2018年8月27日(月)午前9時43分 高知県高知市・高知駅
仕方ないので、次の特急に乗り込もう。ここから乗るあしずり1号は同じ2000系だが、2両ともリニューアルされている車両だ。
もも「トイレでしょ、さっきの。」
めぐ「それが…、開いてなくって。」
ただせっかくのリニューアルにして、トイレは和式のまま変わっていない。これが何より問題である。
さく「あ、おかえり。」
めぐ「一応、…出たものは出たけど。」
改めてリニューアルされた客室。壁面と床が木目模様、窓枠は黒色。座席はそのままながら青緑系の色となり、全体的に車内が明るくなった。ほかにFRPのバックシェルも外され、メンテナンス性も改善させたらしい。
なな「…あれ?」
ユン「どうかしました?」
なな「これね…、もたれると勝手にリクライニングするのよ。」
60.高知9:53発→中村11:32着 特急あしずり1号/中村行き 2123
自由席がある程度埋まって発車。土佐山田がそうであったように、こちらもしばらくは近郊らしい景色となる。
さく「ここからはお初だからね。」
もも「そんなわざわざ言わなくたって。」
高知市内から出ないうちに景色がそこそこ変わってきており、気づけば高知市から出ていたという。最初の停車駅、伊野までが結構遠い。
めぐ「ここまでは路面電車あって。」
なな「乗れたらよかったのに、余裕あったら。」
めぐ「また…、余裕出来たときかな?」
やがて仁淀川を渡る土讃線。四国の旅はここからどうなることに…?
車窓は山々の近い田舎風景となってきた。佐川を挟んで、しばらくは似た雰囲気が続く…。
ユン「ごめんなさい、眠くなりました。」
もも「じゃあ後は責任者ってか、張本人がやってくれるし。」
そのまま山岳区間らしい景色へと様変わりしてきたらしい。
めぐ「…よくわかんないけど。」
もも「だから、言ってるじゃない。まとまんないなら口出さないでって。」
ここまで来ると通過交通も少ないようで、高速道路(高知自動車道)も対面通行が基本。須崎東から先は通行無料となる。
するとここまでの山林風景とは一転して、港の近くへ出てきた土讃線。須崎の近くは木材加工所が目立つ。
なぎ「全然変わった。」
さく「地図持って…。」
めぐ「ないよ。」
川の先は海に通じている。
さく「…それで?」
めぐ「いや、なんとなくそうなってるし。」
前日の瀬戸内海とは違う、太平洋の大海原。その先に見えるものはなくとも、どこかへつながっているはずだ。
ユン「あれ、海見える。」
なな「これは見れるとき、見なきゃね。」
そのまま土佐久礼へ差し掛かる。過ぎるとまた内陸部へ進む2000系。
もも「ずいぶん楽しそうに。」
なぎ「景色、結構変化するってか。」
そんな山岳路線でありつつ、海からはさほど遠くない土讃線。木々に遮られることも多々あり、特に初乗車とあってかタイミングをつかめない。
そしてまた山間の田舎風景となった。景色の変化に富んでおり、車窓撮影もせわしなくさせるもの。ひとまず収めらなかった分は、復路に期待せよということだろう。
なぎ「…こっちもいいかも。」
さく「どっちなのさ?」
土讃線の終点、窪川まで来た。ここからは土佐くろしお鉄道の路線となる。
なな「ここからJRじゃなかったんだっけ?」
めぐ「ちょっと違うのよ。」
若井までの1区間はJR予土線と共有しつつ、JRの路線として途切れている。それがどこだったのかはわからないまま、再び険しい山々へ。
さく「…調べようよ。」
流れゆく川はタイミングが合わず、写真としてつかみにくい。
もも「別にパスしたっていいのに。」
なぎ「そうもいかんだろ。」
川の流れが美しかったため、写真に収めたかったという話。今度はどうだ…?
めぐ「…一応、形にはなったかも。」
ユン「写真、見せてくださいね。」
鰹のまち、きのこの里。それが土佐佐賀。
なぎ「いや、わからん。」
もも「あのね…、こういうとき後で調べろって。言ってるのよ。」
JR土讃線以来であろう、海に近くなる土佐くろしお鉄道。乗務員は水色のポロシャツを着用しており、南国らしい雰囲気を演出。
なな「またいい景色ね…。」
もも「こういうのよ、写真にするなら。」
青く美しい海岸を見つつ、時折トンネルを通過。こちらの地形も平坦にならない。
めぐ「ごめん、またトイレ。」
なな「今後どうなるかわからないからって?」
やはり和式トイレでは姿勢が苦しいもの。それでも"末端"へ進めば、トイレ事情は分からないので済ませるほかない。出てからしばらくすれば、土佐入野に停車。
なぎ「…トイレは間に合ってる。」
さく「いや…、別に行きたくなけりゃいいし。」
渡った川は四万十川の支流であり、本流にあらず。そんな後川を渡ると、もうすぐ中村だ。
もも「どうせならそのまま直でいいのに。」
ユン「そういうわけにいかないんじゃないですか?」
到着したらすぐ隣に宿毛行きが待っており、乗り換えたら発車する。窓の大きなステンレス気動車であり、大月町のラッピングをまとっている。青色で月柄の転換式クロスシートは結構重い。
(つづく)
さて土佐くろしお鉄道、窪川から若井までの1区間について少々。中村線はもともと国鉄の路線であり、実は民営化で1年間だけJR四国の路線であったことも関係しているようなのです。JR予土線はこの1区間に乗り入れる体制なため、JRの路線が途切れているという形なのでしょう。