2015年8月15日(土)午前11時17分 岐阜県可児市・皐ヶ丘9丁目
皐ヶ丘9丁目でほかの1人と共に下車し、栄からの通常運賃は870円。これは名鉄バスセンターから乗るよりも60円安い。そして名鉄バス同士でICカードを介し、90分以内に乗り継いだためさらに40円安くなった。
桜ヶ丘と皐ヶ丘、そして桂ヶ丘の3団地で『桜ヶ丘ハイツ』と称している。名古屋方向から高速バスが毎時1本ずつ通じており、利便性が高い。今回はそのバスで降り立ち、バスは回送状態となって桂ヶ丘へ向け発車。直進方向は欅ヶ丘といい、現在まで開発が行われないままとなっているとか。
あい「…なにを?」
めぐ「ああ、わかんないよね。」
皐ヶ丘9丁目から歩く。桜ヶ丘ハイツの特徴としてまず挙げるのは、道路に街路樹と歩道が設けられている点。車道も片側1車線ながらジグザグなカーブとなっており、自動車の走行速度が抑制される。これにより美しい印象と共に、歩行者が安心できる街並みとなった。
家の間を縫うように、自動車の通れない抜け道もある。休みの"中日"で軽く帰省客になってしまったが、特に血縁者がいるわけではない。
なぎ「わざわざここまで来たのって…?」
めぐ「公民館、さっき通ったでしょ。」
多治見市と可児市の境目にある桜ヶ丘ハイツ。突き当たると桜ヶ丘公民館がある。以前も大学のゼミで見学した際、説明を受けるために通されている。その後も、1度だけ用事があって訪れていた。
さく「でも関係ない人が、こんな日にわざわざ来るところじゃないよね。」
あい「…開いてるの?」
めぐ「土曜日だし、開いてないかも。」
ひな「あ…、開きましたけど。」
公民館は開いており、中は冷房が効いていないのかあまり涼しくない。体育室は地域住民の団体が使っていた。邪魔をしてもいけないので、トイレに入ったぐらいで引き取ろう。炎天下で見て歩く以上、水分を忘れず持っておきたい。
ひな「まだ時間ありますけど…。」
めぐ「バス通った道戻って…、歩こうかなって。」
先ほどバスで通った道を戻るように歩こう。桜ヶ丘ハイツは地区計画によって、美しい景観が組織的に保たれている。車道が狭くとも、歩道と街路樹は欠かせない。
なぎ「ある意味今日晴れてよかったよな。」
めぐ「雨だったら歩く気ないよ。」
ところどころ通常のアスファルト舗装ではなく、レンガ調の舗装となっている箇所がある。速度抑制のため、徐行バンプなる減速帯も設置。
あい「…バス行っちゃいました。」
めぐ「じゃあ…、もうちょっと歩こうよ。」
中央分離帯が現れる。家の周りが石垣に囲まれ、道路と段差があるのも桜ヶ丘ハイツの特徴。それがうまく重厚感を出し、高級住宅地らしさを見せている。
なぎ「…そういえばお前、塩分のヤツあったんだっけな?」
めぐ「あるけど、欲しいの?」
ひな「ではお言葉に甘えて…。」
盆休みの最中たる8月15日。終戦記念日の今日、中学校には誰もいないだろう。
あい「どこか休むとこって…?」
さく「…あんまりないよ。」
まだまだ歩く一行。街路樹が程よく日差しを遮り、暑さの中に心地よさが感じられる。さて『桜ヶ丘ハイツ』は3団地で構成されるとした。ところが皐ヶ丘と桂ヶ丘の間に、開発されなかった欅ヶ丘という地区がある。
ひな「あ、そうなんですか?」
めぐ「なんか、そんな感じで聞いた。」
どういうことかというと、途中で開発計画が変更となったためだと聞かされている。(桜ヶ丘ハイツの開発過程などについて詳しい話は存じていないため、記述内容に間違いがあるかもしれない。以下同様。)
なぎ「話はいいからどこまで歩くか。」
めぐ「もうちょっとかな…?」
住民が普段の買い物に使うスーパー、西友。バス停は可児市コミュニティバスのものであり、一般路線のバスはもう少し先に停車する。元々東寄りの桜ヶ丘から順に開発が進み、皐ヶ丘の次は欅ヶ丘となって途切れることなく住宅地が続くはずだった。そこへ有名大学の系列である私立高校が設けられるということとなり、その位置が桂ヶ丘であるためそちらが優先されることになったらしい。
さく「話もいいけど、何かアイスとか氷とか欲しくない?」
めぐ「欲しいんだけど…。」
桜ヶ丘4丁目のバス停に着く。程なくして先ほどの高速路線車両が折り返してきた。これには乗らず、もう少し後に来る多治見駅行きの一般路線バスに乗るとしよう。
あい「…続き。」
めぐ「わかった。」
桜ヶ丘と皐ヶ丘、1つ飛ばして桂ヶ丘が開発。その次が欅ヶ丘となるはずだったところ、今度は開発業者が倒産したらしい。これでは欅ヶ丘が中抜けとなってしまう。そんな中で欅ヶ丘へ大型商業施設が出店するという話になった。ところが今度は住民から反発の声が挙がり、出店計画は白紙に。結果、現在の状態が続いている…。
めぐ「…あんまり自信ないけど。」
ひな「ってか、バス来ましたよ?」
(つづく)