2018年8月28日(火)午後2時52分 徳島県徳島市・徳島駅
駅ビルの100円ショップで仕入れてもこれといったものはなく、駅へ戻る時間となってしまった。先に発車した1000系の普通は2両連なっており、ワンマン運転でないらしい。
さく「あっちいるでしょ。」
なぎ「あ…、ああ。あっちの特急な。」
改札が面するホームの前方、切り欠かれたホームに特急が待っている。キハ185系であり、基本的には『むろと』と同じタイプ。自由席であれば、改めて取り上げる必要もないだろう。
ユン「その向こうも様子がおかしいですよね…。」
76.徳島15:01発→阿波池田(16:16)16:18着 特急剣山7号/阿波池田行き キハ185-24
午前に乗った『むろと』と違うのは、3両編成の中間に『ゆうゆうアンパンマンカー』を連結していること。グリーン車部分の座席を普通車指定席として用いており、隠れた"当たり座席"らしい。一方で乗るのは空席ばかりの1号車、特に4列分の一般指定席は無人状態だ。
もも「また、アウェーだとかいうんでしょ。」
めぐ「自由席だからそうはならないと思うよ。」
高架へ上がった佐古で高徳線と分かれ、高架から下りて最初に停車する蔵本。駅は徳島市にあり、周囲は市街地らしい景色となる。
さく「これもたぶん、国鉄の急行が由来だと思って。」
なな「あ、そうなの?じゃあさっき乗った…、むろと?」
この『剣山』も国鉄時代の急行列車が由来となっており、停車駅が比較的多いことや編成量数の短さに名残を残しているようなもの。徳島線を進むにつれて、やはり建物は次第に減っていく。
もも「本当、誰もいなけりゃ自由だもん。さっきのアウェーだか何だか。」
なぎ「もう、それ終わった。」
そして四国の険しい山々が近づいてくる。いい加減、もう一方を食べねば。
ユン「忘れないでくださいよ。」
(現)ばくだんおむすび・まるで徳島丼(セブン-イレブン) 298円
一転して、こちらの中身は細かい肉。味は好みだが、何かといわれれば…?
さく「ラーメンの肉。」
もも「…それが何かってんでしょ。」
阿波山川を経て、キハ185は引き続き山々を望む。四国は標高1900m級の山もそびえるだけあり、遍路道には難所も多いと…。
めぐ「それこそ、12番焼山寺だっけ?」
なな「え、お遍路好きなの?」
なぎ「テレビだろ、そういう話。」
山々の反対側、右手には吉野川が流れる徳島線。その路線愛称も『よしの川ブルーライン』という。
なぎ「…川幅ってどう?」
もも「この辺は広いってくらい?」
左手は傾斜のきつい山が続く。冬になれば雪も多く積もり、入ること自体が阻まれるもの。
さく「四国ったって、暖かいとは限らんでしょ。」
なぎ「高いとこだから寒いんだろ、雪降るし。」
列車名の由来たる『剣山』の登山口、貞光に停車。剣山そのものは標高1955mで、徳島県では最高峰となる。
ユン「…あれ?」
もも「何、どうかした?」
ユン「険しい山が"剣"みたいからじゃないんですね。」
四国山地は険しいので、標高からして"剣"という了見もアリではないかと…。それにしても、よくあんな山々にまで送電線を通したものだ。
めぐ「どうやったんだろうね?」
さく「さあ…、地道に運んだんじゃなくって?」
その後も左に山、右に川という景色が続く。ところで現在のキハ185による特急は最高速度110km/hとなっており、これは急行列車だった当時より引き上げられている。特急へ"格上げ"されたのはそちらの理由もあるのだろう。
佃で土讃線に合流し、阿波池田には2分遅れて到着。ただでさえ4分の予定で余裕がないのに、特急『南風』へは階段を介しての乗り換えとなる。
さく「大荷物、高松置いてきてよかったよ。」
もも「そう言ってさ…、また。」
駅舎に面したホームへ来れば、入ってきた2000系は3両で座席も埋まっている。しかし今日は、ここから高松へ帰るだけ…?
ユン「えっと、他は正直…?」
めぐ「これで高松のホテル向かって、一応終わり。」
特急は結局パスし、後をゆっくり追う普通で向かうこととしよう。ここでカメラ操作を間違い、タイミングを逃す。
なな「落ち着きなさいね。」
めぐ「携帯…、電池がもうそんななくって。」
待っているのは1000系が1両だけで、ワンマン運転を行う。以前はオールロングシートでトイレもない、小型のキハ32が幅を利かせていた。
さく「あれはもう勘弁っていうか…。」
もも「そう?その割には、自由な姿勢だったじゃないのよ。」
前回訪れた2010年になかったはずの1番線ホームがあり、土讃線の特急が線路を共有した形になった。反対方向の特急車両は同じ2000系で、やはり同じく非貫通構造の前面を持つグリーン車。
めぐ「…これで穴埋まったかな?」
なぎ「埋まってはないな。」
そもそも今日の予定ルートは、元々が早すぎるぐらいに終わるようなもの。これは最終日に向けての休養を多くとっているため。
ユン「ちょうどいいじゃないですか、夕方に終わっちゃ物足りないとか…。」
もも「アンタもわかってきたじゃない。で、何時ぐらいよ?」
めぐ「どうだろう…、7時ぐらい。」
なな「それなら、夜もちょっと豪華にしたままできるね。」
(つづく)