ある日のひとこま
 とある高校では部活動に"ライセンス制度"が導入され、AランクからCランクまで与えられる。特にCランクは低予算の代わりに自由度が高いとされ、その内容は多種多彩とされる…。

「今から海、行こうよ!」

 午前で学校が終わったところ、友達であり同じクラス。同じ旅行部のフローラが海へ行きたいと。こんな季節外れによく言うもんだ。友達であり同じ旅行部、その部長となるひなもすっかり乗り気になっちゃってる。むつみも結局行くみたいだし、私(ユン)もそういう流れになるほかない。

 金山では誰が誘ったのだろう、
岸田先輩も待っていた。河和まで名鉄電車で向かうところ、今日はあえて武豊までJRを使うという。お手軽にして突拍子のない、制服女子5人旅の始まりだ。


5.金山13:24発→大府(13:42)13:47着 普通332F/大府行き モハ313-1113
 大府までの普通は、車端部がロングシートとなった4両。武豊線電化開業向けに増備された新車であり、天井のLED照明はさすがに明るい。壁面は青みがかった化粧版のはずだが、なんとなく灰色っぽかった。


6.大府(13:51)13:53発→武豊14:23着 普通636G/武豊行き クモハ313-1317
 武豊線のワンマン列車には、神領の1300番台が用いられる。豊橋方向からの接続が遅れたため、こちらも遅れて発車。JRの終着駅である武豊までは、概ね30分の乗車だ。


 JRの駅からは名鉄の駅まで、歩くこと約7分の道のり。


7.知多武豊14:37発→河和14:48着 急行/河和行き 6927
 河和行きの急行に乗ろう。6800系を2つつないだ4両で、前後とも後期型のセミクロスシートタイプ。知多武豊からは列車種別に関係なく、各駅に停車していく。富貴で内海へ行く知多新線が分かれ、海の近い河和口までは複線となっている。


 11分で到着。河和には2015年時点で反転フラップ式の発車案内が残っており、比較的後期まで残ったことで貴重なものとなっていた。線路も途切れており、鉄道利用はここまでとなる。



9.河和港15:10発→篠島15:40着 高速船/伊良湖港行き イーグル2
 河和港からは篠島へ向かおう。これから乗る高速船は既に入っており、"鉄道と同じような手動改札"を経て桟橋から乗り込む。下層部前方が客室となっており、操舵室が上にある構造は往年のパノラマカーを連想させる形状。


 とうとう海に出てしまった。着岸中も、運航中も絶えずエンジン音が船内に鳴り響く。そして、船らしく独特な匂いが感じられる。前方の座席は正面の窓から景色を眺められる反面、揺れやすいとも書かれている。


 河和港から日間賀島を経て30分ほどで到着し、切符は下船時に回収される。高速船は伊良湖岬へ向けて出港していった。


 篠島にはコンビニ『タックメイト』が1軒ある。決して商店の多くない離島において、土産物や日用品も扱う店は貴重。さすがに土地柄、この島で24時間営業は不要だろう。


 するとどこからともなく猫が現れた。去ろうとするも、猫はついてきたまま…。もしかして島を案内してくれるというのだろうか?


 篠島は路地のような狭い道が入り組んでおり、起伏もそれなりに目立つ。狭い路地裏を通り抜けた先、いよいよ海が見えてきた。


 そして砂浜に出たとたん、開放されるかのようにフローラとひなが靴と靴下を脱いでしまう。そのまま2人誘われる形で、むつみと岸田先輩も裸足に。改めて制服、しかも冬服に裸足という姿。上は着込んだのに、下は寒々しく。そそられてしまった。


「ユンちゃんも、ほら。こっちこっち!」
「え、いいよ…。」


 私は裸足が苦手というか…、足を見られたくない。でも制服裸足の4人を見ていると、開放感に満ち溢れている。どこかウズウズしてたまらなかった。幸い季節外れで、ほぼ貸し切り状態だし。


 気づけば私も靴と靴下を脱いでいた。足の指が短く、きれいじゃないから好きじゃなかった。でもなんだろう、この不思議な気持ち。これまで閉じこもっていた何かが、急に目覚めて出てきたような。これが裸足の開放感というのだろうか?

 砂地に足が直接触れる。外の風も直接かかる。落ち着かないけど、気持ちよかった。季節外れなので、当然海は冷たい。


「ど…、どうだったかな?私の…、あし。」
「なんかかわいいね、指短くって。」
「白くてきれい。今まで脱がなかったから、日焼けしてないんじゃない?」


 言われ方も、どこか悪い気がしなかった。裸足の開放感は、本当に不思議。裸足そのものも人それぞれって、改めてわかったし。これが"私の足"なんだ。


 ところで…、今日って何月何日だっけ?
(おわり)