今回からの鉄旅リターンズプラスは"伝説の始まり"。2003年2月旅行分を、記憶などを頼りに再構成します。
涼子「こういう機会だから、色々過去ほじくろうって?」
めぐ「というかね…、このままだと作って流すことないかもだし。」
涼子「本当、昔からだよね。お父さんにどこか連れてってもらったりとか、すごい楽しそうだったし。それが1人で行くって、ちょっとびっくりしちゃった。」
めぐ「まあ、5枚あったのが1枚2枚余っただけなんだけどね。ちょうど中学校卒業ってときだったし、頼ってばっかりなのも…。」


(※旅程は実際のブログ作成者のものですが、記録がない個所が一部あります。情報は当時のものであり、現在とは異なる場合があります。)


旅物語 ~プロローグ~
 電車に乗って、出かけるのが好き―

 最初にそう思ったのはいつだろう…?

 小さな頃から親にどこか連れてってもらうのが好きで、非日常的な感覚は格別だった。範囲自体は決して広いと言うわけでもなく、手段としては車か鉄道のどちらかに限られたもの。

 保育園での遠足は春と秋にそれぞれ行われ、いずれもバスが手段となった。小学校の頃は春に遠足で鉄道が用いられ、秋は社会見学としてバスが手段となった。5年のキャンプ(美浜町)、6年の修学旅行(奈良・京都)ではいずれもバスが使われた。

 電車は見るだけでも満足できたもの。そのため、家族に連れてもらったこともあった。場所は栄生駅や庄内川堤防、大里駅付近とか…。

 電車に乗って、出かけるのが好き―

 それは中学生になっても同じだった。1年のときの遠足はどういうわけかこの年だけ、名古屋市内を班ごとに見て回るというもの。その日、地下鉄用に配られた『ユリカ』1000円分。自動改札にカードを直接投入して、運賃分が自動的に引き落とされるのは画期的に感じられた。そもそも、家の最寄駅には自動改札がなかったのだ。

 2年の野外学習は若狭湾でバス貸切。3年の修学旅行が東京・横浜(・千葉)で、名古屋駅から東京駅までの往復に新幹線を用いたもの。現地ではクラスごとにバスだったり、班ごとに鉄道路線を乗り継いだり。ICカードを当てるだけで運賃分が自動的に引き落とされるというものに限らず、改札機自体にカラー液晶が採用されただけで驚いてしまった。

 さて、普段はどうだろう?
涼子「ちょっと、めぐみ?」
めぐみ「ふぇ…?」
涼子「またぽけーっとして、何か考えてたでしょ。」
めぐみ「…うーん?なんだろうね?」
涼子「本当、めぐみって気楽でいいよね…。」


 特に何かを目指したいというものもなく、夢がないとか言われたり。甘えてばっかりで、駄々をこねることは多い気がする。物事を深く考えずに短絡的になったり、物事を深く考えすぎて何も出来なくなったり。
涼子「また…、しょうがないわね。」
めぐみ「はーい。」
涼子「たまには自分でやろうとしてよ?」


 感それでいて、嫉妬心も強かったりする。情の浮き沈みが激しいと思うし、怖がりで臆病で打たれ弱いといえばそうかもしれない。確かによく泣かされ、泣いていた。流されやすかったせいでもあるのかも…?
涼子「…私いなきゃ、ダメなんだから。」

 そして中学卒業を控えた2003年初頭、ひとつの物語が始まろうとしていた―

 正月早々から名鉄電車全線1日乗り放題の『レール1DAYフリーきっぷ』を使い、父と弟との3人で乗りに行った。その後は流されるまま高校に推薦入学することになり、時間を持て余し気味になっていた。そこへ、…である。
涼子「なんかちょっと嬉しそうじゃん、どうしたのよ?」
めぐみ「1つね…。」


 名鉄電車全線1日フリーの『レール1DAYフリーきっぷ』が余り、そしてこのフリーきっぷを使ってもいいとというのだ。
涼子「え…、本当に?」
めぐみ「行きたくなっちゃって…、せっかくだしって。」


 前年12月に通信教育の講習会に参加することとなり、結果的に名古屋駅周辺への往復である程度予習できていたのだ。フリーきっぷとなれば、範囲内で1日中どこへでも行くことができてしまう。自由な反面、ちゃんと使いこなせられるか少々不安。

 そして2003年2月11日、当日の朝を迎えた。いよいよ永きに渡って続く、果てしない旅が始まったのである。

2003年2月11日(火)午前10時15分 愛知県海部郡美和町・名鉄木田駅
 旅が大好きな私。旅のときは基本的に家族が一緒だった。でも今日は違う。私だけだ。いよいよ、そんな私だけの旅が始まる。

1.木田10:17発→新名古屋10:35着 急行(須ヶ口まで普通)/碧南行き 名鉄6800系
 記念すべき最初の列車が来た。6000系列の2両編成を2本つないでおり、前方は6800系のうち好きなタイプであった。大型フロントガラスと連続窓風の側面窓を持つセミクロスシート車両であり、期待や不安と共に先頭車へ乗り込むも座れず。

 新名古屋までは年末に講習会があったので、予行演習ができていたようなもの。コンビニで水分を調達するのも、同じく経験済み。違うのはここで改札を出るのではなく、乗車ホームへ向かうこと。これから乗る急行は8両なので、先頭はかなり前の位置となる。

2.新名古屋10:44発→豊橋11:48着 急行/豊橋行き 名鉄5300系
 本線の急行で豊橋に向かうこととする。先頭車に乗り込み、景色を楽しむことにしよう。来た車両はパノマカーではなかったが、前面展望が利く車両だった。
(つづく)

 


しかもこの日、本来必要とされるべき処理をなされないまま出発していたのです。
涼子「あったね、ユリカ。地下鉄だっけ?」
めぐ「そうそう。名鉄のカードも自動改札で使えるようになって、まだ自動改札もそんななかったのよ。このレール1DAYも自動じゃなかったし。」
涼子「で…、講習会か何か?それ、練習っぽい感じになったり?」
めぐ「いい自信になりました。」

(※再構成にあたって名鉄運用研究所の情報を参考としましたが、2020年9月に閉鎖されたようです。)