春 唐突に訪れる
夏 目まぐるしく駆け巡る
秋 誘惑に目がくらむ
冬 この寒さを乗り切ればまた。
春
ミンクが産まれた。
周りに祝われることはなかった。
それでも、とても小さなミンクは両親に愛された。
ミンクには友達も兄弟もいない。
両親はともに忙しいので
あまりミンクに接してあげられなかった。
ミンクは両親に愛されたくて、ひどいいたずらをした。
うそもたくさんついた。
ただただ両親に愛されたかったのだ。
両親は精一杯愛情を注いだつもりだったが
ミンクはもっともっと愛されたかったのだ。
夏
ミンクは産まれた時の2倍の大きさになった。
日が経つにつれて成長していき
ついには両親より大きく育った。
気まぐれな母親はそんなミンクをもて余すようになる。
父親も病気がちでミンクにはあまり接することができない。
ミンクは寂しさでいっぱいになっていった。
ずっと寂しかったのに。
ついに、実感することになった。
昔からずっと、
ずっと思っていた。
自分は父にも母にも似ていないと。
秋
ミンクは重大な嘘をついた。
大好きな母親と父親に。
「少し、出かけてくるね」
それがどこにいくのか、
なにをしようとしているのか、
父にも母にもわからなかった。
何日かが過ぎ去った
冬
ミンクは走って走って
ただ走った。
目的の場所に着くまでに。
たどり着いたその場所では
憔悴しきっていたミンクがいた。
ミンクは本当の父親の腕の中で
静かに目をつぶった
とても幸せそうな笑顔を浮かべながら。
ミンクは幸せだった
最後にとてつもなく素敵な愛情を感じた。
ミンクはそれから
目を覚ますことはなかった。
ミンクはこれから成長することはない。
だが確かに、
両親の心の中で生き続けることだろう。

