5月も中旬を過ぎ、
春の花々も盛りを超えたと思う今日この頃。
近所の玄関先に咲く藤の花。
藤は一年おきに開花する性質があり、
咲かなかった次の年は咲く
という自分なりのスケジュールを持っています。
日本が原産で、古くから人々に愛され、
万葉集にも詠まれている、大変に美しく風情のある花です。
藤波の
花は盛りになりにけり
奈良の都を思ほすや君
大伴宿禰四綱(おほとものすくねよつな)
藤の花が波うって盛りになりましたね、
奈良の都を思い出しませぬか
藤波という言葉は春の季語で、藤の房が風に揺れる風情を表します。
日本の美しい花の中ではトップを争える風格を備えた藤の花は、
一方でたくましく旺盛に繁殖し、
周囲の木に巻き付きながら成長する、
つる性ならではの強靭さで、日本の地で生き残って来た植物でもあります。
そういえば、福島の田舎では春のゴールデンウィークに帰省すると、
野生の藤が道路沿いのがけにたくさん生えていました。
藤といえば鉢植えや公園、庭先でしか見たことがなかった私にとって、
朽ち果てた古い建物を抱き込むように成長して咲いている藤は、
衝撃的な姿でした。
ただ美しいだけで生き残って来たわけではないのです。