JR各社では従来の液体式気動車を代替すべく、新駆動方式の気動車。および架線レス電車の開発、投入に着手している昨今。その形式がバラバラな件は見過ごせない。そこで勝手ながら、統一させてみたい。

 なおJR四国は通常の電車や気動車の段階で、以下5社と異なる形式法則を採用したこと。今後新駆動方式が登場しても、同様に数字4桁の形式を採用すると思われるため割愛する。(おそらく新車を登場させる段階で、JR各社からOEM供給を受ける形になりそう。番号等は1701~を想定する。)

キハ285系900番台
 パラレル式ハイブリッドとして登場予定も、各種仕様の超次元化に諸費用等が追いつかず開発中止。以後JR北海道の気動車は電気式、もしくは従来の液体式となる。形式の面でも、今回ないし次回述べる内容で使用できなくなったのは痛手だ。

H100
 その後JR北海道は電気式気動車の導入を選択。後述するGV-E400系のOEMであり、極寒地仕様としたものだ。投入される一般型気動車は、需要面から全て単行運用を念頭に置いている。ついでにキハ54はステンレス車体であり、電気式への改造も(四国共々)視野に入れたい。

 それにしても、生じたデッドスペースが定員数の適正化に貢献。通常の輸送需要が少ないために…。

キヤE991→クモヤE995
 2003年にシリーズ式ハイブリッドの試験車両として登場。のちに燃料電池駆動試験を経て、蓄電池電車へ改造されている。いずれも量産車両ないし次代試験車両へと反映され、役目を終えた。なお日本国内の鉄道気動車に用いられるエンジンは、貨物機関車含めて全てディーゼルエンジンだ。

キハE200
 世界初の営業用シリーズ式ハイブリッドとして、とりあえず3両が小海線へ投入される。形式に"キハ"と入れていることから、この時点では従来型の形式をとりあえずあてはめた形だろう。以降JR東日本では営業用気動車の"200・300系台"を、シリーズ式ハイブリッドに当てはめている。

HB-E300系
 JR東日本が次なるシリーズ式ハイブリッド車両として、採用したのはリゾート列車。この形式から"HB"を正式採用することとしたようだ。ところで車内はリクライニングシートやセミコンパートメントが主体なので、広義の特急用といっても過言ではなさそう。

 グリーン車扱いの車両を登場させても"HB"のまま、番号も通しにできるのが狙いだったか。
 

HB-E210系
 続いて一般型のシリーズ式ハイブリッドも本格登場に至る。こちらは2両1編成(HB-E211,HB-E212)で組み、形式末尾が"0"にはならない。

EV-E301系
 こちらは2014年に初登場となる蓄電池式電車で、このタイプは形式に"EV"を使用する。先行で烏山線に2両1編成が投入され、最終的に統一をもって"電化"に至ったと。合わせて烏山の駅構内に、充電用の架線が設けられている。JR東日本が提唱する"架線レス"で採用する1手段だ。

EV-E801系
 こちらは交流電化用の蓄電池式電車で、後述するBEC819系をJR九州からOEM供給。男鹿線は50Hzで寒冷地にあることから、相応の仕様変更を施している。

GV-E400系
 シリーズ式ハイブリッドから蓄電池を省略し、エンジンで常時発電させれば電気式気動車。やはり形式に"キハ"を用いず、新しく"GV"を採用。以降JR東日本では営業用気動車の"400系台"を、電気式気動車に割り当てた。

 なお両運転台がGV-E400、片運転台がGV-E401,GV-E402となる。JR北海道へOEM供給したのは全て両運転台だ。


GV-E197系
 JR東日本はGV-E400系の方式を活用し、事業用の電気式気動車を投入すると発表。形式に"GV"を採用し、事業用であることから営業用の割り当てから例外扱いらしい。モノは牽引用車両を両端に置き、中間車両はホッパ車(駆動装置はなかった)。バラスト交換に使用される予定。

FV-E991系
 さらには燃料電池駆動車を開発し、こちらは"FV"を採用する。"900系台"からわかるように、まだ開発段階だ。それこそ"化石燃料不使用"を念頭に置くならば、多様な選択肢を求めたい。

E001『TRAIN SUITE 四季島』
 現時点で唯一電気・ディーゼル両用となっているが、この車両は"プロトタイプ"を兼ねているべきだろう。文献によればベースとなったのは、高級団体用で6両1編成しかないE655系電車だという。10両編成にして乗車定員は22名。ツアー専用なことからも、縁遠い存在のままだろうと。


 もっとも"プロトタイプ"を兼ねているべきであることから、交流電化も50Hz/60Hzのみならず20000V/25000Vと全て搭載。編成単独で北海道上陸が可能なのもこのためだ。量産型登場の際は各線区に合わせて、全ての電化区間を走らせる必要まではないかと。


HC85系(クモロ85,モハ84,クモハ85)
 JR東海もシリーズ式ハイブリッドを採用し、特急運用を念頭に最高運転速度120km/hとした。JRの新形式気動車ながら2桁形式(キハ85)を採用するなど、古典的で保守的な傾向からどうなったかと。結果は2桁のまま、まさかの"電車"扱い。本稿ではこれを基準にしよう。

87系『TWILIGHT EXPRESS 瑞風』
 ツアー専用列車として、JR西日本はシリーズ式ハイブリッドを採用。こちらは旧来の気動車から続くように形式(キイテ87等)が用いられており、JR東海がHC85系に"クモハ85"等と採用させざるを得なくした説も…。

DEC700
 シリーズ式ハイブリッドから蓄電池を省略し、エンジンで常時発電させれば電気式気動車。JR西日本は一般用車両として同方式を採用し、ディーゼルエレクトリックから"DEC"と付番。いきなり"700系台"とはこれいかに。

 GV-E400系とは外見上の共通点が見られつつも、異なるタイプだとされる。大きく異なるのは試作段階なことから、蓄電池を追搭載させてシリーズ式ハイブリッドへの改造も可能なことだ。


YC1
 JR九州もシリーズ式ハイブリッドを採用。形式にはやさしくて力持ち(Yasashikute Chikaramochi)の頭文字から"YC"を採用も、日本語のコンセプトをそのまま流用というのはどうかと思う。座席も817系2000番台以後相変わらず評判が悪いようで、交通機関として限界が見えている。

BEC819系
 こちらは蓄電池式電車。交流電化専用であることから、EV-E801系としてOEM供給した。香椎線では完全自動運転の試験を行うらしい。

 話が長くなってくるので、続きは次回。
(つづく)