2022年。無事に迎えられた者がいれば、非情な結末を迎えた者もいる…。
かつて宇宙をまたにかけたアイドルキャラとして『銀魂.』に登場するも、ポロリ編以降は出番なく"戦力外"となったビチエ。このブログでは彼女を活かすべく、勝手な設定を新たに追加して"獲得"していた。
だが現状、表舞台での"再契約"はほとんど事例がない。それでも現役をあきらめきれず、再起をかける者たちがいた。(※以下、憶測を含む。)
(1)都営地下鉄10-300系前期型~時代の変化に翻弄された末路~
2021年も末になってきたある日、都営地下鉄新宿線の10両編成化を完了させるというニュースが入ってきた。これは新製車両を投入することで実現させるというもの…。
それは2005年から運用された10-300系前期型のうち、8両で残る編成への戦力外通告とも捉えられる。歓迎を持って迎えられてから16年、あまりに早々で非情な宣告だ。今回は製造時期によって異なる特徴と共に取り上げよう。
なお正式には10-300"形"とされるべきところ、本項目では変換の都合もあって10-300"系"と表記する。東京都交通局の公式発表等では形式名を"いちまんさんびゃくがた"と読む。
10-310F~10-360F
いわゆる"10-300R"というタイプで、先頭車両のみが新規製造された。これは保安装置更新などで従来車両を置き換える際、経年の比較的浅かった中間車両を活用するためである。このため走行機器は従来車両に準じた電機子チョッパ制御となる。
こちらはあくまで中間車両の継続使用がメインであり、利用客から見れば"見掛け倒し"なことを否めず評判はあまりよろしくなく。最終的には新宿線の10両編成化で、あえなく戦力外を通告。もっとも中間車両は走行機器類の寿命を全うできたので、役割は果たせたといえよう。
10-370F~10-440F
今回非情な宣告を受けたのが、完全新造された8両編成となる。先述した"10-300R"の先頭車両と同様、ベースとなったのはJR東日本E231系。外見はビードプレス加工が省略されたステンレス車体となり、リーフグリーンの太帯に濃青色を添えているのが完全新造された特徴だ。
内装はミントグリーンが目立っており、薄味にして涼しげな印象を覚える。先述した"10-300R"の先頭車両も同様であり、旧来車両そのままの中間車両がクリーム色壁面と濃青色座席モケットで目立っていた。
10-450F~10-480F
しかし4本だけは2010年に10両編成化されていたため、今回の戦力外通告を免れた形だ。増備された中間車両は各所の仕様変更がなされ、編成に組み込まれている。ネックとなったのは検査等で入場する際に編成を分割する必要があったことと、パンタグラフの離線対策らしい。
しかも短期間で完遂させる必要があったようで、当該4本を除いては躊躇したのだろう。結果的に明暗を分けることとなってしまった。
確かに今更8両編成を10両化した場合、いわゆる"車齢差"が避けて通れない。10両編成で完全新造するのは理にかなうのだろうが、それならば既存の8両編成から中間車2両を捻出できなかったのかと。その場合でも各種改造は必要だろうし、6両編成4本の余剰(戦力外)は避けられない。
10-490F以降
2013年以後は当初より10両編成で製造され、そんなこんなで現在まで増備が続いている。JR東日本E233系ベースとなるなど車内外の仕様が大きく異なることから、本来ならば"10-500系"とされるべきだろう。
新宿線がインバーター制御に統一され、気付けば多数派を占めるまでになった。当然、これらは継続起用されるタイプとなる。
それにしても8両編成8本を、そのまま10両編成8本で置き換えるとは…。編成を組み替えられれば10両編成4本と6両編成4本に分けられ、前者は現役続行の希望が叶い。後者こそ10両編成4本で置き換えは避けられずとも、戦力外通行(余剰廃車)を抑制できたはずだ。
何せ2020年代はSDGs、いわゆる"持続可能な社会"が叫ばれる時代である。余剰廃車(廃棄物排出)を抑制することも、手段の1つではないだろうか?特に"東京都"交通局なのだから、余計に…。
それでも来る日まで、人々を乗せて走り続けるのが通勤電車の役目である。この日もとあるIT企業に勤めるサラリーマンは、通勤に電車を利用していた。お次はそんな彼に救われたという、ある登場人物の話。(※以下関連の画像なく、二次創作へ。)
(2)ひげを剃る。そして女子高生の母親を拾う。
IT企業に勤めるサラリーマン、吉田。彼はいつものように通勤し、自宅へ帰宅する。ところがこの日は帰宅する途中、見覚えのある女性が路上に座っていた。
「ここにいれば、あなたに会えるって信じてた。」
吉田は以前、家出してきた女子高生を保護している。名前は荻原沙優といい、兄に『おぎわらフーズ』社長の荻原一颯を持つ。沙優を北海道の実家へ帰すこととなり、吉田は母親と話し合い。最終的に和解していたのだった。
それから両者が顔を合わせる機会はなく、月日は流れて。忘れかけた頃、吉田の前に現れたのだ。そのまま順調に過ごしていれば、沙優は高校を卒業しているはず…。
沙優の母親は、吉田に礼を言いたく上京してきたという。沙優は高校を卒業でき、東京の大学へ進学したらしい。北海道の実家を離れるのは既定路線だったとはいえ、その間もトラブルは一切なく。むしろ本来あるべき母娘らしい、良好な関係にまで築けたと語った。
そもそもなぜこんなことになったのか。話は娘、沙優の生い立ちにまでさかのぼる。
夫は『おぎわらフーズ』の先代社長だったものの浮気性で、妻が身ごもった際にはすでに夫婦生活は破綻。娘の出産を挟んで、夫婦関係は完全に消失していた。実娘の存在が疎ましくもあり、世間体を気にするがあまり母娘関係は存在すら否定。
さらに娘の通っていた高校で事件があり、曲がりなりにも『おぎわらフーズ』の社長夫人だったため騒動が発展。娘は家出したほか、母親にも監禁疑惑が向けられる。この時点で母娘関係は消失…、そうできればそれだけ楽だったのか。
唯一の救いは息子、一颯が『おぎわらフーズ』を継いだことであった。しかしその裏では妹の沙優に大金を渡し、家出を促していたという。
しばらくして沙優は北海道の実家に帰ってきた。その際引率役となったのが彼、吉田である。突然の"方針転換"を受け入れられず、なおも母娘関係の存在意義と現実を受け入れられず否定する母。
「親はあなたしかいないんです。」
唯一無二の存在…、この言葉が重く響きわたる。何度も考え、何度も話し合い。最終的に北海道の実家にて、高校卒業までは母娘関係を継続することとなった。それからというものトラブルなどは一切起こさず、高校卒業を迎えることができたそうだ。
以降、実娘の沙優とは顔を合わせていない。離れ離れになることで、自らのけじめにもなるからと。それでも上京したのは、密かに娘の様子を探りたかったため。何より御礼したい人物が吉田だったから。
「で…、泊めてもらっても。」
やはり母娘は似るものだ。
物事には出会いと別れがある。それぞれ求められる役割も、日々変化し続ける。そしてまた、新たなる歴史が始まるのだ。
(おわり)