2015年9月5日(土)午後0時4分 山梨県北杜市・清里駅
9.野辺山11:56発→小淵沢12:27着 普通228D・小淵沢行き キハE200-3
かつて高原リゾートとして賑わっていた清里。求めているのは"高原らしさ"であって、派手な観光施設などいらないのである。あくまで個人の了見だが、間違ってはいないはず。
JR最高地点からはひたすら下りとなるため、ディーゼルエンジンをほとんど動かさない。そのため、これまでの気動車では考えられなかった"静かな車内"が実現したのだ。
さく「前は上ってたから、音とか…。」
めぐ「ディーゼルのはずなんだけど、…あんまりよく覚えてないんだよね。」
もも「…そういえばアンタがこの前乗ったとか言うエコハイブリッドってどうよ?」
めぐ「なんだろうね…、発電機が回りっぱなしとか言う感じかな?」
そういえばデビュー当初存在したはずの、走行モードを表示させる液晶画面がいつしかなくなっていた。なお後に登場するHB-E210系では、走行モードを表示させる液晶画面が搭載されている。
元々は"量産を視野に入れた先行車両"とあって、3両中1両を各種試験に用いていたとか。他の2両が、今日のように通常運行を行う。
もも「アレ…、押さえなかったのが悪い。」
なぎ「いいだろ、カメラとかなかったってんだし。」
高原地帯を走るとあって、窓の開かないキハ110系列はややもったいなかった。キハE200は交互ながら開閉可能な窓があるので、窓を開けて高原のさわやかな風を味わうことも可能である。
さく「暑くなけりゃいいけどさ…。」
なぎ「そういうこと言うなよ。」
そんな小海線は遠くの景色も魅力的。しかしながら視界が木々に遮られ、タイミングも合わなければうまく眺められない。
もも「またまた…。」
さく「最初からカメラ出しといたら?」
なんだかんだで駅ごとに、互い違いに撮っている今回の小海線。甲斐小泉の近くにある、平山郁夫シルクロード美術館。
めぐ「…あんまりよくわかんないかも。」
もも「アンタにはわかんないでしょうね。」
なぎ「決め付けるなよ。」
終点が近づき、標高も1000mを切るまでに下がってきた。それでもまだまだ、いい景色が広がる。
さく「いい景色って何さ?」
もも「いい景色なら…、誰かが好んだ景色なんじゃない?」
実りつつある稲、そして八ヶ岳。日本の風景に、日本が世界に先駆けて運転を開始したハイブリッド鉄道車両。沿線にはカメラを構えた人もいた。程なく小淵沢に着き、31分の乗車は終わる。
2007年に3両が投入されたキハE200。近年JR東日本が投入している電車と同じくステンレス製車体をもち、やはりE233系電車に近い車内。ボックス席には小海線のキャラクターが入ったヘッドカバーがかけられている。
さく「絶対気になるよ、この子。」
めぐ「…わかっちゃった?」
もも「アンタが好きそうなのをね…。」
フロントマスクに"HB-E200"のロゴが入れられたものの、今のところ形式として"HB-E200"を名乗ってはいないこの車両。事実上の量産型にあたるHB-E210系が登場した今、今後の動向は気になるところだ。
なぎ「…これも期待でいいんだな?」
もも「…いいんじゃない?どうせ期待なんかしないし。」
中央東線への乗り継ぎ時間は10分ほど。これから向かう松本で気になっていた名物グルメがあり、今日はそれを昼食とする予定としている。ただ、時刻は昼の0時半を回っている。
もも「…アンタら何立ったまま食べてんのよ?」
なぎ「さっき時間あって、軽く埋めるぐらい欲しくて。」
さく「10円じゃ何も買えないよね?」
もも「…まあ、まあそうだけどさ?途中で買った誰かは別としてよ、私は朝に蕎麦食べてから何も食べてない。」
めぐ「ごめんごめん。」
なぎ「だったら別に欲しけりゃ買ったって…。」
もも「そうじゃないの。そのパン1つとかそういうのじゃなくって、せめてお土産とかそういうのに…。お2人さん?」
さく「菓子とかないの?」
もも「…菓子ぐらいあったけどさ?私は誰かと違って計画性ないし?」
10.小淵沢12:40発→松本14:00着 普通437M・松本行き モハ210-5
高尾発の6両編成。立川始発の"中距離"列車もあるが、これは違う。先程以上の長距離運用とあって、空気を読んだのかボックスシート車両が来た。肝心のボックスは空いていないので、引き続きロングシート部分に座る。ここからはボタンを押すことなく、ドアは自動で開閉する。
もも「ま、ロングで反省することね…。」
さく「いや、だからそういうのじゃなくって。」
もも「いつあったのよ?甲府?」
さく「1回目の小淵沢で36分?」
なぎ「もういいだろ。」
もも「…まあいいけど。」
野辺山で長野県に入っていた旅行班は、中央東線でも長野県に入る。相変わらず、橋の上からの景色がいい。
さく「にゃんぱすー。」
もも「…わかったからそれやめない?」
さく「じゃあ、他に何があるのさ?」
なぎ「普通に黙ってろ。」
すずらんの里は、田舎の風景にホームだけある駅。この日はここから客がそこそこ乗り、駅では係員が切符などを売っている。
さく「…花火大会って今日だったっけ?」
めぐ「今日だったけど。…臨時のとか。」
もも「そういうのは見て、肝心の花火は見ないんだもの。」
めぐ「花火は見たいけど、近くでそういうのがないの!」
(つづく)