先日中古品のMX500を入手したので

SennheiserのイヤホンはこのMX500と

4年ほど前に買ったMX375の二つになる

その他にオーバーヘッド型ヘッドホンの

HD25 Lightもある

 

青がMX500、黒がMX375

 

MX500は20年くらい前の製品で

その音はフラットというかナチュラルというか

癖はないのだがちょっとぼやっとした感じで

メリハリが弱い

 

インピーダンスは32Ω

再生周波数帯は18Hz〜22kHzだそうだ

鳴りがやや悪く

よく鳴らすためにはパワーのあるアンプや

DACなどが必要になる

 

ただ音そのもは悪くなく

落ち着いた音と言えばそう言えなくもない

何よりも今巷に蔓延っている

全てのMX500型の元祖がこれなのである

 

私はその形状からMX500型が好きで

たくさんのイヤホンを持っていて

気分で取っ替え引っ替え使い分けている

 

総じてどれも音が良い

 

それに対してMX375は

現代的というかオリジナルMX500とは

大分違う音がする

 

Aliexpressで買ったものなので

正直本物なのか偽物なのか分からない

作りのフィニッシングは悪くなく

見た目は本物なのではないかと思われる

 

 

ただ、音がMX500とかなり違うので

ひょっとしたら中華イミテーションかも知れない

音が悪いのではなく良すぎるのだ

スペック上はMX500と同じく32Ω

18〜22kHzとなっているが

音の質が随分と違う

 

この二つの製品には

発売時期で約10年の開きがあるようだが

それにしても同じメーカーで

こうも音の傾向が違うだろうか…

 

MX375は現代的で明るく抜けの良い音で

かつ低音もそれなりに出ている

鳴りも良い感じでアンプがなくても

ボリュームも得やすい

音の傾向は中華MX500型に似ている傾向だ

 

多くのイヤホン類と同じく

本物のMX375も中国生産だったのだと思うが

それを横流ししただけのある意味本物なのか

それとも全くの模造品なのか…?

模造品にしてはフィニッシングが良すぎるので

横流し品かもしれない…

 

いや、あるいは本物かもしれないが…

 

音が良すぎて偽物かもというのは…

何とも皮肉な話だ

イヤホン集めにハマる人は結構多いのだと思う

でなければイヤホン専門店など成り立たないだろう

AmazonやAliexpressを見ても

星の数ほどのイヤホン・ヘッドホンが売られている…

それだけ需要があるということだ

 

とは言っても

多くの人にとっては音を聞くための道具であって

ネット記事などで評価の高い

そこそこ売れ筋の製品を一つ買っておけば

ほぼ間違いないところだし満足できるはずだ

少なくとも同じようなものを10も20も買わないだろう

 

***

 

反面、コレクション癖がある人にとっては

イヤホンはその対象としては結構魅力的だ

値段はピンキリで高いものは相当な値段になるが

数千円〜1万円少しくらいの間の手を出し易いものも多い

 

最近はもっぱらWirelessのものが主流

ちょいと前まではBluetoothなどは音が良くないなど

言われたものだが

最近はLDACやaptX系など高音質で通信できるものもあり

Wirelessでもかなり高音質で聞ける

 

しかし、やはり音質という面では有線の方が

まだ少し上という感じだ

 

私はiPhone 16をDAP代わりに使っているので

有線イヤホンを使うためにはUSB-Cー3.5mmアダプタや

DACなどのコンバータを使う必要があり

Shanling UA-4の他、先日はFIIO BTR 15も買った

この2機種、汎用の3.5mmポートの他に

4.4mmバランス出力も備えている

 

バランス出力はご存知の通り

アース線を共通とせず左右それぞれが

完全に分離した系統となっているために

干渉が発生せず音の分離が良くなるというものだ

 

私はFIIO BTR3Kが2.5mmバランス出力を持っているため

2.5mmのイヤホンを二つだけ持っているが

どちらも確かに分離感が良く、いい音と言えるものの

3.5mmと比べて明らかに優れているとも言えない気がして

愛用するまでには至らなかった

 

しかしUA-4とBTR 15に4.4mmがあることもあり

再びバランス型を買ってみようと思ったが…

 

高い

 

どのイヤホンもやたらに高い

流石に5、6万円以上するようなものをポンポン買えない

と思ったら5000円程度で買えるものがあるではないか…

 

NICEHCK B80

 

このメーカー、最近良く目にするようになった

先に記事にしたチープなYD30のようなものから

数万円クラスの高いものまで作っているようだ

その中でも安価でありながら4.4mmプラグ仕様がある

B80というインイヤー型イヤホンを買ってみた

実は3.5mm仕様ながらB70は持っており

手持ちコレクション中では結構いい音が出る方なので

その後継機?のB80にも期待感はあったが

反面、価格からみて過大な期待はしていなかった

 

例によってAliexpressで購入し、8日間ほどで届いた

 

まぁ、なんつう箱に入って来たものか…

通販だからいいが、お店では恥ずかしくて買えない

家族がこれだけ見たら、大人のオモチャと思うかも…

ま、確かにある意味玩具には違いないが…音の出る玩具

外箱を外すと、中箱は逆にやたら渋い…

最初からこれでいいのだが

しかし渋い黒箱を開けるとまたもや…

正直、色紙なんていらんしその分安くして欲しい

 

中身はこれ

配線がちょっと強い感じだ…4.4mmプラグはやはりぶっとい

左:BTR15、右:UA-4 どちらも3.5mmと4.4mmの出力ポートを備えている

イヤホン本体はMX500型よりやや小さく

その形状から耳にフィットし易い

濃いグリーンのような色で、ラメが入った塗装がされている

こちらはB70(3.5mm)

配線の感じも大分違うし、イヤホン部もただの黒色プラスチック

音は手持ちのコレクション中では結構上位に入れる高音質

ちなみにB70(左)B80(右)とも立派なケースが付属してくる

 

さてB80 4.4mmバランス型の音は…

 

正直驚いた

3.5mmのB70と同じような音を想像していたが

レベルが違う感じ

 

これは間違いなく手持ちのインイヤー型ではNo.1

音の分離感、解像度、艶、スピード感…全て申し分ない

その上、妙な癖も感じない好感度の高い音だ

 

良く聞くK-POPの曲

例えばNewJeansのDittoは

Hi-Resではない音源だけど

ハニの甘い声が実に艶っぽく聞こえるし

Hi-Res 96kHz音源で聴く

Hearts2HeartsのSTYLEなどは

メンバーそれぞれの声もきっちりと区別できて

ハッとするほど音がいい

 

3.5mmのB70でもいい音だと思って聞いていたが

次元が違う…

ハウジングも同じようなものだし

ドライバユニットは違うのかもしれないが

それにしてもこうも違うものか?

 

5000円程度のイヤホンでこれでは

数万円、あるいは数十万円のものは

どんな音がするのだ…?

 

*****

 

酒などもそうだが

一度上のグレードの味を知ってしまうと

安い酒には戻りにくい

急に他の手持ちイヤホンがショボく感じてしまう…

 

しかし、先の記事に書いたような

チープでかわいいMX500型も捨てがたいが…

 

ともあれこのNICEHCK B80には驚かされた

価格も安目の設定だし

興味のある人は

騙されたと思って買ってみてはいかが?

 

*****

 

8/13追記

 

FIIO BTR15にB80を繋いで

音楽を楽しんでいたが…

左側の音がおかしい…配線が動くと音が小さくなる

試しに4.4mmプラグ付け根辺りを揺すってみると

左側の音が良くなったり悪くなったりする

傾向は段々と悪化し

今は明らかに左の音が小さい

 

Aliexpressで買って困るのはこうした不具合時だ

基本、サポートはしっかりしているのだが

返品しろと言われると

日本から中国に送り返すのは何かと面倒だ

随分以前の話になるが

中華パッドの返品で酷く苦労した記憶がある

 

取り敢えずサポートに連絡して

返金または交換を要求してみる…

 

せっかく音が素晴らしいと思ったのに

わずかな期間でダメになるとは残念だ…

 

*****

 

8/22 追記

 

結局残念ながらB80は返品となった

 

ただ、恐れていたような面倒なことはなく

意外なほどあっさりと「無料で」返品できた

(昔は返品費用は自腹だった…)

NICEHCKの製品品質が悪いと思っていないので

今回は返品したが、また買うことはあるかと思う

何より返品プロセスがスムーズに行われたので

ひと昔前とは違うな〜と感心させられた

これならますます

また買おうかなという気にさせられる

下手するとAmazonより余程しっかりしているかも

Amazonも殿様気分でうかうかしていると

Aliexpressにその座を奪われる日が来るかもしれぬ

MX500型イヤホンを最初に買ったのは

いつだったか…正確には覚えていないが

K's 300Ωが最初だったような…

で、過去記事を調べてみると

やはり2018年にK's 300Ωを買ったのが最初だった

 

何かのネット記事で

安くて音が良い中華イヤホンがある

という内容を見て興味を持って買ってみたのだ

しかしこいつはそれほど気に入らなかったのに

この後どうしてMX500沼にハマることになったのか…?

 

過去記事1 K’s K300&KZ5

過去記事2 中華イヤホン K's 64Ohm

過去記事3 中華イヤホン増殖中

過去記事4 RY4S

過去記事5 MX500型イヤホン

過去記事6 Sennheisr MX375とFAAEAL雪蓮64Ohm

過去記事7 RY4s with 2.5mm balance plug

過去記事8 MX500型 中華イヤホン RY4S Special version

過去記事9 MX500型イヤホン NICEHCK YD30

 

MX500型の何が好きかって

第一はその形状だ

程よい大きさでつまみやすく

耳のくぼみにスポンと自然に落ち込む形状

私の場合はドイラバー部径が若干大きく

長時間使っていると耳に当たる部分が

ちょっと痛くなるのだが

余程長時間でなければ問題はない

 

それと音

先の記事の追記にも少し書いたのだが

中国人はこのMX500ハウジングを使って

様々なイヤホンを作製し続けているが

長年研究と改良を積み重ね?

かなりいい音が出るようになっている

実際私が持っている幾つかのMX500型は

結構いい音で鳴る

中には1万円を超える価格のものもあるが

その安物染みたプラスチッキーな外観からは

考えられないようないい音が出る

 

反面、限界もあるのかなと思う

私は専門家ではないので確かなことは言えないが

剛性の低そうなプラスチックハウジングで

重量も軽いし

そこに高効率のトライバーを押し込んでも

それを生かしきれないのではないか…?

例えば最近買ったAngelearsのKAZAというイヤホンは

メタルハウジングだからどうか分からんが

MX500型と同じくらいの大きさのドライバーながら

音がキッチリというかカッチリというか

クリアーな感じに聞こえる

いずれ、Hi-Resに対応できるようなレベルではない

 

ともあれ

様々な種類のMX500型を聴き比べてみるのも

それはそれで中々面白いのである

 

 

ではその大元になっている本家Sennheiser MX500とは

どんな音なのだろうか

 

既に廃番となっているが

過去のWEB記事などを読んでみると

2500〜3000円程度で販売されていたようで

その値段の割に音が良いというので評判だったようだ

3000円くらいの価格帯の製品であれば

まあそれ程いい音ではなかったのではないかと想像していた

しかし、これだけ多くの種類のMX500型を持っていながら

オリジナルに付いて知らないというのは如何なものか…

という思いもあり

オークションやフリマサイトを時折検索していたのだが

そもそも大分以前の製品であって球数が少ない上に

結構探している人が多いようで

出品されるとすぐに売れてしまうという感じであった

 

それが、今回また検索してみたところ

出品されているものをたまたま発見した

しかし当時価格3000円程度のものの中古品に

1万円近い値札が付けられており

歴史的価値はあるのかもしれないが

正直ぼったくりだと思って買おうとは思わなかった…

 

なのに

 

かなり出品される数が減っていることもあり

この先いい出物に出会える可能性を考えると…

えい、仕方なし、買ってしまえ…

(これを無駄遣いと言わずして何を無駄遣いと言うのか…)

 

Sennheiser MX500

 

プラスチック製の収納ケースに入ったMX500

何せ20年くらい前の製品らしく

WEBで検索しても情報はあまり多く出てこない

価格コムのページを見ると

インピーダンスは32Ωで

再生周波数帯は18Hz~22kHzとなっている

SENNHEISERとMX500の文字がプリントされている

ハウジングのそれは

中国製のMX500コピーと全く同じ形状だ

(当たり前だ、これをコピーしたのだから)

つまみ易い大きさで耳のくぼみにスポンとハマる

3.5mmプラグはL型で

ケーブル途中にはボリューム調整が付いている

 

さてその音である

 

予想通りというか

癖がなく聞き易い音だ

ニュートラルという感じで

低音は強くなく、中〜高音はそこそこ

当時多くの人が良い評価を付けたのは納得できる

解像度はそれほど高くないが

こもった感じはしない

スペックほどの低音が出てるのかは分からない

いい音を楽しむ特別なツールではなく

日常的に音を聞くための道具という感じだ

 

現在巷にゴロゴロしている

中華MX500コピーの中には

これより良い音がするものが多数ある

 

ハッキリ言って私のMX500型コレクション中

このオリジナルの音ランクは真ん中か少し上くらい

 

先日買ったYD30とそう差はないように感じる

32Ωというインピーダンスの割に

鳴りにくい感じもある

 

試しにアンプをかまして鳴らしてみる

BispaのPHPA-03をかませると

解像感が上がってスッキリ感が増し

良く鳴っている感じも増す

 

******

 

やはりと言うか予想していた通り

中華MX500は長い時間掛けて

いい音を追求してきただけあり

オリジナルを超える音になっているものも多かった

 

それ故、今になってオリジナルを買う意味は余りない

正直言って歴史的な価値というか

コレクター的希少価値というか

イヤホンの本来の目的である

音楽を楽しむためのツールとしての目的から逸れる

 

それでも長い間?

MX500型を集めて続けて来たにも関わらず

オリジナルを知らないというのが

喉に刺さった魚の小骨のように

心の奥底で引っ掛かっていたのだが

その引っ掛かりを外すことができてスッキリした

 

******

 

8/8 追記

 

聞き続けてみれば思ったよりはいい音に感じて来た

ただ、USB-Cー3.5mmアダプタでは鳴りが悪い感じで

不足感があるので

出力の有るアンプ等をかました方が良いかもしれない

 

そこで手持ちのDACに繋いでみた

Shanling UA-4、iBasso DC05も悪くないのだが

Dragonflyだとパワーも十分で

かつ低音が強化されて一番良い感じに鳴るようだ

写真のようなDACポケットを使うと

ブラブラしなくて良いのだが

Dragonflyはトンボの色でサンプリングレートが分かるので

それが見えなくなるのはちょっと惜しい

他にも所謂ポタアンをかましても

鳴りが良くなるのを感じる

スペックにある32Ωというインピーダンスの割に

感度が悪いのかもしれない

 

鳴りが良くなったとしても本質が変わる訳ではないので

例えばNICEHCK YD30と聴き比べてみると

MX500の方が地味でメリハリがないのが分かる

ただそれが悪いのかというと

長い時間聞き続けるならば寧ろ聞き疲れし難い

 

AKGなどもそうだが

ドイツ系のヘッドホンやイヤホンは

どちらかというと地味目な味付けになっているようだ

アジア系は派手目な音を好むようで

その辺りがMX500とYD30の音の違いに

影響しているのかもしれない