カラスの種類に着目してみます。
日本の町中や農村など、人のいるところに住んでいるのは、ハシブトガラスとハシボソガラス。
この2種類は頭の形と声の違いで区別をすることができます。
ハシボソガラスは名前の通りスマートで、ハシブトガラスは全体的に「ごつい顔」という印象です。
クチバシの上がアーチ形に湾曲しているのがハシブトガラス、と覚えておいてもいいと思います。
ハシブトガラスとハシボソガラスは住んでいるところや食べ物など、習性が微 妙に異なります。
都会で多く見かけるのは、ハシブトガラスです。
マンションの脇を走る国道沿いのゴミ収集場所で食べ物をあさっているのは、
まずハシブトガラス思って間違いありません。
ハシボソガラスは町中にもいますが、もう少し自然のゆたかな田園地帯、
農耕地、河川など開けた場所でよく見かけます。
もう少し根本的な習性を比べると、ハシブトガラスは、森林に生息するカラスです。
一方ハシボソガラスは、草原を中心に生息しています。
背の高い樹木の茂った森林ではなく、見晴らしのよい開けた場所を好み、
人間の作った畑や田んぼで農作物を食べます。
食べ物で比べると、両方とも雑食で昆虫やネズミなどの小動物も食べますが、
ハシブトガラスは木の実が多く、ハシボソガラスは穀物をたくさん食べるという調査結果が出ています。
歩き方にも着目してみます。ハシボソガラスは、人間のように2本足で歩きながら草原で食べ物を探します。
ハシブトガラスは2本足歩行はできるけれど、あまり好きではありません。地面をピョンピョンと飛び跳ねて移動します。
そして食べ物は空から見つけます。森林は2本足歩行で悠々と歩ける場所は少ないです。
食べ物探しは飛行しながら。空から見つけてさっとさらって、また空に戻っていきます。
飛ぶ姿も違います。
大きく尾が長めに見えるのはハシブトガラス、
小型なものはハシボソガラスという区別のしかたもあります。
ハシブトガラスがゆうゆうと羽ばたいて飛びますが、ハシボソガラス の羽ばたきは浅く、パタパタといった感じに見える。
飛行は、ハシブトガラスのほうが得意といっていいようです。
都会にたくさんいるのは、ハシブトガラスです。
以前はハシボソガラスがたくさんいた地域でも、
都市化がすすむにつれてハシブトガラスが増え、
ハシボソガラスは都心や街中からは後退し、田園地方や川辺など、
人が住んでいる自然が豊かな場所に住むようになりました。
なぜ、ハシブトガラスが都会で生き残れるのか、非常に興味をそそるのですが、
森林と都市構造の共通点をうまく利用して生活しているということです。
都心ではのんきに2本足歩行などしている暇はありません。車に轢かれてしまいます。
ゴミあさりをしていれば、ゴミ収集のトラックがやってきます。さっと飛び去らなければなりません。
2本足歩行よりも飛行が得意、これが都市で生きていく理由の一つになっているのかもしれません。
そういえば私たち人間も、車や電車に移動を頼っていて、あまり歩きませんね。
残念ながら私たちは、カラスのように羽をもっていません。
それで、自分たちの作り出した乗り物に乗っているわけです。
幸いなことに、都会には人間たちが公園を作り、大きな樹木をたくさん植えています。
ねぐらや巣作りの場所もあるし、ゴミ収集場所には、いつも食べ物がある。
英名でJungle Crow(森林のカラス)と呼ばれるハシブトガラスは、
「都会のカラス」として、進化を始めることができたのです。

