2017年1月9日(月)午後3時44分 宮城県気仙沼市・気仙沼駅

 とりあえず、駅の写真を押さえよう。形式上は気仙沼線の終点となっており、大船渡線にぶつかる形となっていた。現在は鉄道が一ノ関から来た終着となっており、BRTに交わっている。駅舎は平屋建てであり、拠点駅らしい設備は備わっている。


 バス専用口から回送車両が出てきた。同じBRTでも気仙沼線と大船渡線は直通しないので、方向転換目的で駅前に出す必要があるのだ。どうも気仙沼市の中心市街地からは少々外れているらしく、駅前は穏やかな雰囲気。


 震災翌年からポケモントレインが大船渡線を走るようになり、駅前には記念撮影用としてオブジェを設置。正直なところアドバンス時点でついていけず、DSは本体未購入で完全断念したリーダー。婿に出した家のピカチュウは元気でやってるだろうか?


 気仙沼駅周辺をイメージした、BRTのミニチュア。これで運行方式やあり方などをひととおり紹介している。
めぐ「……。」
さく「…いや、何かない?」


 発車案内はあくまで鉄道として設置。バスに両数の概念はないためか、その箇所が空欄になっている。改めてバス転換を図りながらも、鉄道として存在価値を見出す気仙沼線と大船渡線。
もも「何かなら…、それあるじゃないのよ。」



(現)かもめの玉子ミニ(さいとう製菓) 6個474円
 大船渡線の終着側、岩手県大船渡市の郷土菓子。黄色い餡をカステラで包み、ホワイトチョコレートをコーティングしている。この手の地方銘菓では、久々に甘味が強いタイプだったりする。
なぎ「これはな…。」
さく「余ったら後で食べればいいんだし、今無理しなくたって。」
めぐ「でもあんまりなかったよね、…甘いの。」



 ここからは大船渡線のBRTに乗り、いざ『奇跡の一本松』へ…!


24.気仙沼16:05発→奇跡の一本松16:31着 普通BRT117/盛行き P527-99567
 実は最初から観光向け車両を狙っていた旅行班。これは中古で導入した車両を改造し、鉄道の『ジョイフルトレイン』に仕立てたもの。
もも「本当、そういうのはね…?」
めぐ「はいはい。」


 天井にも『メーグル』のような窓があり、前方座席が海を向くなど展望を重視。後方はバスでは珍しいボックスシート。阪急の『京とれいん』と同様、乗車に特別な料金は不要である。
なぎ「こんなもん乗っていいのか?」
さく「そう言って乗ってんじゃん。」


 しばらくは気仙沼線から続く形で専用区間を走行する。
もも「…またご機嫌ね。」
めぐ「…何が?」


 この車両は液晶画面が側面上部に取り付けられており、各種案内や前面展望の様子が写し出される。さすがは特別仕様、抜け目がない。ただ、切り替わるタイミングは読みにくい。
なぎ「落ち着け。」
さく「そう簡単に言うけどさ、これだって乗るのが目的とかそういうヤツなんだし。」


 専用区間が結構続くように感じるうち、鉄道駅らしい構造の鹿折唐桑に停車。ここで1人乗る。


 程なくして専用区間が終わった。周辺は集合住宅が新しく建設されるなど、工事が進められている。
もも「はい、…残念がらない。」
めぐ「…別に終わったっていいけど?」
さく「そういう問題じゃないでしょうよ。」


 気仙沼線から引き続くように国道45号へ。海から少し離れた山沿いを進んでおり、勾配が目立ってくる。登坂車線があるため、速度の遅い車はそちらを走行。原付も同じである。
もも「そういやアンタどこ通ってったのよ?」
めぐ「…国道21号とか?」
なぎ「21の…、どこからどこまでとか?」
めぐ「関ヶ原とか、…御嵩になるのかな?」
さく「…別のとこだよね?」
めぐ「別のとこだし、混ぜちゃったらそれこそもーのーすごいって…。」


 さらに自動車専用道路へ進む、一般路線用のバス車両。最高速度が60km/hとなっている、2000m級のトンネルを通り抜けていく。
なぎ「おいおい、いいのか?」
もも「別にいいんじゃない?高速になってないんだし。」
なぎ「いや、こういうとこ立ったままとか。」
さく「そういうのは…、例の入れといて。」


 実質的には、開通済となるトンネルだけで終わった三陸自動車道。早くとも2018年までは、現状のままだと考えられる。
もも「あ、随分あっさり終わっちゃうのね。」
めぐ「…面白かったのに。」


 やがて海を眺められる箇所に出てくる。改めて、三陸海岸は入り組んだリアス式。海岸線を従順に沿っていくと走行距離がかなり長くなってしまう。海岸自体も切り立っており、起伏に飛んだ道。

 調べれば、自動車専用道路の一般路線バス走行は法令上の関係で可能だとか。考えれば名古屋の市バスや西鉄バスにも高速走行路線があり、立席乗車も可能だったかと。いずれも最高速度は60km/h。それはそうと、日暮れの時間になってきた。


 岩手県に入ったバス。長部は停止しただけで、乗り降りなく発車。実は鹿折唐桑から鉄道と別ルートになっており、路線が付け替えられたといっても過言でない。それにしても"駅間距離"が長かった。
さく「…どうしたの?」
もも「またアレじゃない?写真枚数増えてまとめるのに時間かかるって…。」


 低地は津波被害が大きく、現在も痕跡が色濃く残っている。高田松原も『奇跡の一本松』を残して全滅。現在は海岸の再生を目指して工事が進められる。
なぎ「…見えるか?」
めぐ「さあ…、あんまりよくわかんない。」


 構造体だけ残された建物が物語る、津波被害の大きさ。元が何だったのかすら、見ただけでは想像できない。

(つづく)

 あれから4年。三陸自動車道が延伸したのは2019年3月、全線開通は2021年3月に迎えた。合わせてルートも一部変更されているので、また車窓の景色は変わってくることだ。