香林坊のバス停で降りた旅行班。ここも複数のバス乗り場があったのだが、アトリオ前で正しかったのだろうか?
さく「ま、ダメだったらダメだったってことで。」
さあ、お目当ての店までもう少し。ビル陰や木陰が日差しをうまく遮り、幾分か暑さを和らいでいる。
もも「…こっちで合ってる?」
めぐ「一応、この方向っぽいけど。」
金沢カレーの元祖を名乗る店はいくつかあるようで、一概にどれが正しいというのかはわからない。今回は東京未進出ということで『ターバンカレー本店』を選んだという、それだけのこと。店の前では列ができている。
もも「まずは合ってただけよかったじゃないの。」
めぐ「それはいいけど…、並んだら並んだだけ観光の時間が短くなっちゃうし。」
割と早いタイミングで店内に入ることができた。店そのものは狭く、カウンターがメインとなる。メニューというよりは、トッピングが豊富といったところか。『全部盛りっ!』らしくLセットの中サイズを注文し、"順番が来る"まで待とう。
めぐ「…どうしようね?」
もも「何、時刻表?」
めぐ「今日結構混んでるっぽくって、バスとか時間かかっちゃいそうだし。」
もも「ま、私は結局付いてくだけだし。」
タイムリミットは、富山21:58発の最終便(はくたか590号/長野行き)。富山が基準なのは、あくまでブラックラーメンのためである。現状、富山の観光は難しくなったというところか。
めぐ「そうなると7時前には出たいのかなって。」
もも「…ま、ダメになりそうなら教えてよ?」
(現)Lセット・中(ターバンカレー本店) 880円
金属皿の上にご飯が盛られ、ドロドロした黒いルーがかかりキャベツが添えられている。トッピングはウインナー2本とハンバーグ、ロースカツ。ソースがかかるのも特徴。さらに希望すればマヨネーズも無料でかけてもらえる。バラエティ性とボリュームがバランスよく、濃厚なお味とともに程よいガッツリ加減。好きなものを好きというのは当たり前。
めぐ「ごちそうさまでした。」
さく「…外も暑けりゃ食べても暑い。」
大満足の昼食後の次は、どこへ行こうかと考える。見物箇所は兼六園、ひがし茶屋街といったぐらいを想定していた。
もも「単にバス乗りたいんじゃなくって?」
めぐ「バスもだけど、一通り見るところは見ておきたいのかなって…。」
もも「…なんか不安。」
16.香林坊1のりば(13:50)14:11発→兼六園下・金沢城5のりば(13:55)14:16着 路線バス臨時/兼六園下・金沢城行き 北陸鉄道バス22-974
とりあえず来たものに乗っておく。繁忙期に運転されるような臨時便で、終点までフリー乗車券の範囲内にかかっている。
もも「座りたいだけ座っちゃって…。」
さく「そういえばだけど…、津島に金沢カレーってなかったっけ?」
めぐ「あるけど…、前に1回食べてそれっきりかな。あんまり覚えてない。」
終点まで乗ったので、兼六園や金沢城という選択になる。金沢のカレーは慣れていないので、他店との違いはわからないまま。次に来る機会があれば、もう少し調べればいいのかもしれない…。
バスを降りると、前田利家公の像が構えていた。
さく「……。」
もも「…何、黙っちゃって。」
なぎ「暑いから静かにしてくれるか?」
猛暑ですっかりトーンダウンの旅行班。それでも、せっかく来た以上は何か見ておきたい。とりあえず、地図で場所をしっかり覚えよう。これが重要であるはずなのだ。
金沢城を外から眺める。
めぐ「…あんまりお金とかもアレだし。」
もも「…アンタ見物料をドリンク代にする気?」
めぐ「もう…、水とか残ってないっぽいし。」
直接は城内に入れないので、信号を渡って紺屋坂を上がることになる。坂に面して土産物屋が並ぶ姿は、京都の二年坂・三年坂に通じるような通じないような。
さく「…ま、京都ぐらい行けるんだし。」
めぐ「…いいけど、まだ見てないとこいっぱいあるし。」
なぎ「いい加減恨むのやめろよ、今度は置いていかないからさ。」
兼六園には入らず、石川門口から金沢城公園へ。見学するとはいえ、下調べも何もない。おまけに、観光名所といったものを回ることに慣れていない旅行班。さて、程近い兼六園は単独の入場券が310円。プラス1利用券として、もう1箇所見られるというものが500円。(※当時の価格)
金沢城三御門のひとつ、重要文化財となっている石川門。1788年に再建されたものであり、石垣の技法は左右で異なっている。こちらは『切石積み』という技法。
さく「こんなのどうやって切ったんだろ…?」
三の丸北園地を見ながら、屋根のある休憩所で早速休む。日陰だと時折涼しげな風が通り抜ける。
なぎ「…案外悪くないかもな。」
さく「…名古屋と違うよね?」
めぐ「…そう?」
もも「この人に聞いたってダメよ。」
(現)やさしい麦茶(サントリー) 130円
売り切れの品も多い中で、目の前で自販機が故障するという事態に遭遇。とりあえず購入できたということと、価格が比較的優しめだったということか。
三の丸広場の芝生には入らないでおこう。櫓を多用したという金沢城は焼失後に再建が進められているが、天守閣は現在に至るまで再建されていない。
めぐ「…なんだっけ?」
もも「…今度、絶対別のメンバーで来てやる。」
橋爪橋を見る。五十間長屋との間にあるお堀は水が張られている。
もも「…別に暑くて動きたくないならバスばっかりってのも。」
なぎ「お前こそ何だ、観光したいってのは…。」
もも「そりゃ…、こんなに暑いんならね?」
さく「…ってかなぎ姉、暑いって言っちゃったじゃん。」
(つづく)