「時間はデジカメのデータを元にしてありますので、実際と異なる場合があります。」

2013年1月7日(月)午前10時6分 富山県富山市・電鉄富山駅

 到着したホームにはヘッドマークと思しき物が勢ぞろい。降りたばかりの列車も方向幕は備えついているので、今はあまり特急以外に使うことはないのかもしれない。それとここは雪が多い…。
さくら「…それってスコップ?」
ももか「…スコップ?」
さくら「…あれ、シャベルだっけ?」
めぐみ「わかんない。」
なぎさ「…どうだったか。」

 

 "スコップ"と"シャベル"はどちらがどちらだかわからないのでややこしい。"雪かき用の装備"と"歴代のヘッドマーク"を見たので改札を出よう。ここは映画『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』の舞台でロケ地。


 入口には出演者、監督によるメッセージが書かれた掲示板が展示されている。
めぐみ「…第1作見たんだけど。」
さくら「これじゃなくって?」

 劇場映画として見たのは富山地方鉄道を舞台にした"第2作"ではなく、一畑電車を舞台にした"第1作"のほう。そういえば、映画を劇場で見るのもすっかりご無沙汰だ。
ももか「山陰ね…。」
なぎさ「それでこれはまだなんだな?」
めぐみ「まだ見れてないけど…。」
ももか「…次山陰とかないよね?」
さくら「山陰は…、どうだろう…?」

 2012年に『鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ』と代わって登場した『秋の乗り放題パス』。3日分を分割利用できなくなったが1回あたり2500円に下がったので、神在月の出雲大社もいいかもしれないか。
めぐみ「じゃあ…、次。」
なぎさ「もうちょっと触れてやれよ。」



15.富山駅前10:10発→(18分で1周) 富山市内電車軌道環状線 9002B
 次は同じ富山地方鉄道でも、市内電車のほう。これまた足元が危なっかしい雪の中で乗り換えなくてはならない。いたのは注目の"最新の路面電車"。環状運転するのはライトレールと同じ、2車体連接タイプだ。
ももか「…10分間隔よね?」
なぎさ「10分だよな…?」
ももか「そうなら何も別に急がなくたっていいのに…。」


 床が全体にわたって低く、ホームとの段差が小さいため車椅子でも乗り降りしやすくなった車内。その座席は小さめなボックスシートで、座面の高さが位置によって一致しない。大きな固定窓にカーテンなどはなく、日差しは直接入って暑く感じられる。
さくら「防ぎようがなきゃしょうがないし…。」
ももか「…自分で選んだんならそれでいいじゃないのよ。」


 富山城址公園を車内から見る。複線区間で占める市内電車において、最近に開通した環状線は反時計回り一方通行の"単線"。これはディズニーリゾートラインと同等だ。
ももか「…別にいいわよ。どうせまたお金とかでしょ?」


 新しい電停は"床"がいいばかりか、仕切りもガラス張りで屋根もあり待合用の椅子まである。
ももか「…本当アンタら新しい物好きね。」
めぐみ「…悪い?」
さくら「いいんじゃない?中暑いのだって乗りたいから選んだんだし。」


 一方でこれまでの電停は安全地帯として1段高いだけに過ぎず、仕切りも古く他に何もない。
さくら「…これ大丈夫?」
めぐみ「さあ?」
なぎさ「降りるとき危なくないかってこと。」
めぐみ「…ちょっとアレだった。」


 なんだかんだ最新だと言って、結局はライトレールの"併用軌道区間"と同じ。市内電車の運賃も、これまたライトレールと同じく均一200円。1周して富山駅前に戻ったら下車し、路面電車の"未来系"らしいマスクを収めておく。

 半シャーベットの雪上は相変わらず危なっかしい。このあたりで1回トイレに入っておこう。
ももか「…それで?」
めぐみ「他は何も…。」

 富山での目的は新魚津から乗った地鉄電車と、そこから市内電車で1回りすること。両者を果たした以上、一応終わりとなる。
ももか「…何も?」
めぐみ「何も。」

 …他の予定はない。
ももか「…ハアァァァ!!?」
さくら「何…、何いきなり…?」
ももか「アンタら決めといて手ぶらで帰る気!?」
めぐみ「いや…、まだ…」
ももか「まだじゃないでしょ!どれだけ時間あんのよ!?」
さくら「40分…。」
ももか「そんだけありゃ観光とかライトレールとかないわけ!?」

 岩瀬浜へは片道20分以上はかかるので、地鉄電車に乗った以上ライトレールの乗車は不可能となってしまった。結局はお土産などを"物色"しながら待つしかない。JRの駅は新幹線開業と合わせた高架化工事で、色々と面倒な状態になっているし…。
ももか「…アンタらがそうしたかったんなら別にいいわよ。」



16.富山11:10発→高岡11:40着 普通430M/金沢行き クモハ521-13
 増備に伴って運用範囲を富山まで広げていた521系が、このタイミングで登場。金沢から敦賀を主な活躍の場としていたのだが、国鉄急行車両を置き換えると同時に2両編成となり座席が減ってしまった。
さくら「…思ったより早かったね。」
めぐみ「まあ…、金沢からは確実だからね。」


 最高120km/hと更なる性能向上が図られた521系。JRの北陸本線は幹線だけあり、線形もあってさすがの速さだ。沿線の雪景色も相変わらず北陸らしい。
ももか「…あれだけ言っておいてこんなあっさり乗れちゃってさ。」
さくら「まだ恨んでたんだ。」
ももか「…この新しいの好きなばっかりに私連れまわしてさ、それで不満なら文句ばっかり言うんだもん。」
なぎさ「悪かったな。」
ももか「なぎ姉じゃないわよ。」
めぐみ「ごめん…。」
ももか「…でも225乗れたんだからさ?」
さくら「アレもう乗ったの?」

 225系に先行する形で登場した521系中期車。この増備グループからはつり革の形が大きくなり数も増やされ、それ以外の持ち手の部分と合わせて黄色くなった。
ももか「乗ったのに521の新しいのもって言うんだもん。」
めぐみ「違うよこれとそれは。」
ももか「何がいいのよ?」
めぐみ「…つり革とか。」


 実際の225系は窓や天井の液晶画面『WESTビジョン』など、223系よりかは321系に近くなった印象がある。後に321系も207系とともに、つり革が替えられ数も増やされている。

 225系はさておき、小杉で12分停車するのでこの間に少しでも寝ておこう…。
なぎさ「…どう?寝れた?」
めぐみ「寝れないかも…。」
なぎさ「…ちょっと寝れたっぽそうだな。」
めぐみ「…一応寝てみたんだけど。」


 川を渡れば高岡に着く。そもそも城端線の本数が少ないことがプランニングの苦心した点であることだけ言っておこう…。

(つづく)