2021年5月18日。JR東海が投入する新型一般車両、315系電車の車内イメージ等が公開された。
https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000041071.pdf
以下、JR東海からの資料や画像等を引用。詳細はPDFファイルや、交通新聞の記事をご覧いただきたい。ここでは印象や感想等を記載する。
315系における、インテリアデザインのコンセプト。それは『優しく安心感のある快適な移動空間』だ。
A.『優しく安心感のある移動空間』の創出
(1)バリアフリ-設備の充実
①全車両に車椅子スペースを設置
313系までの場合は編成中1か所のみ、トイレ横のスペースを車椅子用に割り当てていたもの。315系は見たところ車端部でなく、311系や211系で改造されたスペースのようなタイプらしい。比較すべきであろう名鉄9500系は車端部の座席を減らしたため、予想外な配置かと。
床面にもマークが入り、区画がわかりやすく示されている。この点は"最新トレンド"といったところか。ヒーターが設けられている点は従来と変わらなく、冬季は役立つ反面低温やけどに気を付けたい。
②優先席の床面等の色分け
優先席モケットや同つり革がオレンジ色となったのは、2010年以降に投入された313系だ。合わせて従来車両の優先席もモケット等が変更、クロスシートはヘッドカバーの色をオレンジ色として示している。加えて今回、床面もオレンジ系の敷物で分けられることとなった。
床面の色を最初に分けたのは2006年末、JR東日本E233系からとなる。名鉄では2015年投入分以降の3300系や、三河線ワンマンの6000系をリニューアルする際に採用。そして満を持して今回、JR東海が採用した形だ。
③車両とホームの段差を縮小
この315系は211系と比べて、ホームと車両の段差幅が5cm縮小。もともと313系に初めて乗車した際、ホームとの段差がほぼなかったのをよく覚えている。2010年投入分からドア部分の床敷物が黄色くなったのだが、今回ごく緩いスロープでも追加されたのだろうか?
同様の感覚を名鉄300系で覚え、以降名鉄で投入された車両へ反映されている。ただこちらはホームの高さも車両に合わせており、必ずしも車両側が低くなったとまでは言えないかと。(この理由で、低重心設計だった7500系が優先的に廃車されている。)
④カラーユニバーサルデザインに対応した車内表示器を設置
こちらはようやくの採用だ。見る限りでは広告用の液晶画面がなく、案内用の1画面のみ各ドア上に設けられそう。躯体はLED式だった313系より大きく、名鉄9500系と同じタイプらしい。画面レイアウトは調整されるようだが…、見た限りでは名鉄のを使い回している印象。
(2)セキュリティの強化
⑤車内防犯カメラを設置
こちらも在来線では満を持して採用。JR東海は新幹線で2度にわたって"トラウマ"を抱えており、その都度車内の防犯対策を強化してきている。JR東日本では今後投入される全車両に防犯カメラを設置し、追随した形か。
モノはやはり名鉄9500系と同様だろう。ドア上部分に合計3か所、残り2か所は車端部の壁面に埋め込まれる。
⑥非常通話装置を設置
211系の非常通報装置は、旧来の通話できないタイプとあった。名鉄では6000系等のワンマン対応で通話可能なタイプへ交換され、新製車両では同時期からこのタイプを装備。一方でリニューアル後もワンマン対応しない車両は、旧来の通話できないタイプのまま残っている。(※通話対応型非常通報装置の画像を追加。)
各車両3か所となっているのは車椅子スペースへの設置を反映させたものらしく、そちらは車椅子向けに位置が低く設けられている。これも名鉄9500系と同じ。
B.『快適な移動空間』の提供
⑦冷房機能の向上(従来比3割向上)
211系では作動させるだけに過ぎなかった冷房も、313系からは乗務員による温度調節が可能となったもの。そして今回315系で、AIによる自動制御を行うという。データ類は地上のサーバーへ蓄積され、最適化されたうえで各車両へ配分される。車両冷房装置へのAI採用は国内初らしい。
ところで…、見たところ半自動ドアボタンは見られない。てっきり車内温度を維持するため、特に高蔵寺~中津川で対応すべきとも考えたのに。
⑧座り心地の向上
とりあえずロングシートで比較するとして、211系より座席幅が10mm拡大されている。313系(2000番台)でも拡大されたと報じられており、同水準とみていいだろう。
モケットは青系ながら313系と異なる色合いで、背もたれの柄はグラデーションとなっている。前述した優先席はオレンジ系だ。せっかくなら静岡地区投入分は、緑系にするのも面白そう。
気になったのは座席形状。明らかにJR東日本E233系のそれで、腰部のサポート云々より賛否両論だ。個人的には座面さえよければ、何とかなりそうなタイプかと。一応名古屋地区で先行採用例があり、名鉄瀬戸線の4000系となる。(※追記、地下鉄桜通線の増備編成もあった。)
⑨快適な車内空間(開放感、遮熱・遮光ガラス)
ロングシートの座席仕切りは車椅子スペースを除いて、形状そのものは313系後期投入分を概ね踏襲したかと。変化した点は仕切り上部で、透明素材が用いられ開放感を演出。JR東日本E235系等でも見られる。
LED照明は313系と異なり、蛍光灯そのものらしいタイプ。優先席以外の床敷物は青系で、グラデーション柄も座席に合わせたようだ。座席部分のつり革は高さを変えて設置され、キハ25のロングシートから踏襲。荷棚も全てステンレスパイプで、安っぽさは否めない。
それ以上に賛否両論なのは窓。配置は3分割され、中間の大窓が内側に折れる開閉式となる。遮熱遮光に優れた着色ガラスならまだしも、それだけでロールカーテンを廃止するのは疑問だ。JR西日本223系では不採用後も、一応準備はされて後から追加されたのだが…。
ああ、クロスシートで投入する際も窓構造を変えたくないのか。特に車内の換気が叫ばれる昨今、ロールカーテンを用いれば窓を開けられない。
以上が初見での感想となる。313系のリニューアルでもある程度反映されるだろうし、キハ25も同様だ。とりあえず実車が登場するのを楽しみにしておこうか。
(おわり)
※速報版から画像等追加の上で、記事順序を入れ替えます。