名鉄初の"9000番台"採用にして、なぜか9000から始めることをしなかった新型車両。3300系から外観で変化した点は、フロントマスクの"赤塗装"とLEDヘッドライトである。そんな9500系が来たので、乗ってみよう。


 3300系後期型からオールロングシートとなり、ドア上の液晶画面式案内が採用されている。大きな変化は反対側に防犯カメラが設置されたこと、モケットなど色合いが変わったこと。車椅子等スペースが1両に1か所設けられたこと。

 床面はブルーグレー系1色(+ドア周りの黄色)だった5000系以降から、ブルーグレー系2色の3300系前期型へ"回帰"。加えてドア周りの黄色と、優先席のピンク系となっている。

 壁面で光沢があるのは、茶色となった貫通扉と上部分だけ。他は光沢のない無地となり、どことなく"安っぽさ"がぬぐえない仕上がり。ドアも光沢のない茶色。ドアエンジンカバーは"金属フチ"がなく、JR東日本の車両にあるような形状となっている。


 車椅子等スペースの横。座席の仕切りはこれまでと異なる形状で、窓下の高さに合わせている。スペースの区画に沿って"手すり"があり、モケットで覆われたクッションを巻いている。ヒーターも完備で冬場の防寒対策も大丈夫。この区画は窓が1枚の固定タイプになっている。

 座席モケットは3300系などよりも濃い紫系(優先席背もたれはピンク系)で、直線状の模様が斜めに入っている。触った感じはこれまでとあまり変わっていない印象を覚え、座席そのものも変わっていない。

 モーターが従来より小型軽量化されたSiC素子を用いたものという。走行音は"JR東海313系らしくなった"後期型に加えて、"JR東日本E233系3000番台"が混じった印象。音が大きく聞こえたのは、"騒音"そのものが小さくなったため。床の造りが薄く、音が伝わりやすくなっているためだろう。自動放送は引き続き非搭載となる。このほか車内にはフリーWi-fi、ドア開閉ランプを装備。


 製造元は愛知県豊川市の日本車両で、名鉄の車両全てが該当(唯一例外はEL120電気機関車)。日本車両はJR東海の子会社であり、JR東海の車両も(近畿車両が製造した313系2600番台を最後に)すべて製造している。

 そう。JR東海で導入される315系電車は、まさにこの名鉄9500系がヒントとなったようなものだろう。ひょっとすれば、それが狙いだったり…?
(おわり)