一度だけ、告白されたことがある。
数少ない知り合いの中で、数人しか遊んだことのない異性。
友達だと、思っていた。
そして、友達で終わった。(早い)
全く恋愛経験がないことを話すと、じゃあ試してみようかという話になり、お付き合いスタート。
映画に行ったり、遊園地や水族館に出かけたり、食事をしたり、飲みに行ったり…。
その間、手を握ったことしかない。
中学生以上の清い交際?
友達以上恋人未満、までも進めない。
心は想像以上に正直だった。
いい人だと思う。嫌いではない。でも、恋愛対象としては見られない。
最終的に、プロポーズにどうしても「はい」と言えず、消滅した。
その後。
合わないなあ、と思い続けていた職場では異動があった。男性社員がほとんどいない部署で、ほぼ苦情係。
外からはお客様からの無理難題、脅迫まがいの電話対応。
中ではバイトさんの管理と質問対応。処理数を上げるため毎日の残業。難解な案件の処理だけがまわってきて、毎日対応に苦慮。とにかく電話が怖くて仕方なかった。
マニュアルに従って進める仕事のマニュアルは穴だらけ。
上部への質問の答えは数ヶ月後。しかも毎回違っている。
上司は保身に忙しい。(人によるが、絶対自分の印鑑ついてくれない方もいた。)
事故を起こしたら吊るし上げ。etc,etc...。
立場上仕方ないのだが、色々と自分のキャパを超えていた。
まず、精神的余裕が。
いつからか、「今日が無事に終わりますように」とだけ願いながら出社するようになっていた。
朝、まっすぐ職場に向えなかった。近くの公園で心を落ち着けてから、ギリギリで入っていた。
夜は過食が止まらず、もう口に入らなくなるまで2時間でも3時間でも食べ続けていた。
神経ハゲが、満月のように後頭部にできた。(自分では見えないため、他人に指摘された。最終的に幾つも広がり、ハーフウィッグを作った。結構高いんだコレが…。)
何より、先の希望が感じられなかった。
このままではダメになる、と鈍い自分でも気がついた。
生きていくために仕事をするのは当然だ。
壁があったら、乗り越えなくては解決しない。
でも。
でも、もうチョット別の道は、ないものだろうか…?
そんな時、親戚から見合い話が舞い込んだ。
すでにアラサーも超えていた自分に、そういう話があるとは想像だにしていなかった。
(詳しく聞いたら、初めは同い年の従姉妹への話だったらしい。タイプじゃないから断ったわ~、と後に本人から聞いた。)
二つ県をまたいだ相手だったが、そんな事は構わない。
結婚、ということを真剣に考えたことがなかったが、とりあえず会ってみようかという気になった。写真を見ただけではピンとこなかったが、まず会ってみないことにはどんな人だか判断のつけようがない。
初めて釣書を書き、スナップだが相手に送る写真を用意し、今まで着たことも無い女性らしい服を買った。
日取りが決まった。
3月12日の土曜日。
だいぶ遠方からなのだが、こちらの都合に合わせて来てくれるという。
両親が他界しているため、立会いはなし。(自分の側は母だけ、顔を見について来た。)
お互いいい年だし、本人同士でお話ししましょう、というわけだ。
直接話はしなかったが、場所のセッティングのために電話がきた時にはドキドキした。
声は良いし、話し方も常識的で余裕がある。
悪くないのかも?
そして。
前日。
大震災が、起こった。
そう、あの東日本大震災だ。
初めて、訓練ではない避難をした。丈夫に見えた社屋の壁には亀裂が入り、非常食が配布された。
何が起こったかわからず、連絡のつかない両親(当日、海辺に行くと言っていた。よりにもよって!)の身を案じながら、帰宅する手段も持たず呆然としていた。
見合い?
それどころではなかった。
どうにか夜に、親にメールで連絡がついた。
深夜には幸いにして通勤に使っている電車が復旧した。
兄が迎えに来てくれて、どうにかこうにか帰宅。
疲れきっていたので、その夜の記憶はあまりない。
状況の把握もろくにできていなかった。
だが。
奇跡的に、翌日の見合いは成立した。
その3に続く。