高校に入学するとすぐわたしは禁止されているアルバイトを始めた。
メガネをかけてマスクを深くすればぱっと見はバレない。
家にいる時間を少しでも減らしたかったのだ。
その頃になると、我が家が歪だと気がつき始めた。いつまでも長男長女、父親祖父の絶対王政。
歪だとは思ったけれど、それが当たり前だったからどう表現していいか分からなかった。
高校に入って出来た仲の良い友達に
「親ある意味過保護だよね」
と言われた。
「過干渉」
とも言うらしい。
1日のスマホを使う時間が決められているだとか、テレビの決定権は全部父であるとか、我が家独特の決まり事を友達に話せば笑われた。
支配したいのかな。と少し思う。
自分の言った通りにならないと怒鳴る母親に意地でも言いなりにしようとする父親。
長女長女五月蝿い祖父母も口だけの叔母さんもみんなわたしをマリオネットか何かと勘違いしてるのかもしれない。
そう思うと途端に怖くなった。
高校に入学したばかりだけれど、進路は決めた。
地元を出よう。
そうして2度と帰ってこないと心に誓ったのだ。
その考えが浅はかだったと知るのは2年後の春である。