先週の土曜日は、「土用の丑の日」でしたね。
丑の日とは、五行思想に基づく季節の変わり目だそうですが、
我々一般庶民は、「ウナギを食べる日」と覚えていて、
私もスーパーのお魚コーナーで、このお値段で一番大きいのはどれだろうかと
一生懸命に見比べ、ずいぶんと長居をしてしまいました。
昨日、地元の高齢者さんと話していて、
「最近のウナギは昔のような香りがしなくなったので食べる気がしない。
国産でも全然ダメ。いつからだろう、どうしてこんなになってしまったんだろう。」
と聞かされて驚きました。
70歳代のその男性は、特に食にうるさいというわけではなく、
質素で寡黙で、美食や贅沢と程遠い方だったので、
なおさらその言葉に説得力がありました。
ウナギのかば焼きは和食文化を代表する者のひとつです。
日本人は、遥かな縄文時代からウナギを食材としてきました。
万葉集にもこんな歌があります。
石麻呂に 吾れもの申す
夏痩せに よしといふものぞ
鰻とり食せ
【大伴家持】
石麻呂君、あえて申し上げたい。
夏痩せに聞くということ。
是非、ウナギをとってお食べなさい。
万葉集の編纂に関わる歌人として名高い、大伴家持によるこの歌は、
「痩せたる人を嘲笑ふ歌」というお題に対する即興で、
どんなに食べても太らない、まるで労働者のようにやせっぽちの石麻呂に対する、
ユーモアあふれる宴席歌です。
古きよき時代、日本の川で採れたウナギは大変なごちそうであるとともに、
溢れるパワーをもたらす体力増強剤だったことでしょう。
万葉集に親しんで7年ちょっとになりますが、
ウナギを題材とする家持のこの歌は、
絶対にいつか取り上げようと思っていました。
かずかずの歌の中で「食」を題材とするものに特に魅力を感じるのは、
美味しいものに対する思いがあふれ出ていて、
そのへんは、現代人と変わらないということがよくわかり、
遥かな古代の人々に、親しみを感じることができて嬉しいのです。
