千尋と藤崎の会話は、少しずつ長くなっていった。
「千尋さんは、週に一回?」
「うん。でも、最近ちょっと増やそうかなって」
「そっか。じゃあまた会える確率が上がるね」
そんな些細な言葉に、千尋は心が躍るのを感じた。
その日、帰宅してからも彼の声が耳に残っていた。
夫とは何も問題はない。けれど、最近の会話は日常報告ばかり。夫婦として安定しているのに、なぜか藤崎との会話が楽しくて仕方ない。
ある日、トレーニング終わりに藤崎が提案した。
「ちょっと外でお茶でもしない?」
「……うん」
一線を越えたわけではないが、少し戸惑った。
でも、千尋の心は既に少しだけ傾いていた。

