2016年1月10日(日)午前11時11分 北海道富良野市・富良野駅
 根室本線を走る快速『狩勝』のうち、これから乗る滝川行きはかなり特徴のある列車である。基本的に帯広発着であったのだが、この1本は釧路始発で帯広まで普通として運行される。しかも帯広からの停車駅は、急行列車そのものといっていいほど少ない。
もも「…それは最初から狙ったりとか?」
めぐ「最初って言っても昨日の夜だよ?」

 元々の計画は、旭川から富良野を経て新得まで『狩勝』に乗るものであった。今回はあらかじめ"寝坊用ルート"を用意しており、手を加える際にたまたま時間が合ったということ。
さく「…これ最初から狙えたことない?」
なぎ「やめといてよかったろうけどな。」


 改札が始まったようなので、キャリーカートを抱えホームへ向かう。待っている中で目に入ったのは、富良野地区にある観光地への案内と『北海道のへそ』なるオブジェ。そのとおり、富良野は北海道の中心に位置している。
めぐ「…まあ書いてあることそのままで、よくわかんないんだけど。」
なぎ「飛ばせ。」


 10分弱待った後、乗車する快速『狩勝』が入線。来たのはキハ40であり、これから乗る客はそれなりにいるようだ。
もも「これは適当パターンってヤーツ…?」



20.富良野11:29発→滝川12:23着 快速狩勝3430D/滝川行き キハ40 1754
 急行列車さながらの存在にしてワンマン運転であり、1両しかない。昨夜と同じ1700番台であることから、扇風機がクールファンに交換された更新車両である。とりあえず全員が余裕を持って座れる程度となり、旅行班は前方のロングシートに座る。
さく「…こっちのほうがいいかも。」
もも「私はアンタら見る限り、そう思えないけどね?ボックス座れなかったからって…。」
さく「そうじゃないよ、さっきのキハ150のロングよりはってこと。」
もも「…まあ確かにね、さっきの硬くてなんか嫌になっちゃった。」

 富良野まで乗ったキハ150は、JR東日本キハ110やJR東海キハ11と同様の軽量型気動車。このためか座席等が硬い上、薄く造られていた。
めぐ「こっちは国鉄の安定感。」
もも「本当、やっぱりそうよ。誰がキハ54がいいとか、キハ11…。」
めぐ「キハ54は国鉄が残したようなものだよ?」


 滝川行きの快速は"最長普通列車"の"裏返し"となる。帯広からの停車駅はかつての急行列車そのもの。富良野を出ると、次の芦別まで30分ほど停車しない。途中の長いトンネルを挟み、線形とキハ40の性能相応に飛ばす。
もも「…眠くならない?」
さく「昨日…、今日になっちゃうよね。」
めぐ「一応、そんなになのかなって。」


 芦別の次に停車するのは赤平。雪山を縫いつつ快調な走りを見せる滝川行き。降ってくる雪も強くなり、窓も曇ってくる。石勝線が開通するまでは札幌と帯広方向を結ぶメインルートだったこともあり、線形はそれなりに良い。
さく「…乗ったら乗ったで終わっちゃうかも。」


 とあるドラマのロケ地になったという赤平に停車。ここでそこそこ多く乗車し、立ち客が出るぐらいになる。
さく「…見たのかどうかって?」
もも「アンタこそどうなのよ?」
めぐ「…見たけど途中見てなくてついていけなくなったから、副音声?」
なぎ「…どうした?」
さく「いや…、特には。」


 釧路から308.4kmもの長距離を走り続けたキハ40。デジタル式の運賃表には、始発駅からの運賃が5720円とある。この列車のすべてが、運賃表に詰まっているといっても過言ではないだろう。
もも「次ってまた…?」
さく「…階段だって。」


 4分の間に階段を渡ってホームに着くも、肝心の特急は遅れ気味。先ほどまで乗車したキハ40は、折り返して落合行きの普通となる。ついでに"急行並みの快速"は、富良野までに落合を通過している。
めぐ「…サボ?」
もも「…なにが?」
めぐ「その…、窓の下。ささってるやつ。」
もも「ああ、アレがどうかしたの?」

 これで"旭川発快速帯広行き"にも、部分的でも"最長普通列車"に乗ることなく終わってしまった。2016年3月改正で"最長普通列車の裏返し"も廃止。実際には釧路発新得行きとなり、快速運転も取りやめ。急行列車ダイヤは姿を消してしまうこととなった。

 

 


 それだけでない。台風災害もあって、2021年末に至っても東鹿越~新得は寸断されたままだ。この区間は利用客が少なかったこともあり、とうとう正式にバス転換が決定した。よって乗車は果たせぬ夢に…。


 さてホームの柱にある駅名表示といい、"サボ"といい国鉄らしさを残すJR北海道。雪が降っている中では寒いだけでなく、ホームの屋根下が暗く感じられる。
めぐ「北海道だとまだ現役って言うか…。」
さく「他だともう見かけないんだよ。」



21.滝川(12:27)12:32発→岩見沢(12:55)13:05着 特急スーパーカムイ20号/新千歳空港行き モハ789-1007
 5分ほど遅れて789系が入ってきた。特急に乗り込んでそのまま札幌へ向かうと、まさしく急行列車のダイヤとして成立する。自由席はかなりの混雑ぶり…。
もも「…また適当なのよね?」

 適当に座ったところで、この1000番台は青函連絡用の0番台と異なる車内イメージ。壁面はグレーの木目で、自由席の座席は0番台などと同様ながらモケットは濃赤茶色。照明も暖色系となっている。

 ついでに車内案内の表示部が、0番台と異なる光沢仕上げとなっている。通路側なので車窓を撮影できないが外は吹雪いているようで、遅れが拡大…。

 岩見沢で区間快速へ乗り換えようと考えたのは、単に多様性を追求するため。時刻表上での乗り継ぎ時間は10分と、十分余裕があるはずだった。しかし吹雪いて遅れており、余裕はまったくなくなってしまっている。幸いな点を挙げるならば方向が同じなことで、特急が発車しなければ区間快速も発車できないということ。

(つづく)