空燃比 | MCFWit 自由人masaのブログ

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四国は香川県にて、
株式会社モーターサイクルファクトリーWit
という会社を設立し、バイクの修理やメンテナンス、カスタムなど
を主に生業としております。

当ブログをお読み頂き、
それが皆様がお乗りのバイクや車を楽しむヒントになれば幸いです。

先日のキャブセッティングのお話の中に少しだけ出た、

スロットル開度とエンジンの負荷による空燃比の合わせ込みというか、空燃比の狙い目を少しだけ。




いつもありがとうございます(^-^)
MCFWitmasa です。

先ずおさらいとして
ガソリンエンジンに置ける理想の空燃比は、
空気の重さ14.7gに対してガソリンの量1g
と言われていて、空燃比メーター上では14.7と表示されます。
この数値は燃えすぎず燃え残らずといった環境にも優しい数値とも言えます。

ではすべての運転状況において、
この割合と数値がベストなのか?と言われると少し視点を変えて見ていく必要があります。


燃費とパワーについて。
空燃比は、空気の重さ14.7g:1gガソリンの重さが理想の燃焼状態ではありますが、
燃費が良いか?といえばそうでもなく、
この数値でパワーが出るのか?といえばこれまたそうでもないのが現実なんです。

例えば燃費を伸ばすのに手っ取り早いのは燃焼に費やすガソリンの使用量を減らせばいいので、
燃費仕様となれば空燃比15.0:1から16.0:1付近まで燃料噴射であるとか燃料供給量を減らす事もあります。
昨今のリーンバーンエンジンのアイドリング領域ですとこの辺りの空燃比に調整されていて、アイドリング時のガソリン使用量を出来るだけ少なくなるように設定されています。

次にパワーを出す場合。
例えば上り坂を登る場合ですと、それなりの負荷がエンジンにかかってくるわけですから、
燃料を多く送り込んで、空燃比的には13.0から12.5付近までを狙うようになります。

ここでエンジンの負荷を考える必要があるのですが、

例えば、
平坦な道路を一定のアクセル開度15%ほどで法定速度で走行していると仮定しましょう。
その時の空燃比メーターの数値は14.7。
平坦な道路の先には長い上り坂があるとして、
その長い上り坂を上りはじめてしばらくの間は一定のアクセル開度で走行していた速度が維持できますが、坂を進むにつれて車両のスピードが落ちてくるかと思います。
この時に空燃比メーターの数値は15.0付近まで上がって来ます。
要は、坂道を上る事によりエンジンの負荷が大きくなりそのままの運転状況では使用する燃料が足らない状態であると言えます。
もちろんこのままでは失速してしまいますので、
アクセルを45%~50%付近まで開けて車両を加速させるかと思います。
このアクセル開度の変化をFI車であれば信号を読み取り燃料噴射量を増やしてエンジンが力を出せるようにするという流れになります。

エンジンの負荷ですが、
坂道を上る時だけではなく平坦な道路での加速時。
高速道路本線への合流であるとか、
追い抜き時の加速であるとかでも負荷というのは掛かります。

例えば、
高速道路本線への合流の際、
導入路が 60km/h 本線が 100km/h として。
導入路から本線までの並走区間 100m ほどですと、スムーズに流れに乗ろうと思えばアクセル開度は70%から90%ほど開ける必要があるかと思います。
ではこの時、エンジンの負荷はそれなりに大きくなりますので空燃比でいくと13.0付近は欲しいところになりますので、燃料を通常運転時よりも多く送り込む必要があります。

短くまとめると、
理論空燃比は14.7:1付近
燃費重視であれば16.0:1付近
パワーを必要とする場合は13.0:1付近
を狙って調整していくという流れになります。

大方の狙い目が定まれば、
季節ごとでのマージンであるとか、
エンジンのツキやアクセル操作とのフィーリングや、標高の高い場所にドライブやツーリングに出かける場面などを考慮して数値を合わせ込んでいき仕上がりとなります。

今回の空燃比ですが、あくまでも自然吸気エンジンの町乗りでの目安で、
ターボやスーパーチャージャーなどにより過給が加わる場合であるとか、サーキット走行やパワー狙いの場合は合わせ込む数値が異なりますのでご留意ください。

この他にも、
各回転数域、スロットル開度、車速、使用するギアや、それぞれでの点火時期などで細かい部分も近頃のモジュールですと合わせ込みが可能になっていますので、
その辺りはまた次回ということで。