2016年1月8日(金)午前6時5分 東京都千代田区・神田アクアハウス江戸遊

 ひとまず荷物整理を終え、改めて準備完了。外に出て見上げると、やはり夜明けにも遠いビル街の空である。
さく「一応、天気いいみたいで。」
もも「天気よりも、…やっぱりその靴底よ。」
めぐ「何か…、応急的なのない?」
なぎ「いや…、途中で何かあるだろ。」


 まずは何より御茶ノ水駅へ向かうしかない。昨日とは道を変えて、淡路坂を上るとしよう。ビルの案内はガラスで出来ており、下から明かりが照らされて美しく浮かび出される。
めぐ「これきれいだよね?」
もも「いいから、そのキャリーカートを何とかしなさいっての。」
めぐ「そうは言ってもね…?」


 御茶ノ水からは、いよいよ『北海道全線フリーきっぷ』の利用を開始。一昨年の『世界遺産・富士山フリー乗車券』と同じく自動改札に通すタイプであり、『青春18きっぷ』とは異なる使い方をする。まずは"ゆき券"を投入。
さく「ここ本当、エレベーターとかないよね。」
もも「特にその荷物あるもんね…。」
なぎ「ここから5日とちょっとだから、それぐらいな…。」


(現)フロムアクア(JR東日本ウォータービジネス) 110円
 出発時に持参した飲料がなくなったので、ここで買っておこう。まずはJR東日本オリジナルの天然水と、JR東日本オリジナルの落ちないキャップ。
めぐ「…はい。」
もも「…いや、何かない?」

 新宿方面のホームに来ると、E233系快速と209系各駅停車がほぼ同時に入線。快速にさほど乗客はおらず、各駅停車はなかなかの混みようを見せている。


4.御茶ノ水6:23発→新宿6:33着 快速659T/青梅行き モハE233-206
 できるだけ座りたい以上、座れるほうに乗るのは当然。各駅停車が先に出発し、続けて快速が発車。今度はしっかりとモーターあり車両を選択。
めぐ「さすがに同じ失敗はしないよ。」
もも「いつもそうだといいんだけどね…。」

 早朝に乗るE233系。夜も明けきらず眠い中で聞くインバーター制御の音と、目に入る車内の液晶広告がなんとも不思議な気分にさせてくれる。それも慣れてしまうのだから恐ろしい。
なぎ「そうだよな…。」
さく「…まあそうなんだけど。朝何食べようか?」
めぐ「一応…、大宮で何かよさそうなのあるのかなって。」
さく「大宮はいいと思うよ。」

 快速と各駅停車はそれぞれ別の線路を通るため、途中駅で待避することなく追い抜かす快速。新宿までは四ツ谷のみ停車し、10分ほどで新宿に着く。
もも「…また時間余ったってんじゃないでしょうね?」
めぐ「余るっていうよりは…、見たいのがあるのかな?」
さく「見たいのってE233だよね?」

 大崎から池袋にかけて、埼京線電車と湘南新宿ラインは線路を共有。新宿駅も両系統が同じホームに発着する。正式には山手線の一部であり、快速線に当たる区間となる。
もも「…で、また時間余ったってんじゃないでしょうね?」
めぐ「いや、まだ見るの見てないけど?」


 朝7時前という早い時間。新宿発着の埼京線電車が多く、湘南新宿ラインは少し時間を置くこととなる。濃緑帯のE233系は、一昨年の夏以来だろうか…。
もも「…で、また時間余ったって。」
なぎ「もういいだろ、時間とかこれからたっぷりあるんだし。」


5.新宿6:50発→大宮7:19着 通勤快速643S/川越行き モハE232-7018
 大宮へ最初に着くという通勤快速に乗ろう。湘南新宿ラインも捨てがたかったものの、E233系でLED照明となればそちらを選んでしまうのだから困る。おまけに乗客もあまり乗ってこない。
もも「…最初からこっち乗るつもりだったくせに。」
なぎ「そうとは限らんだろ。」


 池袋を過ぎ、湘南新宿ラインの線路と分かれて板橋に停車。正式には赤羽線という独立路線の1駅とあって、東京23区内としては規模がさほど大きくない。周辺は大規模な集合住宅があり、利用客は多いはずである。
さく「まあ、この辺は他ないもんね。」
もも「乗れりゃ楽でいいんじゃない?すぐ近く、池袋新宿だし。」

 さて埼京線用のE233系は中央線快速用のそれと比べ、液晶画面が大きいだけでなくデザインも異なっている。十条駅も同じく赤羽線単独の駅で、規模は板橋とほぼ同じぐらい。
めぐ「…あれ?」
なぎ「どうした?」
めぐ「…なんだっけ?」
なぎ「忘れるなよ、聞きたいこと。」

 赤羽からは新幹線と並走するため、正式には東北本線の別ルートとして扱われる。このため山手線快速部分と合わせて、路線名としての『埼京線』は存在しないのだ。
さく「…この話って前にしたっけ?」
もも「まあ、今日初めて来た人には教えてあげたら?」


 そんな別ルートの景色は、まさしく高架線路から見る住宅地である。赤羽から大宮まで、途中の停車駅は武蔵浦和だけ。
なぎ「本当、住宅地だけで特集組むか?」
めぐ「え、だって前ってほとんど寝てたし。」


 東京外環自動車道をまたぐ高架線路。隣の新幹線線路は周辺の騒音対策のため、最高速度が110km/hに制限される。それだけでなく東北新幹線と上越新幹線、北陸新幹線も線路を共有するためダイヤは過密そのもの。なお新幹線は後に最高速度が130km/hとなった。
もも「…手間が省けたとかない?」
めぐ「いや…、特には。」


 大宮が近づくと地下に入る。横に広がる地上の線路は何だろうか?
さく「着くよ。」
なぎ「…あれ、寝てたか?」

 腹が減っては戦もできない一行。空き時間にどのような朝食をとって、大宮からの長い道のりをどのように過ごすのか…!?

(つづく)