梅雨も後半です。
八百屋さんやスーパーの青果コーナーで、よく熟した梅の実を見かけるようになりました。
その昔、祖母や母がこの時期に必ず仕込んでいた梅干しを、
私が始めて自分で漬けたのは、3年前です。
何年たっても傷まず、年月を経るほどにいい味の出る梅干しが、
塩と混ぜて重石をするだけでできると知った時は驚きました。
梅干しは、漬けるときも冷蔵庫や冷暗所に入れる必要がありません。
我が家では、いつもリビングのテーブルの下が定番。梅雨のジメジメも真夏の猛暑もここで、常温で乗り切ります。
自らが殺菌力の固まりのような梅の実は、塩と混ぜることで決して傷まないスーパーフードになるのです。
夏のあいだは毎朝作るお弁当に、必ずひとかけら入れています。
そんな梅の実はたいへんに魅惑的な香りを持っているのですが、意外と知られていません。
安く出回っている梅の実を買ってきて、カゴに入れて熟すのを待っているとき、
青いうちから放っていた「いかにも梅」という香りが、
熟すにしたがってだんだん甘さがのってきて、
黄色くやわらかくなったころには、スモモのようなフルーティーな香りになります。
「梅の実のエッセンシャルオイル」でもないだろうかと探したのですが、見つかりませんでした。
調べたところによると、精油の採取が非常に難しいそうです。
残念ですが、仕方ありませんね。
儚げで優しいフルーティーなこの香りは、戸外の樹上で熟している梅の実からは、あまり感じません。
梅の香りはクチナシや沈丁花などのように、離れたところまで強く香るようにはできていないのです。
ですがカゴに入れてこうやって置くと、部屋じゅうがフルーティーな香りで満たされてしまう。
まるで自分の周囲に広がる、香りのオーラをまとっているようです。
その方が人間たちの心の深くまで届くことを、知っているのかもしれませんね。
