2017年1月9日(月)午前8時1分 宮城県石巻市・石巻駅を出発
20.石巻8:01発→女川8:26着 普通1625D/女川行き キハ110-243
そのまま、乗客もあまり乗らずに発車した。1往復だけ設定された仙石東北ラインの女川行きも、ここからは各駅に停車していく…。
景色はどうだろう?とりあえず言えることは、遠くの山々が雲をかぶる光景は幻想的だということ。河口近くの川は幅が広く、入り組んだ海岸線のように見えなくもない。
しばらくは内陸部を進んでいく。
さく「…何かない?」
もも「…花にでも噛み付かれれば?」
現代の2軒長屋と言いたくなるような、新しい家々が並んでいる。仮設住宅も長屋らしいものが多いので、違和感がないといえば確かにそうかもしれない。
もも「…アンタもそういうのばっかりでよく飽きないわね。」
めぐ「そうかな…?見るだけなら何もいらないし。」
渡波までは(震災から1年後とはいえ)早くに運転を再開している。通勤先は石巻か仙台か、住宅地の様相を見せる駅周囲。
次の万石浦までは近かった。周辺はやはり住宅が多い…。
なぎ「…ないならパスでいいったろ。」
沢田からは海沿いに出る石巻線。津波の際は地盤沈下も発生し、路線もろとも浸水したという。
入り組んだ海岸線をいく、キハ110最上川展望車両。牡鹿半島は三陸海岸の最南端にあたり、ここから北に向かってリアス式海岸が続いていく。しかしまあ…、展望座席も役立つ場面がわからないものだ。
浦宿までは震災から2年後に運転を再開した区間。近くには古めかく、長屋とも異なる白壁の建物が整然と並んでいる。何かと思って調べれば、とある企業の社宅だったそうな…。
さく「…わかんないし、後で調べたって入れといて。」
もも「アンタこそ自分で調べたりとか…。」
最後の1区間は被害が大きく、線路移設を要するなど工事規模が大きかったもの。このため運転再開は震災から4年後、2015年のこと。ついでに、近くを通っている国道も改良が進められている様子。
めぐ「…どこからだっけ?」
なぎ「いや、それはわからん。」
もうすぐ女川駅。周囲の開き方が新しいことからわかるように、駅も内陸側に移転している。このため再開する際、石巻線の全長が0.2km短縮された。
石巻から25分、新しい女川駅に到着した旅行班。ホーム1本だけの簡素な駅ながら、駅名標はLEDを採用した最新式となっている。1往復ながら仙石東北ラインが乗り入れるため、路線色はピンクだけでなく緑と水色も入っている。
もも「まだお疲れには早いわよ。」
さく「こんな早くに終わらないよ。」
新しい駅は1面1線式という単純構造であるため、渡波からは完全な棒線となった。本来この形状で番号は不要なはずだが、ホームに1番線と入っている。旧駅が線路を2本以上有していた名残だろうか?
なぎ「前のは普通のヤツだったんだな…。」
めぐ「そりゃあ…、何もなしじゃつまんないし。」
もも「…ちょっと?こんなとこアンタらも来たことないでしょ。」
さく「駅じゃないよ、キハ110だよ。」
ではいつものように、女川の駅舎を写真にしよう。移転後の駅舎は2~3階建てで、1階部分が窓口や券売機のある有人駅となっている。今回の重要ポイントと位置づけ、フルHD画質で撮影した。
さく「…あれ?」
もも「いや、いい駅って絶対言うだろうし。他に面白いこと言うのかなって。」
めぐ「…木のよさとか?」
元々は滞在71分で、温泉と休憩するだけに終わるはずだった女川。到着基準で1本早めたことにより、滞在時間が164分に大幅増加。温泉の営業時間まで、駅から続く『シーパルピア女川』を見て回ろうか。
もも「雨だし、こんな朝っぱらから誰が観光しようってのよ?」
めぐ「…天気なんかわかんないし。」
なぎ「傘は買ってよかったろ。」
さすがに朝8時半とあっては店も開いておらず、雨が強くなっては人もほとんど歩かない。信号を待つ間に周辺を見ると、まだ整備を進めている状態。
なぎ「傘…、役に立つか?」
めぐ「…ちょっと苦しい。」
さく「折りたたみじゃ、この雨ダメだよ。」
レンガの道が洒落た、真新しい商店街。そのまま流れで海のほうへと歩いてみた旅行班。そして完成したばかりだという『地元市場ハマテラス』も、さすがに開店の時間はまだだったか。
この『シーパルピア女川』はテナント型商店街だといい、様々な店が並ぶ。天気がよければ、もう少し時間が遅ければ…。ただ今回、そもそも観光する決定を下したのは33時間前である。
さく「…上もだけど下も濡れるからね。」
もも「またいつものパターン?」
さらには『女川町まちなか交流館』もある。こちらも開くのは朝9時らしく、入るに至らない。
なぎ「お前濡れるぞ。」
めぐ「わかってるけど…。」
雨風が強けれど、もう少し商店街を見て回ろうと旅行班。トイレも可能なうちに済ませておこう。
とりあえず何かないかと探せば、展示されているのは段ボール製"ランボルギーニ"。名づけて『ダンボルギーニ』。後で調べれば宮城県にある段ボール加工会社が作ったものであり、隣は社長だとか。
めぐ「…ウラカンはちょっとわかるんだけどね?」
もも「…うらかん?」
さく「アレじゃない?なんかレースとか、GTだっけ?」
メインのレンガ道から離れると、そちらこそ様々な店が並んでいる。昼になれば地元客や観光客が訪れ、店々が賑わうのだろうか…。
なぎ「…食べるものとか。」
もも「さっき食べたばっかりでしょ、この大食いめ。」
慎ましやかにたたずんでいる『桜咲く地蔵』。女川町の復興を願いつつ、今日も来訪者を見守っている。
(つづく)