イギリスの特殊作戦執行部エージェントのマックス(ブラッド・ピット)とフランスのレジスタンスのマリアンヌ(マリオン・コティヤール)は、1942年、ドイツ占領下のカサブランカに滞在中のドイツ大使暗殺計画を共同で遂行、作戦は成功し間一髪で現場から離脱します。
作戦遂行に際し、偽の夫婦を演じきったふたりでしたが、いつしか惹かれ合い本物の夫婦になります。
ロンドンに住み始めたふたりは初めてと言ってもいい幸せな日々を送り、愛の結晶である娘アナが誕生します。
ところがそんな幸せな日々は長くは続かず、ある日、信頼する上司フランク(jジャレッド・ハリス)に呼び出されたマックスは耳を疑う話を聞かされます。
「マリアンヌには2重スパイの疑いがある」
マックスに与えられた指令は、72時間以内に判明するマリアンヌの正体が、「2重スパイの場合は、マックス自身の手で彼女を殺害すること」、「もし裏切った場合はマックス自身が処刑される」というものでした。
アナの母親でもあるマリアンヌを自分で殺害するというマックスにとってはあり得ない選択肢。マリアンヌの疑惑を晴らすために危険を顧みずにマックスが奔走するシーンを始め、戦時下であることを痛感させられます。
作戦決行日を「D-デイ」と称される史上最大規模にしてヨーロッパ戦線の転機となった「ノルマンディー上陸作戦」の前なのでパリやロンドンも制空権をドイツに握られています。
アナの分娩も空襲の最中で行われ、正に命がけです。
まるで平時のごとくホームパーティーを開いている最中に突然に空襲が始まり、迎撃され墜落する戦闘機がマックスらの自宅すれすれを落下していく。
生と死が隣り合わせの緊迫した日々です。
この作品で重要なマリアンヌのマックスに対する気持ちの推移をどう受け止めるかで感動の度合いにも開きが生じるかもという印象を受けました。
物語の冒頭ではマリアンヌのマックスの見方は上から目線で、これが変化していく理由の描写が個人的はちょっと弱かったと感じました。
マリアンヌがマックスを彼の出身地であることから「ケベック人」と呼ぶときのニュアンスの違いに彼女の気持ちの移り変わりが反映されています。
もちろん娘アンへの想いは嘘偽りの無い愛に満ちています。
ある日突然、自分の愛する人がまったく違う正体であることを知ったときに人はどういう行動を取るのか、ブラッド・ピットは実にリアリティ豊富に演じていたと思います。
映画『カサブランカ』へのオマージュもロバート・ゼメキス監督は盛り込みたかったそうです。
『カサブランカ』が製作されたのは、今作の物語の始まりと同じ1942年。
砂漠のシーンも印象的で美しいです。
マリアンヌ (2016年 アメリカ)
監督 ロバート・ゼメキス
脚本 スティーヴン・ナイト
出演 ブラッド・ピット マリオン・コティヤール ジャレッド・ハリス リジー・キャプラン
ダニエル・ベッツ マシュー・グード ほか