2022年3月18日(金)午後3時29分 名古屋市中村区・名鉄名古屋駅
1.須ヶ口15:21発→名鉄名古屋15:28着 急行/豊川稲荷行き 9554
春の3連休を前に、今回は名古屋駅へやってきた。偶然にも名鉄で比較対象となろう9500系が、豊川線へ直通する急行に用いられていたので乗車している。ということでJRの駅へ。
そして"本日の主役"、315系電車が入ってきた。カメラを操作する際にタイミングが合わず、今回も頭が切れてしまった。
2.名古屋16:02発→高蔵寺16:29着 快速2613M/瑞浪行き モハ315-506
JR東海が在来線向けに投入した、22年ぶりとなる新形式電車。315系は313系と大きく異なり、まず側面の窓がドア間で3分割されている。帯も窓回りに入っており、ホームドア導入を見越したものだろう。313系ではドア間が1枚連続窓で、帯が窓の上下に入っていた。
今回導入された0番台8両編成は、車内がオールロングシート。照明はLEDとなったものの、先に導入された313系とは異なるタイプである。車端部は1両に1か所ずつ、車椅子等のスペースとなった。窓はUVカットの緑色となりカーテン類が省略されたほか、窓枠も金属地に無塗装だ。
ドア上には満を持して、液晶画面式の案内装置と防犯カメラ。ドア開閉ランプを設置。ドアエンジンカバーも313系と形状が変わり、縦に大きくなった印象を覚えた。なおこの2号車はJR東海在来線では初となる、弱冷房車両となっている。
ロングシートの形状はJR東日本E235系などと同じものとなった。座った感じはやはり硬く、E233系で弾力を感じられたのは"使い込み"によるものかもしれないと。仕切りは313系と同形状から、"窓"が設けられて開放感を演出。
車椅子対応トイレや貫通扉は313系後期型と同等だろう。壁面は名鉄9500系のように無地となったが、名鉄9500系とは異なり表面が加工されてザラザラした感触となる。外へ出れば車体上部のラインはドア上のみとなり、ドア横には号車表示が新しく加えられている。
カラーLEDの行先表示は車端部から移動したほか、形状も横長に変わっていた。日本語と英語は種別,行先とも交互に表示され、特に種別はスペースが大きい。次の停車駅が表示される際はE233系と同等ながら、315系では停車駅が一覧で流れない。他、号車表示も新しく加えられている。
フロントマスクは313系から一新され、平面で直線が目立ったものとなる。種別や行先の表示箇所は313系と同様、上部で左右に分けられている。両者をつなぐように黒い部分があるのだが、ガラスらしいことから照明を追加できそうだ。なお前照灯類は全てLEDとなっている。
なお8両編成は固定されていることもあり、電気連結器と前面ホロが省略されている。4両編成ではそれらが設けられるに違いない。
そしてこの315系、ワンマンでない在来線一般車では実質初の自動放送が搭載された。特急と異なる若い声質で、チャイムなどは流れない。また停車中は新幹線のように、1点音が繰り返される。
ドアは電気式でガチャガチャした挙動をし、それこそJR東日本E233系や名鉄9500系のようでもある。ドアチャイムは313系と同じ音色ながら、初期型に戻ったような印象でやはり名鉄のリニューアル車両へ通じていたり。
駆動装置はSiC素子を用いたインバーター制御となり、これまた名鉄9500系と同様。走行音もやはり似たものであったが、JR東海では313系に通じるものを感じられる。全体的には特に高速域での静粛性に優れており、床下からも騒音が低減されている。
車内案内の液晶画面は停車駅到着の際、駅ごとに乗り換え案内のほか階段の位置が表示される。なおJR名古屋駅の在来線ホームは、概ね金山寄りに階段が集中。クロスシート車両とロングシート車両を連結させる際は、降車客の集中する名古屋駅階段付近をロングシート車両としたい。
今回は27分乗車し、高蔵寺で降りることとする。日本車両製造によるブロック工法を、拡幅型車体で採用したのが興味深い。もっともこれらは総合車両製作所や川崎車両との共同ながら、小田急5000系で先に採用されていたり。側面はベルトグラインド仕上げで、真新しいステンレス車体に映える。
高蔵寺の駅については後日取り上げよう。
3.高蔵寺16:53発→金山17:19着 普通170M/名古屋行き モハ315-509
復路も315系を狙っており、高蔵寺に到着する折り返しの普通を選択。やはり車内は新車らしいニオイが漂っていた。
車内全景を見渡せば座席や床面のクリスタル模様など、青色が目立つ。荷物棚はパイプのみで構成されるほか、ポールも座席を突き刺すようなものとはなっていない。天井周りもこれまでの313系と造作が異なっている。半自動ドアボタンは設置されなかった。
座席部分でつり革の高さを変えているのは、キハ25のオールロングシート車両から採用されたもの。各種表記類は全てシールによるものとなり、軽量化と保守性を重視したのだろう。さて日本車両製造によって新ブランド『N-QUALIS』が制定され、この315系電車が第1号"商品"となる。
優先席は座席モケットや床面などがオレンジ色となり、ポールも着色と加工が施されて印象を異なるものとしている。車端部の窓上部が内側に折れるタイプなのは313系と同様にして、ドア間のうち中央の大窓も内折れ式なのが興味深い。
そして窓をよく見れば、上部分に何か溝が入っていたり。もしかすると特急車両よろしく、横引のカーテンを入れられるようにしているのだろうか?
最高速度は130km/hとされているが、当面は211系との共通運用を前提とするために110km/h。現状の愛知県内平野部ではひょっとすれば、100km/hに満たなかったかもしれない。最高性能を発揮するのは当面先で、駅間距離の長くなる高蔵寺から中津川になることだろう。
ということで全体的な感想。今回は乗車時間が往復とも30分程度と短かったこと、外は雨天で直射日光がそもそもなかったこと。時間帯もあって混雑はあまり目立たない。これらを考慮し…、案外悪くなかったり。中央西線に限れば、最長でも名古屋から中津川で系統が分離されたし。
N700Sの在来線向けフィードバックであり、車両そのもののポテンシャルは高い。2021年度投入分は非常走行用バッテリーを搭載せず完成しており、そちらは夏以降に追設される予定。セミアクティブサスペンション、車体間ダンパは不採用となるが乗り心地は良好だ。
ついでに313系をリニューアルする際も、編成組み換えで増備するならば315系ベースになることは違いなさそう。オールロングシート車両だけでなく、様々なバリエーションを期待できる。それが315系であり、新ブランド『N-QUALIS』かもしれない。
高蔵寺から26分乗車し、今回は金山で降りることとする。平日の夕方になり、名古屋駅で乗り換えるには混雑するためだ。それにしても…、こんなに新車臭が鼻や喉に残ることってあったっけ?
(おわり)