藤井さんと会うのは、いつも何気ない日常の中でだった。
けれど、今はホテルに二人きりでいる。
私が彼を求め、彼もまた私を求めて——
ここが二人にとって、もう避けて通れない場所であることを、心の奥底で強く感じていた。
「美咲さん」
ベッドで見つめ合っていた、藤井さんが静かに私を呼んだ。
「これから、どうしようか…」
その問いには、答えがもうあった。
けれど、それを口に出すのは怖かった。
私たちは、一度踏み込んでしまったこの世界から、もう引き返せない。
私は、藤井さんの目を見つめたまま、静かに言った。
「どうしたいんですか?」
それに藤井さんは、少し笑って答える。
「美咲さんが、したいことがあるなら…僕も同じです」
言葉よりも、彼の目に映る私が全てだった。
その視線の中で、私は自分がいかに彼を求めているのか、確信した。
「でも…」
「でも、何?」
「家庭があるのに、こんなことをしてしまって…」
自分でも驚くほど、気持ちが溢れ出してしまう。
藤井さんは、少しだけ沈黙を作った後、私の手を取って言った。
「美咲さん、でも、これが運命では」
「運命…」
「だから、僕は後悔しないので、どうか…美咲さんも後悔しないで欲しい」
彼の言葉は、私の心の中に深く染み込んでいった。
私は、自分の気持ちを抑えきれずにただ頷いた。
「分かってる。でも…」
「でも?」
「これからも、私たち会い続けていいんですね?」
その言葉を聞いた藤井さんは、しばらく無言で私を見つめた後、ゆっくりと頷いた。
「もちろん」
その一言が、私の中で何かを決定づけた。
私たちは、もう引き返せない。
でも、それが怖くもあり、同時に嬉しくもあった。
「…私も、後悔はしません」
それが私の答えだった。
手を繋ぎながら、私たちは静かにお互いを見つめ合った。
そして、心の中で固く決めた。
これからも、彼と繋がり続けることを。
お互いの家庭にバレないように、ひっそりと。
心の中でずっと繋がっていくことを誓った。
「これからも、君と一緒にいたい」
藤井さんの言葉が、私の胸に響いた。
私はその言葉に答えるように、静かに彼を抱き寄せた。
そして、そっと耳元で囁いた。
「私も、ずっと一緒にいたい」
その約束が、二人の間に深く刻まれた瞬間だった。
⸻
こうして、二人の関係は続いていくことを決めた。
お互いの家庭にバレないようにしながら、隠れてでも繋がり続けることを誓った。
何が待っているか分からないけれど、
今はこの瞬間を大切にしたかった。
⸻
ー終わりー

