高校受験の時も、我が家は相変わらずだった。
わたしは勉強が得意では無かったし、平均点さえ取れてればっていう考えだったため、自分の実力に合うところに行こうと考えていた。
それに意見したのは珍しくも父親だった。
いつもは母親のいいなりで自分の意見なんてほぼほぼ言わないのに、いきなり学校の3者面談に行くと言い出したのだ。
担任もわたしも志望校がA高校なのに対し、父親はA高よりもレベルの高いB高校にしろと勧めてきた。
そこは父も祖父も通っていた高校で、父は娘のわたしにも通ってほしいという理由だった。
そのために無理矢理塾に入れられ勉強の日々。
親に意見する方がめんどくさいとこの頃は知っていたので特に反抗しなくB高を受験することになる。
中3の秋、ここでB高の判定が悪ければ受験は怪しいと担任に言われていた模擬の2日前、母方の祖父が亡くなった。
祖母が母親と買い物に行ってる半日の間に心臓が急に止まったらしい。
一番に見つけたのは学校帰りに、祖母に呼ばれていたなな。
ななは泣き喚き近所の人に助けを呼んだが既に遅かったと聞かされた。
その頃のわたしは受験に向けて勉強のため毎日図書室に残っていた。家で勉強するより捗るし、家に居たくなかったからだ。
校内放送で名前を呼ばれ、職員室に行くと祖父が亡くなったことを担任に聞かされた。
学校を1週間休ませると今父親から連絡があったらしい。
2日後は模擬。
正直わたしは祖父が亡くなってもなんとも思わなかった。ただ、あんなにタバコを吸っていて酒をガバガバ飲んでたらそりゃ寿命を縮めるよなと感想を持ったくらい。
担任は、模擬は残念だけど…と言っていたけどわたしは受けたかった。
そんなことを言っても仕方ないのはわかってるし、逆らった方が面倒だと頭の中の天秤がぐらぐら揺れ、わたしは受験の大切な時期に1週間休むことになった。
祖父の家に帰ると警察がいて、色々調べていた。
ななは顔を真っ赤に泣き崩れ、祖母は何処かすっかりきて見えた。
軽く事情聴取をされた。
どんな人だったかとか、何かに悩んでる様子はなかったかとか聞かれたけれどわたしはなんで答えたかは覚えていない。
ただ、ベテランっぽい女の警察官が最後に
「今どんな気持ちか」
と聞いてきた。
「分からない。悲しいとは思う」
そう答えると、小さく「そっか」と呟いた。
「何か言いたいことあるんじゃない?」
と言ってきたけど、わたしは質問の意味が分からなかったしなにより早く終わらせたかったから
「特にないです」
と答えた。
今思えば、あの警察官は見抜いたのかもしれない。
ななにつきっきりの我が家族。
帰ってきた私に何の一言もないことを不思議に思ったのかもしれない。
ななの心のケアだとか言ってずっと付きっきりで、受験の前には旅行に行って、帰ってきたらインフルエンザにかかる。
うつらないように必死に予防して、迎えた受験の日は、今までななにつきっきりだった我が両親が朝から私に構った。
態度をコロコロ変える両親を冷たい目で見て、わたしは受験会場に向かう。
落ちたいな。
落ちたらどうなるんだろう。
ここにいる人たちみんな真剣だな。
受かるのかな。
様々な思いが交差する中、わたしは過去最高得点を叩き出し合格した。