「これ、試してみました?」


スーパーのデザートコーナーで

尚哉さんが手に取ったのは、新発売のスイーツ。


「美味しそうですね」


「じゃあ、今ここで食べてみます?」


冗談だと思った。

でも、ふと視線が合うと、彼も私も本気でそうしたいと思っていることに気づいた。


「…いいですね」


店の外のベンチに並んで座り、静かにスプーンを口に運ぶ。


「美味しい」


尚哉さんが微笑んで、私もつられて笑った。


「美咲さんは、甘いもの好きなんですね」


はじめて、名前を呼ばれた。


それだけで、心臓が跳ねた。