「今回の鉄旅リターンズプラスも高速バスです。距離としても前回、2015年9月のですね。それより大したことないんじゃないかと、そういう了見もあることでしょう。今回も東名高速バスです。」

2015年11月27日(金)午前10時15分 名古屋市中村区・名古屋駅太閤通口

 名古屋駅からスタートするのはいつものこと。太閤通口にあったドラッグストアが閉店し、工事中とあって単に殺風景な通路となっていた。
なぎ「…今日って2人だけか?」
めぐ「秘密ってわけじゃないけど。」

 ということで、今回は太閤通口から出発する。今日はリーダーと、もう1人だけ。
めぐ「また…、ちょっとだけバス乗りたくなっちゃって。」
なぎ「それでこっちなのか?」
めぐ「もう、東名日進まで予約もしちゃってる。」
なぎ「…それぐらいいいだろうに。」


 乗るのは東名高速を経由する『スーパーライナー』だが、9月のように東京へ向かうわけではない。
なぎ「…早速お出ましと。」
めぐ「ちょうどよかったでしょ。」



2.名古屋駅10:30発→東名日進(11:31)着 超特急スーパーライナー62号・東京駅行き 747-14951
 日野製『セレガ』は見るからに新しい車両で、どうも2014年製造らしい。座席は4列ワイドシートで、9月に乗った3列シートのオレンジ系に対して緑系のモケット。コンセントや背面テーブルだけでなく、フットレストも備わっている。降車ボタンは座席背面になく、荷物棚にある。窓割が合わないのはハイグレードゆえの宿命か。
めぐ「これなら東京大丈夫だよ。」
なぎ「行ける…、な。たぶん。」


 他に6人ぐらいしか乗らず、思いのほか乗客が少ない状態で遅れることなく発車。前面にある液晶画面はワイドサイズで、なぜか機能していない。ここから結構先にあたる沼津からは集中工事が行われており、東京都内に入るのが遅れるだろうとのこと。
なぎ「…関係ないんだろ?」
めぐ「関係はないけど…、まだ次あるかもわかんないし。」

 笹島交差点を直進し、新東名ルートと分かれて県道60号(広小路通)へ。現在、両者が合流するのは豊田ジャンクション。2016年2月に豊田東から浜松いなさまで開通すると、御殿場まで合流しないことになりそう。
なぎ「またアレか?」
めぐ「通れるならね…、通って見てみたいし。」


 高速都心環状線の下、建設中のビルを眺めつつ江川線を経て錦通へ渡る。そこからは三重交通の伏見降車場、名鉄バスの錦通本町を通過。
めぐ「ここで渡っちゃう…?」
なぎ「えっと…、どこだと思った?」
めぐ「…まあわかんないけど。」


 栄はオアシス21の9番乗り場に入り、ここで3人乗る。右隣の10番乗り場には、三重交通のイオンモール名古屋茶屋へ行くエルガ。左隣となる8番乗り場に入ってきた東濃鉄道の車両は、リトルワールドを経由する可児行き。西日本車体工業が製造したのだろうか?
めぐ「…空港と浜松のバスあるんだけど。」
なぎ「乗りたいなら乗ればいいだろ。」
めぐ「いや、そうじゃないの。新東名でどうなるのかなって…。」
なぎ「…変わるってか?」
めぐ「変わったらそれ乗って、…制覇みたいな?」
なぎ「…お前本当バス、ってか道路?」


 地上に戻る際、毎度御馴染み名鉄バスの津島行きエアロスターに先導される形になる。別れてからは引き続き錦通を進んでいく、JR東海バスのセレガ。東新町で名鉄バス豊田線は高速に入り、東名ハイウェイバスは錦通を引き続き直進。
めぐ「これかな…?」
なぎ「いや、だから。何さ?」
めぐ「東名日進まで360円なのよ、こっちだと。」


 工事によって中央車線の舗装がはがされ、岩がゴロつくように転がっている。なんとなく何かを想像させつつ、それが意味するものはないというオチ。
めぐ「…まあ溶岩じゃないんだけど。」


 3週間前、食事会が執り行われた『メルパルク名古屋』。この交差点から広小路通(愛知県道60号)へ戻る形になる。栄を経由しない便は笹島から直進し続けるのだろうか?
なぎ「これがこの前のアレと…?」
めぐ「結構よかったよ、…美味しいモノいっぱい。」


 ここからは名古屋市内で乗客を拾う形を取る。千種では乗客がおらず、そのまま通過。公園はすっかり秋めいており、静かで落ち着いている。上社まで18分。


 覚王山辺りは、大通りに面したところはマンションが立ち並んでいる。大通りから外れると、戸建て住宅が立ち並ぶ。起伏ある地形がどうも落ち着くような気がしてならない。住みたい街ランキングで毎年上位に入るのは、よくわかる気が…?


 本山で2人乗車。停留所近くのイチョウは美しく黄色に染まっていた。
めぐ「…祖父江のイチョウってどうなんだろうね?」
なぎ「…近いんじゃないのか?」
めぐ「あんまり…、近いと行かないもんなのよ。」

 エアロキングより大きい、正面前方の液晶画面。これまで無表示だったところ、発車後に機能し始める。広小路通こと愛知県道60号は思いのほか起伏が目立っており、東山公園付近からは東山通へと名を変える。
なぎ「…画面ないけどいいのか?」


 星ヶ丘はターミナルに入る前の路上に停車し、3人が乗車する。立ち並ぶのは高層マンションと戸建て住宅が多数を占め、景色は住宅街のそれ。バス停近くのセブンイレブンは開業したばかり。
めぐ「…コメダとか行っといたほうがいい?」
なぎ「…別に好きでいいだろ。乗る前に一息つくわけじゃないんだし。」


 上社ジャンクションの下、バスは国道302号をオーバーパスする。渋滞は米原付近での工事渋滞で、あまり関係がない。この部分は今まで通ったことがない。
めぐ「不思議とないのよ。」
なぎ「それでこっち選んだってか?」


 名古屋インターから東名高速に入る直前、本郷駅近くの停留所で4人が乗車。ローソンがあるので、乗り込む前に何か買える物があれば買っておくのもいい。バスの運賃箱は券売機としての役割も果たすようだ。
なぎ「これはすごい。」
めぐ「まあ、…でも前もって買っといたほうが楽だし。」
なぎ「…どうした?」
めぐ「なんか…、乗り遅れたとかで。」


 東名ハイウェイバスにとって、高速道路に乗ることは始まりを意味する。対して今日の計画では、バス乗車がもうすぐ終わることを意味している。ここまで途中の停留所で乗車した客の対応に手間取ったのか、15分もの遅れが生じているという。
めぐ「…いいでしょ、急ぎじゃないし。」
なぎ「こっちはいいけどな…、他いるんだし。」


 日進ジャンクションで、名古屋瀬戸道路が分かれる。万博の頃はアクセスに用いられた道路。今となっては猿投グリーンロードへの分岐路、もしくは単なる増設インターといった感じか。標識類は既に新東名高速開通後のものが用意され、該当箇所がふさがれている。


 万博といえば、当時は名古屋駅と黒笹駅からのシャトルバスが高速道路を走行していた。運行していた『名古屋観光日急』は名鉄グループの方針によって再編、合併されて現在は『名鉄観光バス』となっている。ジャンクション周辺はすっかり緑が多くなり、郊外めいた田舎の風景。
なぎ「あったあった、そういえば。」
めぐ「乗りたかったんだもん。」
なぎ「それでバス専用道路とかって…。」
めぐ「夢で…、高速っぽかったような?」


 降車可能な最初のバス停である東名日進で、他1人と共に下車。名古屋インターから名鉄バス名古屋豊田線、中部国際空港豊田線(元町工場ルート)が合流している。名鉄バスは降車専用であるため、その表記がある。
めぐ「…終わっちゃった。」


 そしてバスは発車していった。運転士は東名静岡で交代とのこと。ここから超特急らしく通過するバス停があり、ここまでの遅れはある程度取り戻すのだろう。ただ、沼津からは集中工事によって遅れ幅が拡大することは避けられない。御殿場ジャンクションからは同一ルートとなるため、新東名ルートも同じといえる事案。
なぎ「…急行1本しかないけどいいのか?」
めぐ「これだから上郷行けなくなっちゃったのよ。」


 反対側の停留所を、本線越しに見る。あちらは対称的に、東名ハイウェイバスへ乗車可能な最後のバス停。名鉄バスは乗車専用となっている。名古屋駅からの運賃は東名ハイウェイバスが360円なのに対し、名鉄バスは700円。価格差は名古屋インターまでのルートに起因するのだろうか?
めぐ「こう立ってるとなんか不思議。」


 バス乗り場の出入口はというと、防音壁に扉があるようなだけの構造。案内も色褪せてしまっており、地味な印象は否めない。
めぐ「これ外に案内とか出せないかな?」
なぎ「案内?」
めぐ「あそこ、バス停入口ってしかないとこ。入れられるならJR東海バスとか、名鉄バスって。」
なぎ「名鉄バスは反対側だろ。」


 周囲は家も少ないようで、他にあるのは畑ぐらい。この近くに店などは見当たらない。
めぐ「なんか…、いいとこじゃない?」
なぎ「…他にバスとかあるか?」
めぐ「わかんないけど。」

(2015年11月乗車分 おわり)