代行バスから仙石線の"残骸"を見つめて早5年弱、鉄路が復旧した姿はいかに…?

2017年1月9日(月)午前6時26分 仙台市青葉区・仙台駅を出発

19.仙台6:26発→石巻7:28着 快速5561D/石巻行き HB-E211-2
 昨日と異なり、塩釜まで各駅に停車するタイプの快速(緑)。元々は8:19発の快速(赤)で行程を組んでおり、昨日と同じく塩釜まで無停車であった。発車時点では結構座席が埋まっていた。
さく「…考えたらこのへんだって景色とかあんまり見れてないわけだし。」
なぎ「…帰り見てなかったか?」
もも「寝てたんでしょ、どうでもいいとこ寝ないで疲れちゃってさ。」

 走行音として、モーターは"E231系っぽいけどE233系みたいな"インバーター制御の音。加えて発電用エンジンとして、キハ25らしい音が加わる。ハイブリッドらしいといえば、確かにそう。同様の方式を採用したバス車両『エコハイブリッド』は保守性が悪かったようで、名鉄バスからは姿を消した。

 岩切から利府を結ぶ支線は、旅行班の行程とどうも合わず制覇できないまま残っている。他は京浜東北線としての南浦和~大宮が怪しいこと以外、新幹線や支線含めてすべて制覇済みとなっている東北本線。第3セクターとなった盛岡~青森は旅行班のスタンスとして、みなさないことにしておく。(盛岡から好摩までは制覇している。)


 塩釜までで乗客が結構降りており、車内は穏やかな雰囲気となる。次第に明るくなりつつあるも、外は相変わらずの雨模様。
めぐ「…なんか気分乗らない。」
さく「そりゃこんな雨だもん…、雪じゃないし。」



 海岸線に沿いつつ、仙石線と並走する東北本線。系統としての『仙石東北ライン』は塩釜から高城町を結ぶ路線であり、全列車が快速として仙台から石巻を直通運転している。


 やがて仙石線との位置関係が入れ替わる。松島付近の海岸線は入り組んでおり、トンネルが"突起部分"をショートカットするように掘られている。
なぎ「…これとかタイミング、難しくないか?」
めぐ「…そうだよね。」
もも「構えっぱなしでいいんじゃない?」


 そして仙石線へゆっくりと渡るハイブリッド快速車両。実質的には松島から、営業キロにして0.3kmの渡り線。松島の駅を通る際にホームがないため、塩釜から高城町の10km強が系統としての『仙石東北ライン』になる。
さく「…やっぱり景色は大事だもんね。」


 仙石線に入ると単線になった。東北本線とは電化方式が異なっており、渡り線での信号停止も考慮している。このために『仙石東北ライン』は気動車での運行となった。ついでに"松島から松島海岸"という乗り継ぎは非常に複雑で、一旦塩釜に出てから高城町を経てもう1本というもの。


 高城町では仙石線の電車が待機していた。5年弱前は代行バスで松島海岸から矢本を結んでいたため、ここからは鉄道で乗っていない区間といえる。
さく「…暗くない?」
めぐ「…前もあったのよね。」
もも「…前っていつよ?」


 しばらくは平地を進む仙石線。代行バスも概ね線路に沿って進んでいたが、高城町のバス乗り場は駅と離れた位置にあった。


 海沿いに出ると、護岸工事が施されたようであった。物々しく圧迫感のあるコンクリートの防波堤が視界を遮るも、あの津波を見てしまうと…。
もも「あ、これ以上は言わないほうがいいわよ。」
さく「そうだよ、これ見てくれてる人にもしかしたら…。」


 海から離れていく仙石線。旧線路は津波被害で流出したため、新しく線路が付け替えられることとなった。運行再開に合わせて、旧線路設備はほぼ撤去されている。


 内陸部を進むHB-E210系。単線ながら新しいだけあって線形もよく、快速らしく飛ばしていく。そして高台にあるため、周囲が開けると眺めのいい景色。
なぎ「いい景色か?」
めぐ「そりゃあ…、ね。」


 仙石線の停車駅は"あの日まで運行されていた快速"にならっており、快速は野蒜に停車。新しい駅は右側通行らしいようで、実は右側通行でなかったり。
さく「いや、ここは左も押さえようよ。」
もも「それこそハイブリッド…。」
なぎ「…飽きたなお前。」


 高台から下る仙石線。代行バスからも立派な高架橋が見えており、活用されたようで何より…。
さく「…何もないから喋んなくなったね。」


 陸前小野で反対列車を待つため、少々の停車時間がある。
もも「そうそう、この時間…。」
さく「投げやりじゃないよね?」
なぎ「お前が言うな。」


 反対列車は高城町と同様、普通電車の205系。ホームは島式であり、そのまま乗り換えて戻ることも可能といえる。雨の朝は暗く、明かりが目だって仕方ない。これら、台風が接近したJA広島病院前での経験があってのこと。


 陸前小野からは元のルートを通っており、線路の復旧が早かった区間。そして矢本からは、鉄道として乗っている区間となる。電化設備が被災したため、当時はキハ110が用いられていた。


 ここからは快速も停車駅があまり変わらず、通過するのは2駅だけ。東矢本と、新駅となる『石巻あゆみ野』。それでも快速らしく、快調な走りを見せるHB-E210系。
めぐ「…一応景色とか見てないのあるし。」
もも「ああ、写真ないって?」


 陸前山下を最寄り駅とする石巻工業高校は、前回乗車時(2012年3月)に野球部が選抜大会出場を果たしたことが話題になった。次は終点の石巻…。
さく「…終わるんだね?」


 石巻市立病院を見て、石巻に到着するハイブリッド快速。仙台からは1時間ほどと、近いようで結構遠いもの。1日1往復運行される特別快速は、高城町からの停車駅が矢本だけとなる。

(つづく)