2016年1月8日(金)午後7時40分以降 北海道山越郡長万部町・長万部駅
11.函館18:16発→東室蘭(20:34)20:40着 特急北斗15号/札幌行き キハ182-508
 長万部から、特急列車は室蘭本線に進む。引き続き函館本線を進む場合、小樽を経て札幌まで乗り入れる普通列車に乗り換えとなる。室蘭本線を回るほうが長距離なため、特急列車の走行距離も相対的に長くなるのだ。
めぐ「…どうしようね?」
なぎ「…何が?」
めぐ「…このまま進んで楽だけど面白くなさそうだし。」
なぎ「…それで時刻表か?」

 洞爺、伊達紋別と停車していく北斗15号。キハ183系の5両編成は、5号車の座席が元のままとなっているようだ。さて函館から札幌まで乗り通すとなると、乗車時間が3時間41分にもなる。
めぐ「…これ東室蘭で1回降りちゃって、普通乗換えでもいいかも。」
なぎ「…普通のか?」
めぐ「…せっかくだし。」

 

 ということで棚から荷物を下ろすこととなり、5回目となるキャリーカートの組み立てとなる。
もも「…何よ?」
なぎ「降りるんだと。」
もも「…どこでよ?」
なぎ「東室蘭。」
さく「…なんだって?」
もも「…降りるんだって、東室蘭で。」
さく「…まあいいんだけどさ。」

 東室蘭で降りると、ちょうどよく普通列車に乗り換えられる。札幌行きなのでそのまま乗り続けてもよく、南千歳から快速エアポートに乗り換えてもよい。快速の札幌到着は北斗17号よりわずかに早く、普通に乗り続けるとそれより遅くなる。
さく「隣だから楽だよね…。」
もも「…これ遠ざかってるんじゃない?」


12.東室蘭(20:40)20:43発→南千歳22:07着 普通2849D/札幌行き キハ143-156
 隣のホームにいたのは、客車を改造した2両編成のキハ143。どうも特急が遅れていたようで、乗り込むとすぐに発車。2列1列となっているボックスは埋まっており、ロングシート部分に座ることとなる。
なぎ「…車庫入れってか?」

 デッキは扉が取り外され、代わりにドア開閉ボタンが取り付けられている。またJR北海道ではワンマン運転の際、最前部のドアだけが基本的に用いられる。偶然か必然か、キャリーカートがちょうど収められるだけのスペースがあった。
さく「ついでに3日目、どこって書いてある?」
もも「ああ、アレね。札幌市内の…。」
さく「それはネットカフェ。その下、札幌を…。」
もも「…日本最北端への道?」
めぐ「行っちゃおうかなって。」
もも「いや、わかったからさ…。それで何…?」
なぎ「さっき言ったろ、日本最北端って。」


 キャリーカートを折りたたむ必要がないのは助かった。さて3日目も、特急列車での移動がメイン。スーパー宗谷1号で一気に稚内まで進み、そこからバスに乗り継いで宗谷岬へ向かう。
もも「…本当、行くの?」
なぎ「だから行くんだって。」
もも「…アンタらと?」
めぐ「他にいないよ?」

 そう、目的は日本最北端の地。今回の北海道旅行で最重要な箇所と位置づけており、"歴代史上最大規模"と称するにふさわしいもの。旅行班も重大な決意を持っていた。
めぐ「…いつまでこういうことできるかわかんないし。」
もも「毎回それで引き伸ばしてきたんじゃなくて?」
めぐ「いや、一応。…原付も買っちゃったし。」
さく「あ、買ったんだ?」

 今回の件とは関係ないので軽く触れる程度として、年末に購入したのは中古で6~7万円程度の原付スクーター。懐事情からすれば、決して安くはない。
もも「じゃあ、それでもう今年の予算使っちゃったってわけ?」
なぎ「お前、…まさかそれで?」
めぐ「…一応できるうちにやりたいかなって。」

 今後、状況次第では時間的に長期日程を組めなくなる可能性がある。そこで今回、実質5日間で可能な限り回ろうと考えたのだ。新たな可能性、希望も求めつつ…。
なぎ「…でも今年は大学から呼ばれるんだろ?」
さく「それはあるでしょ。」
めぐ「大学のあるし、…別にこれ自体が終わるわけじゃないよ。」
もも「アンタから旅行とか、そういうのなくしたら何も残らないわよ。」

 話を戻そう。稚内に戻ってからは普通列車を乗り継ぎ、旭川まで戻るのだ。
もも「何もわざわざ特急あるのに…。」
めぐ「キハ54に乗りたくなっちゃって。」

 キハ54はステンレス車体の単行気動車。北海道にいる車両は非冷房ながら造りがよく、座席は0系新幹線譲りの転換式クロスシート。もしくは向き固定ながらもリクライニングシートである。
もも「…それで、乗ったら?」
めぐ「旭川でホテル予約してて。」
さく「さすがにネットカフェばっかりじゃ持たないでしょ。」
もも「…アンタらたまにはやるじゃない。」

 とりあえず3日目の予定事項はここまでとして、ボックスがいくつか空いたので適当に座っておく。とっくに景色が見られなくなっているので、眠くなれば寝るというだけのこと。
さく「いやいや…、だからってここで横になったら終わりだっての。」
めぐ「だってすることないし。」

 苫小牧からはツーマン運転となり、2両合わせて4箇所全てのドアを利用できるようになる。普通でありながら通過駅があり、植苗,美々,サッポロビール庭園の3駅がそれ。
さく「…ほい!」
めぐ「…え、何か?」
さく「もう降りるよ、南千歳。」
めぐ「…もう?」

(つづく)