこまで暑くなるわけでもない。
さくら「暑くなるって思った?」
ももか「それに夕方になって半袖じゃ寒くなったとか…」
めぐみ「それまた別の。」


 上着を持ってきており、既に羽織っているので問題ない。歩いているうちに、再び鍵の手に差し掛かる。
ももか「何、画でも入れとこうって?」


 バスで来たと思しき団体客も多い中、写真を撮影する。
ももか「そりゃ、メジャーな観光地だもの。人多いに決まってるじゃない。」

 実際のところこの奈良井宿は全長1kmほどあり、宿場町としては長い。
たかし「また五平餅とか…。」
ももか「五平餅の食べ比べね…。」
まき「いいじゃないですか、せっかくですし。」
めぐみ「いいけど…。」

 というわけで、形も味もまったく異なるものを選んでみる。
ももか「ってか、わざわざ撮らんでもいいでしょうに。」
さくら「でもせっかくじゃん。」



(現)五平餅(木曽奈良井宿 きむら) 170円
 『てずから』と違って団子のような形で、こちらはごま一択。味噌味に慣れてしまった身なのだが、たまには違う味もいいだろう。
めぐみ「なんだろう、口の中に風味が残るような…。」
なぎさ「ああ…、そんな感じ。」


 こちらも美味しくいただいた。宿場町に建ち並ぶ歴史的な建築物の数々。その一部は資料館として見学できるようになっている。有料なので、"低予算を謳う"旅行班は泣く泣くスルー。


 そのかわりとしてではないだろうが、線路に近づいてみた。
ももか「…それで?」


 線路沿いには特に何もなかったので戻ることにした。脇道から見る歴史的町並みも画になる風景である。
なぎさ「一歩外れると静かでいいんだよな…。」


 "往路"で立ち寄った『てずから』には、店の前に『端材あります。100円から』なるものが…。
なぎさ「何かに使えるかって?」
めぐみ「別にそういうわけじゃ…。」
ももか「どうせ買ったところで使い道なくすのがオチでしょ。」
さくら「…それより休めれるとこない?」


 端材は五平餅の"串"を切り出した残りなのか、違うのか。それはさておき奈良井駅に着いてから、のらりくらりと歩き続けて1時間半。そういえば、信州名物って…?
まき「おやきとかどうですか…?」
めぐみ「肉まんも気になるのよね…。」

 おやきの種類としては定番の野沢菜をはじめとした野菜類のほか、ヨモギといったものもある。
めぐみ「野沢菜は…、私はあんまりかな?」
ももか「食べたことないくせに。」
さくら「そっちだってそうじゃん。」

 県外の人間が、イメージとかけ離れない無難な味を選ぶとすれば…?
なぎさ「やっぱりか…!」

 

 思惑に気づいたのが約1名。休憩を兼ねて、ここでも甘系の味で対決…?
さくら「なんなら…。」
たかし「…振るなよ。」
ももか「いつもと同じじゃ面白くないし。」
まき「じゃあいつもは何なんですか…。」


(現)おやき・くるみ(白あん)(道中おやき本舗 奈良井店) 180円
 外側のもっちりした皮が魅力。
さくら「何、食べないの?」
めぐみ「熱いのは…。」


 食べてみて感じるのはクルミの香ばしさだけではない。白餡はといえば、それほど甘くなかった。
ももか「まあ美味しいからいいけど…。」
なぎさ「…不満か?」
ももか「そうじゃなくって…。」
たかし「…これ以上俺らを殺すな。」
ももか「…覚えといて。」


 もう少し歩けば宿場町も…。
まき「…終わり?」
さくら「もうちょっと見てみたい気もするんだけど…。」
めぐみ「まだ昼も食べてないし。」
ももか「五平餅とかおやきはどうなの?」
めぐみ「それメインじゃない。そばとかそういうの。」
さくら「で…、また戻るの?」
めぐみ「道の駅とか…。」
ももか「ま…、道路好きならいいわよ。」
なぎさ「道路好きじゃなくてもいいだろ。」


 どうしても"道の駅"は気になるもの。向かうためには線路の下をくぐることになるが…。
さくら「頭大丈夫?ぶつけない?」


 天井の高さは問題ないもの。それよりもまた、側溝を流れる水の音が気になって…。
なぎさ「落ち着くよな…。」
まき「さっきまで頭気にしてたんじゃないんですか…?」


 道の駅の側に出ると…。
さくら「…100年前のライスカレー?」
ももか「…気になるんじゃない?」
めぐみ「…とりあえずキープで。」

 道の駅ではさすがに特産品のコーナーが設けられていたものの、実はレストランなどの営業施設がない珍しいタイプのものであった。そして…。


 満開から散り気味の桜がある。ここは標高が高く、春の訪れが1カ月ほど遅いのだ。
めぐみ「見れてよかった…。」
ももか「もう見たんじゃなくって?」
まき「たぶん、あま市の桜と違うんですよ。」
たかし「いや、違わない。」
めぐみ「モノはね…。場所とかで変わったりとか…。」

 満開の桜は始まりを告げる桜…。

(つづく)