それから数日、スーパーに行くたびに尚哉さんの姿を探してしまう自分がいた。
でも、彼は現れなかった。
それが正しいのだとわかっているのに、どこか寂しさが消えない。
そんなある日、ふとレジの近くで見覚えのある背中を見つけた。
けれど、彼は気づかないふりをした。
そんな気がした。
何事もなかったようにレジへ向かった。
けれど、会計を終えて外に出ると、彼がそこに立っていた。
「…美咲さん」
「はい」
「お元気で」
それだけ言って、尚哉さんは微笑んだ。
「尚哉さんも…」
その瞬間、全てが終わったのだとわかった。
それでも、胸の奥であの数ヶ月の記憶が静かに残っていた。
たぶん、これは恋だった。
でも、もう振り返らない。
そう決めて、私は家族が待つ場所へと歩き出した。
ー終わりー

