「こんにちは。2016年1月の北海道旅行もいよいよ最終日を迎えました。まず最初に乗るのは、一般型気動車としては破格の性能を持つとされるキハ201。特に快速となれば…、何かと期待します。では朝8時、小樽駅前からスタート!」
2016年1月12日(火)午前8時2分 北海道小樽市
朝8時とあって商店街はどこも開いておらず、アーケードの上に雪が積もっていることもあって中は暗い。
めぐ「時間あったら見たいかも。」
もも「いいから、もっと港のほうとかないの?」
駅前に来た。札幌へは高速バスも出ており、確実に座って向かえることから利用客が多く並んでいる。通勤客は小樽か札幌の、どちらへ向かうのだろうか?
さく「どうかな?もうここから札幌だとやっぱり座りたいし…。」
なぎ「いいけど、…座りたいんだろ?」
駅に入ろう。乗る予定としている快速『ニセコライナー』の前に、もう1本先に発車する普通がある。小樽からは唯一となる旭川行きであり、かつては711系が用いられた。
もも「このきっぷ通すのも今日が最後よね…。」
めぐ「あっという間に終わっちゃうよ。」
ニセコライナーはキハ201で、731系と同一車体を持つオールロングシート車両。3両で足りるかと思ったものの、先に721系の旭川行きが出ること。高速バスはリクライニングシートに必ず座れることから、わざわざ小樽駅からこちらを選ぶ人は少ないのだろう。それにしても強そうな外観であり、電車とほぼ同性能であることで非常に似合っている。
なぎ「…空きまくりでいいのか?」
もも「さあ、そうしたきゃそれでいいんじゃない?」
ところで昨夜降り立ち、今朝も出発する4番ホーム。番号表記がヨットを象ったものとなっており、吊り下げられている時計や駅名看板もどこか昔の雰囲気。
この4番線は小樽にゆかりの深い石原裕次郎にちなんで『裕次郎ホーム』と称され、等身大パネルが設置されている。これはかつてNHKの番組のロケで訪れた際、このホームに降り立ったのが由来。(出典:Wikipedia)
もも「これが見たくって?」
めぐ「まあ…、そうだけど。」
(現)miuおいしい軟水(ダイドードリンコ) 110円
自動販売機で水を買った後、現在の4番線から発車する気動車快速に戻ろう。小樽までの通勤需要に応えたものと考えられ、小樽で分断するかのように長時間停車。これならば3両でも十分と考えられ、事実として札幌からの復路も6両中3両を小樽で切り離している。ドアはボタン開閉する方式で、デッキのない車両ではこの方式が必須となる。
40.小樽8:20発→札幌8:58着 快速ニセコライナー3925D/札幌行き キハ201-302
小樽まで各駅に停車してきたニセコライナーは、全員が座れる程度の"客入り"となって発車。南小樽、小樽築港と停車するのは快速エアポートも同じ。そして自動放送も、電車で運転される普通と同じタイプ。この声もすっかり聞き慣れたもの。それともうひとつ、キハ201の特異な点があった。
めぐ「これ電車と連結するのあるんだけど。」
もも「電車って…、731とかいう?」
めぐ「この1本かその前ぐらいの…、苫小牧行きなんだけど。」
キハ201は、同一車体を持つ731系電車と併結運転が可能。実際は倶知安発札幌行きキハ201と、小樽発苫小牧行き731系電車が連結運転するものである(全区間、苫小牧行きと表記)。他にも連結運用があるはずだが、列車番号の末尾が電車であることを示す"M"で統一されていることもあって判別できない。
めぐ「それでちょっと狙ってて。」
さく「一応、他もあったんだけどね。」
小樽築港からは快速運転となり、いきなりトンネルに入る。抜けてからは海沿いを通っており、キハ201は性能に似合わずあまり速度を出さない。そんな中で、キハ75と比べてみるとかいう話。
めぐ「一応これ、昨日言ったキハ75より強いってのかな…?」
もも「見た目じゃないわよね?」
めぐ「見た目じゃなくって、…エンジン?」
731系電車との併結運転を可能とすべく、キハ201は高出力の走行機関を有している。その出力はキハ75にも勝り、設計最高速度は130km/hとも言われる。さらには車体傾斜装置をも備えているとか。それ故製造費も高くつき、合計12両しか製造されなかった。実質的にはキハ261系への試作要素が強かったようで、車体傾斜装置はJR北海道の方針以前から長らく使われていない。
さく「今日みたいに小樽札幌ぐらいならロングでいいよ。」
もも「本当、座れりゃね。…手稲だっけ?」
計画段階で候補に含まれていたものとして多かったのは札幌発江別行きで、区間快速も含まれていた。快速運転を行う区間では、電車と同様の走りを見せていたに違いない。一方こちらは札幌市に入るまで海沿いを通っており、確かにカーブ多き線形の都合もあるかもしれない。
なぎ「あ、それで札幌観光を1日がかりにしたんだな?」
めぐ「まあ…、そうだけど。」
ただ何より朝の通勤時間帯とあって、8分前に出発した721系旭川行き普通と間隔が開いていないのだろう。ほしみを通過し、山々が多く見られつつも住宅が多くなってくる。
なぎ「…これ乗れるか?」
さく「…わかんない。」
手稲では先行していた旭川行き普通と接続し、乗り換え客と合わせて多くの乗客がある。編成も3両と短く、あっという間に立ち客までも一杯に。
もも「…そのカートどうにかならない?」
めぐ「…動けない、無理。」
平日の朝、ラッシュ時らしい車内となって札幌へ向かうキハ201。窓枠はステンレス製で、金属らしい冷たさはどうしても否めない。外は低層戸建住宅だけでなく、高層マンションも見られるようになってきた。
もも「ほら、アンタの…。」
(つづく)