2014年8月31日(日)午前2時16分 山梨県南都留郡富士河口湖町・国道137号(標高概ね840~850m?)
まだまだ続く上り坂。ここまで沿っていた線路から離れ、この道でいいのかと不安を覚える旅行班。奈良井宿でもそうだったように、標高が800mを越えるようなところでは晴れた日の日中に歩きたいものである。
もも「…何してんの?」
めぐ「撮れるかなって…。」
いよいよ建物は少なくなり、行きかう車のライトだけが頼り。右手にあるはずであろう山の景色も捉えられない。
もも「暗いんだし、どうせ写んないんだからあきらめなさいって。」
なぎ「でも案外暗い中とか、目が慣れてしまったらな…。」
さく「本当、慣れって怖いよ。」
雨がまた降ってきている。ここまで決して広くないながらも歩道が設けられていたものの、ここにきて工事なのか砂利道となる箇所があった。
さく「コンビニあるけど…、2回目の使う?」
もも「ビニール傘の?ジンクス信じてもまた忘れるんじゃなくって?」
ここからのことを考えると、荷物を増やすわけにもいかない。少々ながら出費も惜しいのでやめよう。
とりあえずのゴールとなる河口湖駅へは、ここまで歩いてきた国道から外れることになる。ここまで見た限り、周辺にアパートやらマンションが少なくともある。ベッドタウンとしての機能がないわけではなさそうだ。さああと少し…。
富士山駅から歩いて1時間強で着いてしまった。そもそも夜9時の段階で静まっていた河口湖駅。深夜2時半となればもちろん誰もおらず、街路灯が寂しく灯るだけ。『モ1号』や"アニメのパネル"に怪しささえ感じられる。
もも「…で、どうするよ?」
めぐ「…どうしようね?」
駅舎は完全に閉まっており、中に入れない。ここまで歩いて疲れているので、とりあえずバス乗り場の椅子に座ろうか。
さく「河口湖って近い?」
めぐ「…歩いていけるぐらい。」
さく「じゃあ、…せっかくだし行っちゃう?」
めぐ「…でも雨とかあるし。」
もも「そのためのカッパとかじゃないの?」
なぎ「もうちょっと休んでからな…。」
河口湖までは十分歩いて行ける距離にあるので、足を伸ばすことに決定。いつしか雨は止んでいた。
なぎ「狭いから気をつけろよ。」
国道に戻れば歩道があるので、狭さは問題ない。むしろ雨で濡れており、滑りやすくなっているのが問題。ふと、空を見上げれば…?
めぐ「…星見える。」
もも「きれい…。」
晴れていればもっと美しい星空を拝めたに違いない。三叉路を過ぎ、辺りはホテルやら旅館が立ち並ぶ。
めぐ「もう、たぶん近いよ。」
河口湖に来たはいいものの、着いたのは深夜3時過ぎ。ベンチは濡れてしまっているのだが雨が降っていないので、水滴を取れば座ることができる。
この時間だから暗くて全景が見えないのは当たり前。足こぎ式ボートも寂しく漂う。
めぐ「…よくよく考えたらだけど、あのアニメBSだとこれぐらいの時間なのよ。」
なぎ「起きて見てるのか?」
めぐ「録画よ録画、エッチデーデーに。」
なぎ「エッチデーデーって…!」
めぐ「わかるひとにはわかること。」
なぎ「えいちでぃーでぃー…。」
もも「…なぎ姉、笑いすぎ。」
要するに外付けハードディスクのことである。
もも「今日って日曜でしょ?」
なぎ「車とか…、バスも結構あるし。昼とかだったらな…。」
さく「宿泊まってる客なんかこんな時間に起きてるはずないよ。」
めぐ「それで朝起きたらすっごい気持ちよくって。」
さく「あるある、そういうこと。」
こんな時間でもコンビニだけは開いている。ドリンクが尽きているので買っておこう。
なぎ「…戻るか。」
まだ終わらない旅行班の長い夜。空が近く星が美しいのが、癒される要素なのか…。
駅前に戻っては来たもののまだ深夜4時にもなっていない。にもかかわらず人がいるようだ。どうやら、この時間から羽田空港へ向かうバスがあるらしい。
さく「…そんなわけないよね?」
めぐ「…わかんないよ。」
もも「…それで?」
さく「こんなとこで寝るってわけにはいかないでしょうよ。」
とりあえず、持参した"レインポンチョ"はここまで役に立っている。
めぐ「…着ると暑くなっちゃうのよね。風通さないし。」
もも「でもわざわざ傘持つよりはいいでしょうに。」
めぐ「傘は雨除けだけじゃないの。」
4時を回ると、羽田空港行きのバスが来た。
さく「…来ちゃったじゃん。」
なぎ「こんな時間から乗る人いるんだな…。」
もも「…何、アンタも?」
めぐ「まあ気になっちゃったもんはね…、乗れないからダメだけど。」
そして乗客を乗せたバスは走り去る。その後ダイヤが改正されたのか、羽田空港行きのバスは1時間繰り下げられたという。(※2021年6月現在は全便運休中。)
またしても静まり返る駅前。椅子は1人ずつ仕切られ、横になれないタイプ。
もも「まーた時間だけ余った。」
めぐ「…あのバスどこ通るんだろうね?」
さく「…中央高速じゃない?」
もも「悪いけどその話付いてく気ないから。」
なぎ「…前にもこういうことなかったか?」
もも「バカな話ぐらいいっくらでもあるわよ。」
なぎ「そうじゃなくって、…駅前がキャンプ地になったこと。」
めぐ「…1回あったね。」
それはもう4年半前の話…。
さく「…フルセグ見れるんじゃなかったっけ?」
めぐ「…どうかな?」
山梨県の民放テレビ局は、山梨放送(4)とテレビ山梨(6)の2つだけ。設定を行えばハイビジョン画質で見ることができた。
さく「そういえば24時間テレビだったんだっけ?」
めぐ「それで101kmは無理だけど…、夜中も寝ないで頑張ってるんだから私たちもねって。」
(つづく)
「今回の旅を真似する方はおそらくいらっしゃらないでしょう。少なくとも"野宿"であれば…、最初からそのつもりで来るのではないのでしょうか?ということで…、次回以降の行程とやや関わってきます。」
さて、新シリーズもどうなることやら…?