2016年1月11日(月)午後1時28分 北海道釧路市・釧路駅を出発

34.釧路13:28発→塘路14:01着 普通4736D/摩周行き キハ54 514
 発車する摩周行き。ここからは主に左側の景色を見ていくこととしよう。
もも「そっちでいいのかわかんないけどさ…。」
さく「いいじゃん、席どこでもよさそうなぐらいしかいないんだし。」


 東釧路までは根室本線となっている。駅番号は釧網本線(B54)として扱われ、根室方向へは割り当てがない。佇む駅舎がどことなく…。
めぐ「…あのね?」
なぎ「まとまってからやり直そうな。」


 建物が少なくなってきた。何やら、高速道路らしき高規格道路が建設されている様子。
もも「…それで?」
めぐ「ちょっと、この辺のも無料っていうか…。」
なぎ「つながってないし、…ここまで遠かったもんな。」


 いよいよ釧路湿原へと入っていくか…?
さく「調べてはないんだよね?」
もも「そんな調べもないこと前提で来てもさ…。」
めぐ「乗りたいだけだし、乗るだけでも景色は見えるかなって。」


 遠矢を出ると、いよいよ釧路湿原へと入っていく。
なぎ「早まったな。」
もも「今回さ…、どうせここまで来たかったこと前提で調べたんじゃなくって?」
さく「景色ぐらい見えるし、…よかったんじゃないの?」
もも「だったらさ…、函館の温泉は別に最初からパス前提…。」
めぐ「え~?温泉入りたくないの?」
なぎ「函館はいいから、景色見ろ。」


 辺りは森林のそびえる原野だけ。建物はもちろん人もおらず、野生動物も姿を見せない。唯一の人工物と言っていい線路と、その上を走るキハ54。車中から景色を静かに見よう…。


 湿原の前にある、その名も『釧路湿原』に停車。元々観光目的の臨時駅だったこともあり、冬期は日中のみ列車の停車がある。観光目的で設定される臨時列車は停車する。
めぐ「ないのかな…?」
もも「…指定とるの面倒臭いんじゃなくって?」


 ラムサール条約に登録され、国立公園に指定されている釧路湿原。釧網本線は湿地の横、あるいは中を進んでいく。元々線形も悪いようであまり速く走らない。


 細岡はログハウス調の待合室と、ホームと線路が1本ずつしかない無人駅。木製のまま残る電柱が哀愁を感じさせる。
なぎ「こんなとこまで来るとはな…。」
もも「遠くまで来たもんよ。」


 後ろのほうを見てみよう。南千歳で分かれた線路は新得での合流や、拠点となる釧路を経て東釧路で再分岐。そして、釧路湿原の中まで長く続いてきた。釧網本線と稚内では、どちらが遠かったのだろう?


 湿原の中を流れる釧路川。この風景には水辺がよく似合う。
めぐ「…いいよね?」
もも「まあ…、ね?」
なぎ「じゃあ黙れ。」
さく「…それじゃあ面白くないよね?」
なぎ「いいから景色見ろって。」


 釧路から33分。南千歳で荷物を預けたまま331.7km離れ、塘路に到着。時刻表を見た限りではさらに先、五十石までは進めたのだが降りよう。なお五十石駅は2017年に廃止された。
さく「本当、…慣れちゃったもん。」
もも「怖いわよアンタらと一緒だと。」


 湿原のほうを見る。自然が残るこの地に雪はあまり降らないようで…。
なぎ「…ないならそのまま見て終わったっていいけどな?」
めぐ「…そうする。」


 とにかく、まずは周辺地図を確認しておこう。駅から塘路湖までは徒歩15分とあり、滞在時間46分からしてあまり余裕がない。サルボ展望台は徒歩40分とあり、通行禁止ともあるので完全に不可能である。
さく「そうそう、最初に見るんだったね。」
もも「これで迷うなんてしたときなんか…。」


 臨時列車の発着駅ともなっている塘路。駅そのものは無人駅ながら、駅舎の中で喫茶店が営業している。内部の撮影はできないようなので、ストーブで軽く暖を取ってから外へ出よう。


 改めて、お約束の駅舎と共に。塘路の駅舎は外壁からして木造となっており、ログハウスとはやや異なる趣き。今回訪れた塘路駅は、映画『仔鹿物語』のロケ地ともなっていたと…。
さく「とりあえず周りだけでも見とこうよ。」
もも「ま、アンタらに任せるわよ。どうせ…。」
めぐ「ないけど。」
なぎ「何とかなるだろ、あんまり遠く行かなけりゃ。」


 まずは駅前から。寒さ厳しい冬の釧路地方とあってか、少ない雪でも解けずに残っている。売店や観光案内所などは休業中の様相で、訪れる人はおらず静まり返っている。


 駅を出て左側にあるトイレも、冬の時期は使えないようになっている。
さく「アレじゃない?水道凍ったりとか…。」
めぐ「たぶんそうかも。」


 そして駅を出た右側。三角屋根が何ともいえない建物は、どういったものだろうか。
もも「これから見るんじゃないの?」
めぐ「見るけど…。」


 では、駅の周辺を見て回るとしよう。道は広くとられ、生活道路のようなものでもセンターラインのある2車線となっている。人家は多くない。
さく「どこまで回れるかな?」
なぎ「さあ、…どうかな?何あるかわからんだろうし。」


 路面も完全に凍りついており、不慣れな本州の人間は交差点を渡りにくい。幸いなのは表面が濡れた状態でなくやや滑りにくいこと、車通りがほとんどないことか。
さく「あんまり遠く行くと帰ってこれないからね。」
もも「わかってるならね…、最初から調べときゃいいのに。」
めぐ「来れるかわかんなかったんだもん。」


 ひがし北海道アウトドアセンターなる施設に隣接する形で、コテージのようなものがある。後で調べても詳細は出てこなかった。

(つづく)