2015年8月9日(日)午前8時8分 新潟県上越市・直江津駅
 待合所のテレビはいつの間にか撤去されている。椅子に座って"例のモノ"を確認しよう。
さく「今日のルート言うけどいい?」
もも「じゃあ…、お願いよ?私以外にもこれ見てる人にわかりやすくね。」

 直江津8:31発の快速に乗り、長岡へ。この快速はえちごトキめき鉄道(旧北陸本線)の糸魚川始発であり、特急車両だった485系が用いられる。続いて長岡からは上越線で…。
さく「で、越後湯沢に酒風呂ってあったじゃん。」
もも「それ前入ったことない?」
めぐ「また入ろうかなって…。」

 これまたかつて利用した、越後湯沢の温泉へ。調べたところ10時半より営業とあったので、時間の問題ないはずだ。
なぎ「問題はどれだけかかるかだよな。」
めぐ「出てすぐってのも…、なんか嫌じゃない?」
もも「まあ…、さっぱりしたのにまたすぐ汗たっぷりってのもね。」

 越後湯沢から先は在来線の本数が少ない。せっかくなので、オール2階建て新幹線にも乗っておきたい。
もも「…乗るのね。」
めぐ「乗れるときに乗っとかなきゃ。」

 高崎からは、長らく乗っていなかったグリーン車へ。普通列車に連結されるグリーン車は自由席であり、青春18きっぷとグリーン券の組み合わせで乗車できる。
なぎ「これもいつぐらいだっけ?」
さく「いつだろう…。」
めぐ「…まあ、大宮までは寝る時間でいいと思う。」
もも「そう言うと寝れないんじゃない?」

 宇都宮線こと東北本線と合流し、赤羽までは新宿経由のルートと並走。もう1つ、忘れてならない路線がある。
もも「それで、上野から東京まで乗り換えなしで行くってのね?」
さく「…まあそうなんだけど。」

 東京からは名古屋まで、東海道本線を乗り継ごう。詳細はあえて今言うこともない。
めぐ「…ま、最後までね?」
もも「わかってる。書いてあるけど、…またホームライナーだとかでああするわけね。」


 ということで、青春18きっぷの2回目は直江津からスタート。お盆休みが始まる前の日曜日、午後から東京へ向かう北陸新幹線は見事なまでに満席。最混雑期を避け、前倒した観光帰りだろうか?
さく「やっぱり考えることが同じなんだよ。」
もも「本当ね…、アンタらがその日どうなのか知らないけど。」

 すっかりえちごトキめき鉄道の駅となった直江津。旧北陸本線を走るのはキハ122ベースのET122。乗り込むJRの快速はというと…?
なぎ「ってか、122の写真はいいのか?」



26.直江津8:31発→長岡9:33着 快速8621M/新潟行き モハ484-3060
 『くびき野』や『北越』の生き残りともいえる485系3000番台。糸魚川始発で、グリーン車自由席が設けられている列車は1日1往復だけ。座席は十分空いている。
めぐ「…グリーン車でもよかったかも。」
もも「乗るんじゃないの?」
めぐ「乗るけど。これも自由席。」

 485系のリニューアルに際し、車内にはLED式の案内装置が設けられた。現在は号車表示以外に何も機能していない。唯一、"現在時刻"が流れるものの…。
めぐ「…8時20分?」
さく「全然ダメだねこれ。」

 北陸新幹線開業まで、新井発着の快速『くびき野』や金沢発着の特急『北越』が行き交っていた信越本線。開業後は運行系統が変わり、快速『くびき野』は特急『北越』と実質的に統合。新井~新潟間の特急『しらゆき』に格上げされ、E653系に置き換わった。一方で糸魚川へ直通していた列車は、この快速1往復として残るだけ。

 快速はこれまで通過していた犀潟に停車し、北越急行が分かれる。快速は他に列車名のないものが設定され、糸魚川発着の1往復を除いて直流電化区間で完結。今朝もネットカフェを少し早く出発し、1本早く出発すると直江津発長岡行きの快速に乗ることができたのだ。
めぐ「…ま、これ乗りたかったし?」
もも「開き直っちゃって。」


 さあ初日に次いで、最終日も日本海の車窓。
さく「…海とかよくない?」
もも「一昨日もそうじゃなかった?」
めぐ「海の画はなんか欲しいのよ。」
もも「アンタもそれ…。」


 荒々しかった冬の日本海も、夏は穏やかな感がある。海に面した駅として名高い青海川も、夏に通るのは初めて。おまけに今回は快速とあって停車しない。


 そして日曜とあって、海水浴の客や車が多く見られる。
もも「…なぎ姉は?」
なぎ「…何が?」
さく「海とか。」
なぎ「遠慮しとく。」


 柏崎からは海を離れ、内陸部を進む信越本線。海沿いを進む越後線は単線であり、線形もあまりよくないと…。
めぐ「115逃した。」
もも「これから乗るんじゃなくって?」
めぐ「湘南色だし、真ん中のなんか古いのだし。」


 外から見てもくたびれていた特急型車両。リニューアルされた車内も、窓枠のゴムが歪んでしまっている。同時に設けられた快速の多くは115系で、交流電化の糸魚川へ乗り入れが可能なためだけに485系が1往復残ったようなものだろう。同じく485系を使用していた朝夕のライナー列車はE653系に置き換えられている。
めぐ「…やっぱり新車いるよ。521とか。」
もも「ここに521?」
めぐ「交流のとこ入るならそうなるのかなって。」
もも「…こういう特急のじゃなくて?」
めぐ「いいよ。新快速みたいなのなら、そっちのほうがかえって。」


 そんな原型車両の構造体は2021年秋、盛岡に最後まで残っていた『ジパング』の引退ですべて姿を消す…。
(つづく)