(2)名鉄が高山へ直通する特急『北アルプス』を存続させていたら?
2022年7月1日。JR東海のハイブリッド特急車両、HC85系の運用が満を持して開始される予定だ。先行投入車両での試験を繰り返し、2022年度に量産車両も登場する。
それでまたなんとなく…、やはり想像してしまうのだ。仮に名鉄が高山へ直通する特急『北アルプス』を存続させていたら…、と。今回は平成時代以降の出来事などと合わせ、仮に存続していた場合の変化を見ていこうか。
1990年3月10日、JR東海がキハ85に統一。前年から導入された高性能気動車により、特急『ひだ』の高速化が実現した。
1991年3月16日、名鉄8500系運用開始。JR東海と性能を合わせるべく高速化され、キハ85と同一性能になったことから併結運転も開始。そのまま廃止まで継続している。
2001年9月30日、名鉄8500系運用終了。その後は会津鉄道へ譲渡され、2010年5月まで運用された。会津鉄道では性能が合わず、結果的に車両寿命が短くなってしまった。
2005年2月17日、中部国際空港開港。前月に先行して路線が開業している。名鉄が特急『北アルプス』を存続させていた場合、中部国際空港発着にできれば…。
2006年11月25日、JR東海『TOICA』利用開始。2010年3月13日には美濃太田へ利用範囲が拡大された。この段階では名鉄と連絡させる場合、乗車券を駅で現金購入するしか手段がない。
2010年度、ATS-PT導入。名鉄が特急『北アルプス』を存続させていた場合、特に8500系が普通鋼製車体なこともあって老朽化を意識する頃合い。このあたりで更新改造を受け、ATS-PTを合わせて取り付けることとなりそうか。
2011年2月11日、名鉄『manaca』利用開始。かつて導入された『SFパノラマカード』の後継であり、当該項目においては名鉄のみで事実上完結していた。
2012年4月21日、JR東海と名鉄のICカード相互利用開始。直通利用の際に扱いを考慮しなければならなくなる。翌年には全国でICカード相互利用が開始され、影響が大きくなったことだろう。なお美濃太田から北は引き続き利用できない。
その後は海外からの観光客が増加。名鉄が特急『北アルプス』を継続運行させていたならば安泰でありつつも、そろそろ走行機器類の老朽化が顕著に。JR東海のキハ85も同様であり、ハイブリッド特急車両としてHC85系が発表された。
2020年4月7日、第1次緊急事態宣言。前月をもって海外からの入国が停止し、海外旅行客の利用が見込めなくなった。JR東海はといえば"来るべき日"に備え、HC85系の試験走行を繰り返している。
2022年7月1日、JR東海HC85系運用開始。名鉄も8500系を継続運行させるのは、さすがにもう限界だろう。後継車両が登場となったならば、ハイブリッド車両で間違いなさそうだ。
ところで"歴史のもしも"について、国鉄時代にも1つ重要な転換点があったり。次項ではそちらについて綴っていこう。
(つづく)
(3)国鉄高山本線の電化が実現していたら?
国鉄時代、高山本線に電化計画があったという。特急に381系が投入されるとあったようなので、実現した際の特急『ひだ』はそのまま381系なのだろう。普通は165系と思われ、この時点で中央西線と同じ匂いを感じることか…。
民営化後は213系5000番台も投入されたことだろう。しかし2ドアクロスシートながらトイレがなく、史実のキハ11と同様に不適切とされてしまう。そうなると311系も一部投入されたかもしれない。もしくは213系5000番台にトイレが設けられ、そうなれば運用の幅が広げられたろうに。
さて特急には383系が投入されただろう。キハ85が積極的な登場を果たさなかった場合の世界観で、ワイドビューというブランドも怪しくなる。普通はワンマン運転を行うため、313系3000番台で異論はなさそうだ。
で、名鉄も電車を直通できたことだろう。それこそ1000系『パノラマsuper』が姿を見せれば、前面展望も併せてかなり目立っていたに違いない。むしろ美濃太田までであれば制約があまり生じることなく、安定して本数も確保できたのではないだろうか?
美濃太田で対面乗り換えができれば、中部国際空港からほとんど苦労することなく飛騨国へ。
ついでにJR西日本、富山まで電化してしまっていたのならば?ひょっとすると475系が高山へ乗り入れたかもしれない。ただそれら全て3両単位なので、供給過剰といえばそれまで。猪谷で接続していた神岡線は非電化のままだったろうから、その時点で存続は危うかっただろう。
供給問題は富山市内での社会実験と、521系投入(+ワンマン化)まで答えがなかなか得られない。
結論…、北アルプスカラーのミュースカイが見たい。
(おわり)