配偶者控除見直し論争あれこれ… | 税理士・川﨑由紀子 ~オフィシャルブログ~

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前回の続きを少し。

配偶者控除の見直しについて。

 

引用は第2回 税制調査会(2016年9月15日)財務省説明資料より

 

女性の働き方うんぬんで配偶者控除が語られますが、

そもそも、制度の根底が性的役割分担の意識に

根付いています。

 

女性が働きやすい税制といってもね…。

その効果はいかに?

 

そもそも、配偶者控除が設けられたのは、昭和の半ば。

 

<配偶者控除の性格>

  ・ 納税者が、一定所得金額以下の配偶者を有する場合、その納税者本人の税負担能力(担税力)の 減殺を調整する趣旨から、

配偶者控除

(所得税:38 万円、個人住民税:33 万円)及び

配偶者特別 控除

(所得税:最高 38 万円、個人住民税:最高 33 万円)

が設けられている。   

配偶者については、かつては1人目の扶養親族として扶養控除が適用されていたが、夫婦は相互 扶助の関係にあって、一方的に扶養している親族と異なる事情があることなどに鑑み、昭和 36 年 度に扶養控除から独立させて配偶者控除が創設された。

 

2世代前?の制度ですから、

そりゃあ、不都合も出でくるでしょう。

当時はサザエさんの時代。

専業主婦が当たり前でしたから。

それでも、現在の専業主婦世帯は約700万世帯。

統計値にもよるでしょうが、それなりにあるのです。

 

税制だけ変えても、それだけでは効果薄。

他の制度と足並みがそろわないと、流れになりません。

 

充実した福利厚生制度がかえって枠を固定してしまう皮肉。

もちろん、社会保険制度もそうです。

それに、昨今の多様化する家族形態に

どのように対応するのかも課題です。

 

夫婦控除にしたって、籍を入れない事実婚、

同性のパートナーの場合だってあるでしょう。

微妙な同居、共同生活などどうするのでしょうか。

 

夫婦別姓ですら確立されていないのですから、

夫婦控除の範囲を広くとらえるとは思えません。

ま、配偶者控除にしたって同じですけどね。

 

そもそも、シングルの人は関係なし。

これもまた、不満の種。

何の人的控除も家族手当などもなく

がっつり税金を取られるだけ。

基本的な底上げこそ必要と言いたくもなります。

 

税制は難しい。

負担をどうするかの議論ですから簡単にはね。

でも、決まれば導入は早いでしょう。

行方が気になります。